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【声明】「かんぴんたん」氏による付きまといと誹謗中傷、そして高島鈴氏と青本柚紀氏による「差別糾弾」について

「かんぴんたん」氏(または「かんぴん」氏)という人がいます。様々なSNSで「トランスフェム」を名乗り、「すべての差別と暴力に反対します」と謳っている人です。

 この人は、2020年から今に至るまで、4年間にわたり、私に対してネット上で執拗に付きまとい、さまざまなSNSで私を「トランス差別」だとか、「シスプレイニング」だとか、「職業差別」だとか、「障害者差別」だとか、事実無根の誹謗中傷を繰り返してきました。
 さらには、私が登壇するイベントの主催者や主催組織に対して、「李琴峰を登場させるべきではない」「李琴峰に場を提供するのは暴力への加担だ」といった趣旨のメッセージを送りつけ、私のイベントを妨害しようと何度も試みました。

 あるいはこのように、私が言ったこともないことを捏造して拡散し、私を誹謗中傷しています。

嘘八百の捏造

 こういった妨害が実際に成功することは稀なので、実害が大きいとは言わないが、一回だけ、「かんぴんたん」氏の誹謗中傷が原因で、原稿を取り下げなければならない事態が発生しました。

 2022年のことです。『われらはすでに共にある: 反トランス差別ブックレット』の前身となる『反トランス差別ZINE』に、私はもともと寄稿する予定でした。原稿を提出し、編集作業も進んでいました。
 しかし、編集作業の最中に、「かんぴんたん」氏の言い分を鵜呑みにした編集部の高島鈴氏青本柚紀氏が、「李琴峰はトランス差別的な問題発言をした!」と決めつけ、私に対していきなり「差別糾弾状」と呼ぶべきものを送りつけてきました。

 ここで断らなければなりませんが、私は当該ZINEに無償で寄稿していました。そんな無償の寄稿者に対して、編集者の立場にいる高島氏と青本氏は対話をする姿勢を見せるのではなく、ネット上の風説を鵜呑みにし、いきなり一方的な「差別糾弾状」を送りつけてきたのです。
 その「差別糾弾状」の内容は要するに「李琴峰はトランス差別的な問題発言をした! 李琴峰は謝罪し発言を撤回せよ!」という趣旨のものでした。

 むろん、私はトランス差別的な発言などしていないし、「かんぴんたん」氏とのやり取りはまったくもって差別発言には該当しません。むしろ「かんぴんたん」氏が、理性的に対話をしようとした私に対して、強い言葉で一方的に罵倒していました。

(ちなみに、高島氏と青本氏から送りつけられてきた「差別糾弾状」には、「トランス女性であると申請があったのなら、トランス女性として扱う以外の態度は選択すべきではない、たとえそれが百田尚樹だったとしても」という趣旨の、非現実的で、私には到底頷きがたい主張がありました。もしこんな極端な主張に同調しなければ差別者だというのなら、私は差別者で結構です。)

 私は「謝罪・撤回しない」旨を高島氏と青本氏に伝えましたが、両氏はとてもご立腹のようでした。その間、編集部にいた水上文氏は私と両氏の間を取り持とうと、かなり苦労しました。
 さらには、「李琴峰の発言はトランス差別に該当するか?」という「議題」について、編集部はほかの寄稿者や、知り合いの学者の何人かに意見を尋ねました。私の知っている限り、私の発言をトランス差別だと考える人はいませんでした。
 にもかかわらず、高島氏と青本氏は第三者の意見を排斥し続け、あくまで私を「差別的な問題発言をした人物」だと決めつけ続けました。その際、高島氏と親交のある漫画家の山内尚氏も、私を糾弾する側に加わりました。
 最終的に、私は寄稿していた原稿を取り下げざるを得ませんでした。

 現在の『われらはすでに共にある: 反トランス差別ブックレット』に私の原稿が載っていないのは、そういう経緯があったからです。
 まあ、もともと無償で寄稿していたので、原稿を取り下げたところでたいした損害にはなりませんが、それにしても、両氏の対応はありえないなと今でも思っています。
 (念のため言っておきますが、「李琴峰は問題発言をした人物だから彼女の原稿を載せるのは問題だ」というのは、編集部の3人のうち、高島氏と青本氏の両氏の主張でした。同じ編集部にいた水上氏はその主張に同意しなかったし、当該ZINEのほかの書き手や、ブックレットの担当編集者も関与していませんでした。私は高島氏と青本氏の対応と主張に非常に疑問を感じましたが、ブックレット自体はいい出来でした。)

 この「われとも事件」があったのは2022年でしたが、あれから2年が経っているので、正直もうそこまで気にはしていません。トランスヘイトが盛り上がっている中、差別に反対する立場の人たちが内紛しているかのように見えるのはまずいという思いから、私はこれまで、公の場において、この事件に言及したことは一度もありませんでした。
(言うまでもありませんが、高島氏と青本氏による一方的な差別糾弾の対応について、両氏からは謝罪も釈明もありませんでした)。

 ところが、「かんぴんたん」氏は2024年8月現在、依然として私に対する執拗な付きまといや誹謗中傷を繰り返しています。
「かんぴんたん」氏の執拗な付きまといと誹謗中傷に対して、本来は提訴してもいいレベルでしたが、私はあえてしませんでした。
 私がこれまで一切弁明せず、あえて放置したのは、自身の影響力に鑑みての決断でした。「かんぴんたん」氏の自己申告を信じれば、氏は日常生活においてさえ大きな困難を抱えているトランスフェムの方とのことです。私は、トランスジェンダー当事者の悲嘆を増やしたくないので、あえて見てみぬふりをしました。私が公の場で、氏を名指しで反論すると、氏に対して多大なストレスを与えるのではないかと心配していたのです。

 しかし、4年間も続く付きまといと誹謗中傷に対して、そろそろ堪忍袋の緒が切れました。いくらトランス当事者だからといって、私がそのサンドバッグになって叩かれ続けてあげる筋合いはありません。
 しかも、氏の周辺の人たちが、下記のように、一ミリの理もない氏の主張を鵜呑みにし、事実ではないデマを拡散し、私の名誉を低下させています。さすがに看過できません。

 氏との個人的なDMのやり取りは、氏自身が(もちろん私には無断で)全文公開しているので、こちらから読めます
(2024/9/21追記:「かんぴんたん」氏が悪いと思って消したのか、リンク先は現在閲覧できないようです。しかしDMを無断公開した件について、私は氏から謝罪を受けていません)
 記録にあるように、氏は理性的に対話をしようとした私に対して、「裏でコソコソ脅されているようで、恐怖を感じます」だとか、「あまり卑怯な手を使って心労を増やしてくださらないよう、心からお願い申し上げます」だとか、一方的に対話を拒否する姿勢を示しました。
 であればと、氏の心労を増やさないために、私は会話を切り上げるしかありませんでした。

 そもそも、氏とこのDMのやり取りをすることになったのは、氏が私のツイートに対して、いきなり絡んできたからです。私から絡んだわけではありません。

 誰でも見られる場で対話をするのは埒が明かないと思ったので、互いの安全のためDMにしたのですが、それを「裏でコソコソ脅されているようで」だとか、「卑怯な手」だとか、言われたわけです。

 このDMのやり取りは2020年のものですが、あろうことか、氏は自分から対話を拒否しておいて、あれから4年間、ずっと私に対してねちねちと攻撃し続けました。
 私が何かのイベントに登壇した時とか、私が何かの本の帯を書いた時とか、私の著書が映画のパンフレットに取り上げられた時とか、本当にことあるごとに、「自分は被害者だ」という歪んだ被害者意識に基づいて、私に対して、執拗な攻撃を繰り返しています。

 私が氏に対して、およそ配慮の限りを尽くしたにもかかわらず、です。

 さすがにもう我慢なりません。氏は「著名人への告発」のマインドでやっているのだろうが、実際にやっていることは誤読・曲解に基づく、長期にわたる誹謗中傷です。かりに私の発言が本当に「トランス差別」だと解釈される余地がある(ないとは思うが)としても、「職業差別」とか「健常主義」とか「障害者差別」とか「障害者嫌悪」の根拠はどこにあるんですか?
 繰り返します。私はサンドバッグのように、黙って殴られ続ける義理はありません。

 したがって、ここで宣言します。「かんぴんたん」氏の主張は何の合理性もありません。いくら氏がトランス当事者だからといって、そしていくら私がトランス差別に反対しているからといって、氏のあらゆる主張を鵜呑みにするつもりはありません。
「かんぴんたん」氏の歪んだ被害者意識は、氏自身がなんとかしなければならないものです。
何の縁もゆかりもない私は、氏をケアしてさしあげる義務など何ひとつ負っていません。また、氏の付きまといや誹謗中傷を甘受するいわれもありません。

 ちなみに、氏は今「弁護士求む」を掲げているようです。

「かんぴんたん」氏は匿名アカウントなので、私は手間暇かけて氏を特定するつもりはありません。トランス当事者に不要な悲嘆を増やしたくないという気持ちも変わらないので、私から氏に対して提訴するつもりも、今のところありません。
 しかし、もし氏が私に対して提訴するというのなら、受けて立ちます。反訴する用意もちゃんとあります。

 何度でも繰り返しますが、「かんぴんたん」氏の主張には1ミリの理もありません。そして匿名の氏とは違って、私はずっとここにいるし、逃げも隠れもしません。

 ※追記:新刊『言霊の幸う国で』の中で、私は「かんぴんたん」氏とのやり取りの経緯や、氏からの嫌がらせなどを取り上げ、反論をしています。氏は著名人ではない一般人なのでプライバシーに配慮し、作中では(もともと匿名の名前だけどさらに)仮名にしましたが、氏自身が名乗り出ている以上、私ももう配慮する必要はありません。作中で、主人公がPumpkinという人物から粘着的な嫌がらせを受けたという描写がありますが、この部分の描写は、私自身が「かんぴんたん」氏から受けた嫌がらせの実体験に基づいて書きました。
「かんぴんたん」氏は可哀そうなヘイトやハラスメントの被害者ではありません。逆です。氏は、誹謗中傷とハラスメントと嫌がらせの加害者です。
 また、DMのやり取りは「かんぴんたん」氏が先に(私に無断で)ネットで公開したものなので、私が著書で引用しても問題はないと認識しております。問われるべきはむしろ、氏が無断で公開した責任です。

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