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ソファでの山岳メタバース疑似体験


私は登山はしません。
500mの高尾山が唯一の頂上制覇です。
それなのに登山に関するマンガやテレビや雑誌が好きなんですよね。
陸サーファーならぬ、ソファ登山家です。
そんな中で、ソファでくつろぎながら疑似体験が出来る、素晴らしい登山マンガについていくつか書きたくなりました。


神々の山嶺

【作:夢枕 獏, 作画:谷口 ジロー】
マイベストof登山マンガです。
登山家の羽生丈二がエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂に挑みます。
この長い漢字の羅列がカッコいいんですよね。
ネットの中でも好きな人が多いのか、パロディとしてよくコマが紹介されてます。登山中のビバークでの食事の描写が多いですね。
ただ食べているだけなのですが、魅力的です。
テレビで際どい山岳アタックの映像をよく見ますが、このマンガは実際の映像以上に圧巻です。
アックスの食い込み、ザイルへの荷重、臨場感は只事じゃありません。
登場人物の思い詰め方は狂気です。
羽生の凄みあるキャラによるセリフがたまりません。
「本当にだめだったら、本当にもう動けなくなったら、思え。 ありったけの心で思え。
男臭いハードボイルドです。


【作:石塚真一】
北アルプス穂高を中心にした山岳救助の作品です。
現在の登山者の多くが年配者だそうです。
この平和な日本において、普通の人が簡単に死ぬ、そんな日常の中の非日常が山の世界です。
実に明るい作品なのですが、一流クライマーではなく善良な登山愛好家が、滑落し骨が飛び出て、遭難し凍え、死んでいきます。それでも山を愛する様々な登場人物に救われる気持ちになります。
父親が遭難し死んだしまった小学生、遺体となった友人を背負う会社員、受け入れる山小屋や葛藤する県警救助隊など、怒る人、謝る人、諦める人、山の事故の中で感情が交錯していきます。
明るい雰囲気での身が引き締まる作品です。


孤高の人

【作:新田次郎, 作画:坂本眞一】
冒頭は学園ドラマで駄作ですが本格的な所からガラッと変わります。
(スラムダンクも最初は学園コメディでしたね。商業誌の宿命です)
登場人物がクズな人だらけです。そこがリアルな俗世かもしれません。
とても暗い作品で、圧倒的な画力の中で、登山の苦しみが増します。
主人公はコミュ障です。だからこそ単独行の心理描写に説得力があります。
山岳を舞台にしているだけで、精神疾患者の症状や絶望と救いを描く作品かもしれません。最難関のK2を登攀する必然性があるとも言えるし、ただの衝動とも言えます。
一歩間違えれば心象表現に逃げた問題作ですが、やはり内面の葛藤を描いた登山に救いを求める展開に魅力があります。


山と食欲と私

【作:信濃川日出雄】
一転して、ユルいユルい作品です。主人公の”山ガール”が、登山の途中で楽しむ山ごはんが目的のグルメ漫画といっていいでしょう。
最近のアウトドアやキャンプブーム、そこで何を食べるのかで盛り上がってますね。計画と作戦と実行がセットになった面白さです。
山のマナーにそれぞれの基準があって、なんかネットで炎上したりするそうですが、こんなユルいマンガでもそうなる、山を趣向する人の奥深さがあるのでしょう。
私はソファ登山家で十分楽しめます。


以上、硬軟いろいろな登山マンガでした。
良いマンガとは、その世界に没入することなのだから、VR技術よりも没入感あるかもしれない。

雄大な北アルプスも、遥か彼方のネパールやパキスタンの山岳地帯も、行楽地ハイキングの山も、どれも魅力的ですね。
行きたいとは思わないのが不思議です。



この記事も予定変更して今しかないとupです。
以下の記事にシンクロ乗っかりたくなりました。




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