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どうやって石から生命が誕生したのか



こんにちは。Level4です。

私は幼少期、上野にある国立科学博物館に連れて行ってもらったことがあります。
国立科学博物館の「地球館」に入ってすぐ、1階の常設展には地球の誕生から現在に至るまでの流れが展示されており、そこには単細胞から多細胞が生まれ、徐々に複雑な生命が生まれる過程が細かく解説されていました。

私はふとその時ある疑問を持ったことを今でも覚えています。
それは、「どうやったら岩石やガスなどの無機物から、生命が誕生するのか」です。

無機物とは、石(AlやSiOなど)とか水(H2O)とか、炭素を含まないもののこと。
有機物は、炭素と酸素で構成されているものの総称です。砂糖(C6H12O6)とかタンパク質(アミノ酸の重合)とかメタンとか。
簡単に言えば燃やすと炭になるのが有機物です。

もちろん人は有機物なのですが、どうやったら石から有機物ができるのかの説明が国立科学博物館にはなく、当時本を読んでもそのことを説明したものはありませんでした。
結局、一生懸命自分で考えた結果、宇宙から細胞がやってきたんだと自分で結論付けました。

今日は当時の自分への答え合わせをしたいと思います。

2つの説

現在は下の2つの説が提唱されています。
「化学進化説」
「宇宙汎種説(パンスメルミア説)」

どちらも生命起源論の一つです。
今日お話しするのは無機物から生命が誕生した化学進化説ですが、パンスメルミア説についても少しだけ解説します。

パンスメルミア説とは、地球の生命は宇宙からやってきたという説です。宇宙に存在していた生命(微生物やRNAなど)が隕石に乗ってやってきたというものですが、実はこれ日本の大学でも研究されている重要なテーマです。

宇宙空間には放射線や無酸素、無重力など生命活動を妨げるいくつもの要因がありますが、どのような状況であれば惑星間を微生物などが移動できるかを現在も研究しているみたいです。

石から生命が生まれる大きな壁

無機物から生命が生まれるには、まずは生命の元である有機物(アミノ酸など)が生成される必要があります。
しかし、皆さんの想像通り自然に生まれるわけではありません。これが生命が生まれるための大きな壁といえます。

しかし実は1953年に、スタンリー・ミラーという生物学者がシカゴ大学の大学院生だった時に試験管の中で無機物から有機物を作り出すことに成功しています。

wikipediaより転載

内容は、地球誕生直後に大気に満ちていたとされるメタンガス(これは超単純な有機物)、水素、アンモニア、水に電気を流すことでアミノ酸が生成されたとする実験です。
(ここから雷が有機物の生成に関わっていたと考えられていました)

雷はあくまでエネルギー源としてであり、海の火口付近であれば熱エネルギーや圧力など様々なエネルギー源がありますので、地球も大きな一つの試験管であると言えます。
またメタンガスという超単純な有機物も重要な構成要素の一つです。

無機物から簡単な有機物ができてさえしまえば、あとはそこから連鎖的に複雑な構造の有機物が誕生します。
(アミノ酸同士が繋がるとタンパク質になり、タンパク質が繋がると一つの塊となり、代謝可能な塊がうまれる・・・)

また、メタンガスができさえすれば有機物ができるとも言えます

ファンデルワールス力

簡単な有機物が生まれるとお互いが自然と見えない力で引きつけ合い、つながり合っていきます。
この見えない力のことをファンデルワールス力といいます。
磁石のようなチカラです。

人気ゲーム「塊魂」のように、簡単な有機物同士が重なりポリマー(重合体)となり、ポリマー同士が重なり細胞となっていきます。

簡単な有機物ができるまで40億年

生物が生まれるまでを時系列に沿って見ていきます。

まず地球が誕生したのは46億年前。
地球が生まれてから5年間はメタンガスや水素が大気を充満させていました。
そして岩石が初めて地球上に誕生したのがそれから約11億年後の35億年前。
我々は岩石に含まれる成分や化石から生命の歴史を遡っているために35億年前に生物が居たのかは分かっていません。

そこからさらに10億年をかけて、大気を二酸化炭素や窒素が覆っていきます。
25億年前、二酸化炭素を栄養にする世界最古の生物「シアノバクテリア」が誕生しました。(発見されている中で最古というだけ)
二酸化炭素から酸素に変える代謝機能を持つシアノバクテリアが大量発生したために「酸素」が満たされあらゆる生物が爆発的に生まれます。

こうして様々な生命が爆発的に増えたのは6億年前のカンブリア時代です。(カンブリア爆発)
(25億年前から6億年前の20億年の間ゆっくりと増えていったのですね)

石から有機物が生まれる

活発な断層帯付近では水素ガスと岩石に含まれる二酸化炭素が熱によって反応しメタンガスができるとされています。
メタンガスが発生すると海を抜けて空気中へ放出されます。

こうして、石と水から朝単純なメタンガスという有機物が生成されます。
さらに熱などのエネルギーが加わることでメタンガスや水、アンモニアなどが反応しアミノ酸になるのです。

有機物からどうやって細胞が生まれるのか

まず、最古の生命、シアノバクテリアの構造を見てみると細胞壁によって形が成されていることが分かります。

細胞壁の構成成分はペプチドグリカンと呼ばれるタンパク質です。
即ち「アミノ酸が重なったもの」が細胞壁になります。いわば生命の入れ物が誕生しました。

そのうち、外からまた違うタンパク質を取り込み、さらに核酸(酸素やリン、炭化水素が重なった遺伝子のもと)なども取り込んでいきます。
本当に塊魂のようですね。

そうして大っきくなったのがシアノバクテリアです。
次第にこの細胞でさえも取り込むやつらも現れ、取り込んだ細胞を溶かすような物質なども生成されるようになります。
「代謝」の誕生です。

ここまで自我を持っていないのに、すでに生物的な動きをしています。
自己複製できるようになるまで、これらを繰り返していくのです。

ミケランジェロ「アダムの創造」の冒頭で、神が6日間で動植物を作ったと書かれていますが、さすがに無理です。

まとめ

無機物が外部のエネルギーによって単純なアミノ酸への変わり、それらが引きつけあってタンパク質となり、さらにタンパク質が引きつけあって生物ができた。


というのが当時の自分への答えになります。
昔の自分は理解できるかな。
年月をかければ自然に石から生命は誕生するのですね。
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参考文献
「藻類の炭酸カルシウム形成ーその機構と大気 C02循環への貢献 -」
http://sourui.org/publications/sorui/list/Sourui_PDF/Sourui-56-03-185.pdf
「化学進化、生命の起源への化学物質の進化https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakukyouiku/22/6/22_KJ00003480394/_pdf/-char/ja
「海底下地殻内流体系のメタンの起源 」
http://www.geochem.jp/journal_j/contents/pdf/44-4-137.pdf

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