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読書感想:「空想科学裁判」円道祥之

(見出し画像はCopilot Designerで作成しました。)
2001年発行なので、20年以上前の本だが、こういう古い本と出合いやすいのは図書館の良いところだと思う。
漫画やアニメ作品の中の出来事を、現実の法律にあてはめて考えている本。
たとえば巨大ロボットを出撃させるとしたら、自動車では無いので道路上は歩けないとか、「家宅侵入罪」や「建造物損害罪」になるとか、そんな話だ。
本書で取り上げられている作品は「仮面ライダー」、「巨人の星」、「マジンガーZ」等。有名なのでタイトルは知っているが、実際に見たことはない作品なのでわからない事も多かった。出版された時期も20年以上前なので仕方ないのだが、取り扱う作品も古いので詳しくは知らない、と言う人も多いかもしれない。

本書によると、「ドラえもん」はのび太の所有物にあたり、所得税がかかると指摘されている。この本では「ドラえもん」の価値を「3億円」と仮定し、所得税を「5445万6200円」と計算している。そこからのび太がどうやって高額の税金を支払うかについてドラえもんを隠して脱税すると犯罪になりより重い加算税が課されるだとか、ドラえもんを分解して物納するだとかの対策(?)も書かれている。
本書の趣旨とはズレるツッコミだが、「ドラえもん」の秘密道具を使えば税金分を稼ぐ方法はあるのでは?とかそもそも何でドラえもんの価値を3億にしたのか?高額の税がかかるというインパクトの為に特に原作に無い設定を勝手に作っていないか?と少し腑に落ちない部分もあった。

また別の章では、「兜甲児がマジンガーに乗るとき、ホバーパイルダーという小型の飛行機を操縦してマジンガーの頭部にドッキングさせる。ホバーパイルダーは航空機なので、航空法に基づいて操縦には航空従事者技能証明が必要だが、兜甲児は未成年なので取得できない。故に、法的にこの問題をクリアするなら、技能証明を持った人間にあらかじめホバーパイルダーをドッキングさせておき、兜甲児はマジンガーにはしごで登って搭乗する必要がある」というような解説がなされている。
法律的に正しくても、いちいち梯子を上って乗り込むのはお話のテンポが悪いしかっこよくない、という問題がある。フィクションにおいてのリアリティと嘘、についての議論は色々とあるだろうのでここでは深くはふれないけれど、物語の中で、現実だとおかしいけれどスルーされてることって結構あるよね、という視点にあらためて気づかされる部分もあると思う。でも物語の中では全く気にならないこともあって、そこが作り手の上手さだったりするのかな?

#読書感想文 #空想科学  

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