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Vol.31 The Rolling Stones(後編)

カリスマであること

ストーンズの曲はいつの時代でもあくまで歌が主役であって当然トップフロントはボーカルのミック・ジャガーです。
にも関わらず多くのファンにとってギタリストのキース・リチャーズはストーンズのアイコンであり続けています。

ギタリストがバンドの中心になるのは70年代ロックではよくあることで、特にハードロックではギタリストのテクニックが歌よりも重要であることは珍しいことではありません。
ただキースの場合はちょっと違っています。速弾きもしませんしエンドレスにアドリブソロを続けたりもしません。

彼の「存在」そのものにファンは惹かれているわけで、つまるところギターを下げて立っているだけで良いのです。
特に70歳を超えたいまではステージでも音数は少なく、たまに思い出したようにコードをギャンと鳴らしたりするようなシーンも見かけます。
それがとにかくカッコよくて。
弾かなくていいギタリストというのもキーズならではです。

今やルックスもしわくちゃで、どちらかというと流木のような雰囲気ですが(控えめに言っておじいちゃんです)、デビュー当初はなかなかの美少年でしたし、なにより70年代の彼のビジュアルはある種の作品とすらいえるものでした。

ぼくは初めてパイレーツ・オブ・カリビアンのジャック・スパロウ船長を観たときに「まんまキースだ」と思いました。
ジョニー・デップもそれは認めているようですし、結局その後お父さん役でキースを映画に引張り出すほどジョニーデップはキースの(あるいはキース・リチャーズというスタイル)の大ファンなんだと思います。


ジャンキーであること

アウトローなロックスターとしての演出というわけでは無いでしょうが、70年代の彼はドラッグジャンキーの代名詞のような存在でした。多くのロックスター同様に悲劇的な死を迎えてもおかしくない状況にあったわけですが、彼は立ち直っています。

運が良かったといえばそれまでですが、彼はあくまでギタリストであることが最重要であり、他の悲劇ロックスターのような破壊志向や何かに追い詰められて生きているような傾向はなかったように思います。
彼にとってドラッグは救いを求める道具ではなく、ロックスターであるための単なる一つのファクターだっただけなのかもしれません。

ギターが好きであること

キースはその存在感やビジュアルのせいでギタープレイがラフなように思われがちですが(速弾き少年からみればヘタクソに見える)、実際はかなり計算された緻密で神経質な音作りをしています。
70年代当時から楽器のチョイスや音作りはかなりマニアックですし、いまの彼の楽器たちはビンテージギターマニア垂涎の名器だらけです。
きっとギターが好きでロックが好きな人なんだと思います。
そういう人柄こそが多くのファンを惹きつける理由なんだろうとも思います。

ふむ、やっぱりストーンズのことはうまく書けませんでした。
申し訳ないです。

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