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レビー小体型認知症 我が家のケース

突然、家族の体が動かなくなる

ある日、ベッドで寝ている母に話しかけると返事はしますが、いくら勧めても食事もとらず、トイレにも行きません。強引に起こそうとしても体が動きません。このような状態が一日半続きました。以前脳卒中になったこともあり、再発の可能性も考えて本人の承諾を得て救急車を呼びました。

病院に着くと脳検査をしましたが、特に疾患は見付からないという医師の判断でした。 時間が経つと、母の体が少し動くようになったので、その日は家に連れて帰りました。

帰宅後ネットで症状を検索し、症状が数多く当てはまったので、母がレビー小体型認知症であることを確信しました。調べて判ったことですが、レビー小体型認知症は疾患の特徴が脳検査では解りにくいので、脳検査をしても医師が発病に気付かない場合もあるようです。

さらに時間が経つにつれて、母の体が通常通り動くようになってきました。一時的に体がほとんど動かなくなったのは、レビー小体型認知症の運動機能障害だったと思います。
後に、レビー小体型認知症以外の原因で母は亡くなりました。

家族が人形のようになった

ある日、母は椅子に座ったままで、話しかけても返答がありません。そればかりか、体も微動だにせず顔も無表情です。耳の側で何度も大きな声を出しても、顔を指で押しても無表情で、まばたきすらしません。その状態はまるで、急に人形になったかのようでした。不安でしたが、しばらくは救急車を呼ばずに様子を見ることにしました。

十数分くらいそのままでしたが、急に体も動いて、話しかけたら普通に反応しました。どういう状態だったのか本人に質問しましたが、自分でもよく分かっていないようでした。 この時以降は、顔も体も全く動かなくなる状態にはなりませんでした。

後で調べると、この状態はレビー小体型認知症にもある症状で、運動機能障害の仮面様顔貌と呼ばれるものだったようです。それ以外に当てはまる症状はありませんでした。調べるまでは、仮面様顔貌のことを個人的に『フリーズ』と呼んでいました。

仮面様顔貌(かめんようがんぼう)とは

顔面の筋肉の異常による、仮面をかぶったように表情の変化が少ない顔つき。 顔面の筋肉を意識して動かし表情を変えることはできるが、感情に従って無意識のうちに起きる表情の変化はとても少ない。 筋肉の硬直が起きるパーキンソン病のほか、うつ病をはじめとした精神疾患の症状の一つとしてみられる。

夢と現実の区別がつかなくなる

寝起きに、夢で見たことを現実と思い込みます。ただ寝ぼけているだけなら、しばらくたったら夢だと気付きます。しかし、夢を現実と思い込む状態が、半日以上続いたこともありました。時間が経つと、夢で見た内容も忘れてしまっていました。

妄想に取りつかれ頑固になる

母はある日、急に妄想を言い出すようになりました。その妄想とは、生きているのか何処にいるのかも分からない昔の知り合いに会わなければならないと思い込むことです。昔の知り合いと連絡をとっていない筈なのに、知り合いは病院に入院していると言い張っていました。

妄想だけならあまり問題はないのですが、同時に頑固になって言うことをきかなくなり、それが妄想よりもやっかいです。頑固になったことで妄想を信じ込む気持ちが強くなり、しかも妄想を実行に移す行動力もあります。

すぐに知り合いに会いに行くと言い、いくら止めても言うことをきかず、出かける準備をして外に出ようとします。何とか説得してその日は収まったとしても、次の日になるとまた同じ妄想を言います。

妄想の対処

母に妄想の症状がでてくると、あまりにも止めても言うことをきかないので、仕方なく妄想に付き合って一緒に行動することにしました。
ある日は、病院に入院していると言っている知り合いの為に、お見舞いの品を買いに行きました。それで母は納得して、その日は家に帰りました。

そして別の日には、直接病院に行くと言ってきかないので、本人を納得させる為に一緒に病院に行って確認しましたが、母の知り合いは確認出来ませんでした。それで母は納得して、その日は家に帰りました。

病院に行って母の知り合いはいないと確認したのに、それでも数日後、知り合いは病院に入院していると言い張って、また病院に行こうとします。いくら説得しても止めるのが無理だったので、ケアマネージャーさんを呼んで説得してもらったら、納得して落ち着きました。
妄想や頑固さを家族が収められない時には、介護のプロであるケアマネージャーに相談して対処してもらうのも一つの方法だと思います。

そして妄想は、一週間後くらいに突然終わりました。その後は妄想も頑固さも全く無くなり、昔の知り合いのことも全然言わなくなりました。

不可思議な幻聴

ある時から母は椅子に座ったままで、放っておくと食事もせずに、一日中じっとしていました。それは、幻聴に耳を傾けていたからでした。幻視もわずかな期間ありましたが、幻聴の症状が先に現れて、数ヶ月続きました。
コロナが流行した時期だったので、あまり人に会えなかったからか、本人にとっては幻聴が聞こえるのは、寂しさが紛れて嫌なことではなかったようです。

幻聴は一方的に声が聞こえる訳ではなく、話している人の名前を判っていて、会話が成立しているようでした。不思議なことに、母は幻聴との会話によって、判るはずのない家族の情報をいくつも知っていました。

ですが、幻聴とどんな会話をしているのか質問をしても、気が向くと答えてくれることもありますが、大部分は会話の内容を忘れていて、あまり教えてはもらえませんでした。
どうやら時には、幻聴に説教されたようで、自分の欠点を言われていたのも会話の内容をなかなか教えたくなかった理由の一つかもしれません。

幻覚について思うこと

レビー小体型認知症の幻視では、死んだ家族、小人、侍が見えることもあるようです。これらの目撃例は、霊感の強い人が霊を見ている場合によくあることです。

幻視や幻聴などの幻覚は、大部分は実在しないものへの反応だと思います。しかし中には、霊的な存在を見たり、霊的な存在と会話をしている霊現象のケースもあるのではないかと私は思っています。

母は霊感が強くはないのですが、幻視や幻聴を体験した時に、私は霊現象の可能性もあると思っていたので、否定したり感情的にならずに冷静に聴いていました。そういうソフトな対応が、結果的に本人を動揺させずに済みました。

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