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情報の経済学 【悪貨が良貨を駆逐する】

アドバース・セレクション

アドバース・セレクション?

馴染みのない方もいらっしゃると思いますが、簡単に言うと虚偽表示をするプレーヤーだけが市場に残りがちになる事を言います。逆選択や逆淘汰とも言うらしいです。

まぁ、どういう事かと言いますと…

100万円の価値しかない中古車。基本これを知っているのは、販売する側だけです。『100万円で売っても儲からないなぁ。』と考えた営業マンAが、『150万円で、販売してみよう!』見えない故障などの情報を隠し、買い手がその情報を知る由もなかった場合、その営業マンAの言葉を信じ買った場合、150万円の価値の車となってしまいます。
ここに正直な営業マンBが、150万円の中古車を150万円で販売しようとする。150万の中古車 VS 150万の中古車となります。本来、100万円の価値しかない中古車の営業マンAが、ここで値段を130万にしたとします。正直者の営業マンBの中古車が値下げできなかった場合、買い手は130万の中古車を買う確率が高くなります。これを繰り返した結果、市場には本来100万円の価値しかない、または本来の価値より高く販売をする営業マンだけが、市場に残ってしまう事になります。これが、【悪貨が良貨を駆逐する】という事になっていきます。

まぁ、悪いような情報のみを言っていますが、コストを抑えて低価格で販売する事ができた場合、【良貨が悪貨を駆逐する】なんて事もありますよね。言葉の使い方に疑問が残りますが。

ビジネスシーンでよくあるアドバース・セレクション

そもそもなぜこのアドバースセレクションという事が、起きてしまうのか。それは、【情報の非対称性】と言うのがあるからなんです。

情報の非対称性?

情報の非対称性とは、例えばわたしの経験なんかで言いますと、パート・アルバイトの面接なんかで、採用されたいがゆえ、

『私、何時でも入れます。土日祝日でも言っていただければ、協力します。』

いるんです。こう言う方。企業側の立場から言うと、欲しくなるんですよ。だって楽ですもん。現場は…だけど、わたしはこういう方ほぼ採用しないです。確率の問題ですが。わたしの私見は置いといて。
この『いつでも働ける。』という情報は、企業側ではわからず発言した面接に来た方のみ、知る事ができる情報なんです。採用して働いてもらって、実際全然出勤しないじゃん。わたしの見る目がなかったか。そんな思いをする確率が高かったのです。

情報の非対称性。他にあるかなぁ?

あっ!半沢直樹でこの間ありましたね。フォックス!フォックスこそが悪貨でしたね。スパイラルの社長は、新株発行した時の資金をフォックスが用意できる。という情報を信じ切ってましたよね。そういう視点でも半沢直樹は、楽しめるのか。今、知りました。

というように、本来の情報と手に入れた情報にくい違いがある。そんな事を【情報の非対称性】なんて言います。
この情報の非対称性を解消する仕組みを取り入れているのが、メルカリなんだそうです。

エージェンシー理論 【人が合理的だからこそ、組織の問題は起こる】

モラルハザード問題

モラルハザード問題とは、取引が成立したに生じる問題の事です。例えがあっているか微妙ですが。仕事が早いはずの人が、なぜか残業が増えていってしまうのも、この問題かと思います。会社側としては、時間通り終わらして帰れるはずが、帰らないために残業代が発生してしまう。働く方としては、一生懸命働いていたがある日を堺に、残業代が欲しくなってしまった。そんな時に、わざと営業回りから遅く帰社し、退社が遅れる事によって残業代を手にする。これは、管理者からすれば悩ましい問題である。退社が遅く営業成績も良い。なら、まだ良い方です。営業成績悪く、退社時間も遅い。であれば、非常に問題な社員となってくるからだ。ただ、この問題は上司と部下という関係に限らず、企業では経営者と管理職、株主と経営者などといった関係でも起こる問題でもある。

モラルハザードの解消法

モラルハザードが、なぜ起きてしまうか?を考えていくと、そこには【目的の不一致】と【情報の非対称性】が、問題として見えてくる。上司と部下の関係で、営業成績が悪い部下がいたとすれば、ここは上司と部下の【目的の不一致】となってくる。上司が『部の成績をあげたい。』と思っていても、部下は『給料がもらえていれば、いっか。』と思っていれば、当然起こりうる問題となってくる。これを解消していくのが【インセンティブ】となってくる。ただ、モラルハザードを解消しようとして、安易に業績連動型のインセティブを導入したりすると、成績詐称の別のモラルハザード問題を生み出したりもしてしまう。こう考えただけでも経営って難しい。ストックオプションなんか目新しいモノを勉強すると、『へぇ。こんな事を取り入れる企業ってあるんだな!』って思うけど、同じような問題が発生する可能性があるらしい。

企業は、いろんな問題を抱えていたり、いろんな視点で仕組みを考えて行かなければいけないんですね。

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