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【読書感想文】小川糸『ライオンのおやつ』(ポプラ文庫)

本屋さんで見かけて、タイトルが気になって購入した本です。
予備知識なく読んでしまい、号泣して大変でした。家でよかった……。

【ものがたり】
男手ひとつで育ててくれた父のもとを離れ、ひとりで暮らしていた雫は病と闘っていたが、ある日医師から余命を告げられる。最後の日々を過ごす場所として、瀬戸内の島にあるホスピスを選んだ雫は、穏やかな島の景色の中で本当にしたかったことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者が生きている間にもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫は選べずにいた。(ポプラ文庫 ホームページより)

美味しい食事と居心地の良いお部屋、新しい相棒のセラピードックと共に過ごす穏やかな日々。人に頼ることがあまり上手ではなく、がんばりすぎてしまう雫が、自分の「今」したいことを見つめて、それに従っていくことに次第に慣れていきます。

新しい出会い、経験、別れ……。
様々なことがある中で、雫は過去に向き合い、受け入れ、自分について考えていく時間を持つこともできました。

次第に病が進行し、夢うつつとなっていったり、耐えきれない痛みを感じる場面もありますが、全体としてはゆったりと時間が流れ、あたたかい空間の中でそれぞれが自分なりの最期を迎えていく様子が描かれています。

雫と自分が重なる部分も多く、久しぶりに目が腫れるくらい泣いてしまいしましたが、読後感は清々しいものでした。

みなさんもぜひご自宅で暖かくしながら読んでください。
きっと瀬戸内の爽やかな風を感じられると思います。




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