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【第35回東京国際映画祭&第23回東京フィルメックス】DAY 3

こんにちはギルドです。
10/28より東京国際映画祭、10/29より東京フィルメックスに参加予定なので現地で鑑賞した作品の短評をまとめます。
観た映画の概要はこちら

前回の記事はこちら


⑦「ヌズーフ/魂、水、人々の移動」

スコア:
63/100

短評:
シリア紛争の渦中にあるダマスカスで難民にならずに残る家族と、爆撃によって家に穴が空いた事で事態が急変するお話。

難民になって路頭に迷うこと、家に愛着を持っていて頑なに戦場から出ようとしない父親の護る優しさのあまり家父長制の支配で抑圧されるという当事者からすればしんどみ強い作品だと思う。

戦争の力で抑圧するマクロなものが父親の護る故のピリピリしたミクロなものに縮小し、家という存在を牢獄のような狭いものとして描く作品で、抑圧からの巨大な穴がもたらす自由・自立への獲得のカタルシスが良かったです。

印象的なのは石を空に投げて水の反射音に変わる地続きなカメラワークで、水の枯渇した環境下を如実に反映するのが良かったです。

とはいえ、個人的にはシリア紛争という戦争の驚異が中盤以降は危機にあまり貢献していなくて戦争の脅威が矮小化したのが緊迫感に欠けていたり、引用されるBGMが単純にミスマッチなのもあって思ったよりハマらなかった作品でした。
あとは家父長制のテーマとしてはあまりにもベタで「結局そうなるんかい!」で終わるのもあって、水の演出やドローンの引用という面白いアイテム使ってる中でそこはもう一捻り欲しかったところはありました。


⑧「タバコは咳の原因になる」

スコア:
75/100

短評:
異色戦隊モノ。「タバコ戦隊」がトカーゲ侵略の為に合宿しろと言われて合宿していくお話。

すっげー面白かったです!!
ゴダール「気狂いピエロ」のアメリカ映画のミュージカル映画、ベトナム戦争への対抗精神のマインドが醸成されていて、本作はMCUに対してケンカをふっかけるような作品て感じがしました。

ヒーローも人間だから家族くらいいても普通だよねとかMCUがかっこよく映しているヴィランの戦い、日本の特撮ものの戦いも一般人から観るとシュールだよねと言わんばかりの皮肉った感じでまず面白い。

何よりもヒーロー映画で描かれる恐怖というのを別の形で表現し直して、合宿中の与太話として外す構図が見事で、バカな事をしてるんだけど理詰めで突き進めるギャップが最高だった!
なんというか横に陣内智則やからすま氏を付けると面白さ三倍増しするタイプの映画で、去年の「偶然と想像」みたいな随所で大笑いする居心地の良い映像体験が出来ました。

JAIHOか日本上映して欲しい作品です。

あとニコチンがすっげー可愛い。

⑨「バルド、偽りの記録と一握りの真実」

スコア:
63/100

短評:
とあるジャーナリスト兼映像作家がインポスター症候群に陥ってしまう話。

賞を取ったにも関わらず自身の中で抱いているモヤモヤの感情が反芻として蘇るが、それを内省という形で映像に出力した「個人の思想の内面」をダイナミックに映しているのが特徴的でした。
特に中盤以降のとっ散らかった思想をそのまま絵として出力して「レヴェナント」のようなダイナミックで壮大な画作りにしているのは魅力的で、独特な雰囲気を楽しめました。

前半から中盤にかけては、反芻と内省に至る過程を描いているが個人的には冗長で鈍重なのと中盤以降へのフリと分かっていても訳わからなさが大きくて「考えるな感じろ」と言われても「モヤモヤが残ったまま観れないよ…」な感じになったので面白いとは思わなかった。

ぶっちゃけ悩んでた「ライフ」観れば良かったかも…と思った


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