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一次創作オタク向け:フリーゲームの作り方⑤ 完結編


こんにちは。
超初心者向けフリーゲーム制作講座の第五弾、素材と組み込み編です。
第四弾では制作ソフトの学び方について説明していますので、もしよければご覧ください。


はじめに

前回で、制作ツールの使い方についてはざっくり把握していただけたでしょうか。ツールの便利さや多機能さ、思いのほか手動で設定しないといけない箇所の多さなど、大体掴めてきたころかと思います。
それでは、いよいよ次の段階へ進みましょう。

花形登場

さて、ここからが楽しいところです。
皆さんがゲーム制作と聞いて最初に思いついたであろう作業……
絵や背景、音楽を用意していきます!
といっても、ここに関しては個人差が大きいので、正直書くことはありません。各自好きなように、願いを祈りを欲を込めて、自由に作ってください。
解散ッ!!

……などといってしまっては記事の意味がないので、いくつかの注意点やTipsを掲載します。また、この記事が完結してからではありますが、BGMの作り方についても番外編として記事を作りますので、よければそちらも参考にしてください。

Tips集

ゲーム制作では多数の素材を作ります。知っておくと便利な知識を載せています。

素材に頼ろう

「やっと好きにやれる場面が来た!!全部自作してやるぜ!!」
待ってください!その気持ち……めちゃくちゃわかります。

折角全部自分の好きにできる作品を作っているのだから、何から何までこだわりたい!完全オリジナルとしたい!と、そういう気概でここまで来てくださった方も多いと思います。もちろんすべてが自作素材のゲームはそれだけで個性的ですし、唯一無二の存在感を放ちます。
しかしながら、中々難しいことでもあるのです。ゲーム制作には膨大な時間がかかります。その時間の半分近くは素材の制作、ということが大半です。
背景画像やUI(メニュー画面とかセーブとかロードとかのボタン素材)、BGMなど、慣れない部分はフリー素材などを借りることを推奨します。その際、借りた素材メモに追加することも忘れずに。

※前述のとおり、素材を作るのにはすさまじい努力と技術と時間が必要です。それを無料で公開してくださっているのは作者さんの善意なので、必ず素材の作者さんに敬意を払おう

作業時間を測ろう

もし自作したいのなら、まずは自分の制作速度を知りましょう。
「背景一枚」「立ち絵1枚(+差分)」「BGM1曲」など、貴方が自作したい部分をまず一つ作ります。一つの素材を作るのに、どれだけの時間がかかったかを計測しましょう。
あなたは一日に何時間くらいゲーム制作ができそうですか?休日は?平日だったらどうですか?予定がある日はありませんか?日々のやることをする時間は必ず確保して、睡眠時間も忘れずにとってください。体調が悪いときは休んだ方がいいですから、余裕を持ったスケジュールにしたいですね。
ある程度時間を少なめに見積もって、すべての素材をつくるのにどれくらいかかるかを計算してみましょう。

どうでしたか? すべてを自作するとした場合、結構な日数が吹き飛ぶのではないでしょうか。

もちろん、ここで出した結果通りになるわけではありません。体調が悪くて全く制作を進められない日もあれば、いつも以上に捗って何日分もの成果を出せる日もあるでしょう。ですが、未来のコンディションがわからない以上、あまり無理をしない計画を立てた方が無難です。

……でも、BGMとか自作すると憧れのサウンドトラックとかが出せて楽しいッスよ。慣れてきたらぜひ挑戦してみてください!

ファイル名

皆さんは立ち絵や曲の素材、どんなファイル名で保存していますか?
「イラスト11.png」「立ち絵_1 コピー 2 完成版 最終版 aaaaa.png」など、人によってさまざまかと思います。もちろん自分がわかりやすければいいのですが、一つだけ注意点があります。
全角と特殊文字を使わないことです。

全角について。先ほどの「イラスト11.png」の「イラスト」部分のことです。これはファイルをやり取りする際の基本でもあるのですが、全角が入っているファイルは別のパソコンに移動させた際に文字化けを起こすことがあります。文字化けというのは、「譁?ュ怜喧縺」←これのことです。
ゲーム制作ソフトは、ファイル名を指定することで画像やテキストを表示してくれています。そこでファイル名が変わってしまうと、正常に表示することができなくなってしまうのです。

特殊文字について。ドイツ語専用の文字がありますよね。「ü」とか「ä」とかのことなのですが、時にこれが悪さをすることがあります。完成したゲームをzipファイルにできず、配布するための圧縮が行えない、というパターンもまれにあります。なるべく基本的なアルファベットのみで表記しましょう。

立ち絵の画像サイズ

大体なんでも大丈夫なんですが、画像の縦サイズはゲーム画面の縦サイズと合わせた方がいいです。位置の調整が楽になります。
この辺りは好みになりますが、キャラクターごとの身長の違いなどを表現しやすい部分かもしれませんね。身長の低いキャラを忠実に再現したら、メッセージウィンドウと被ってしまって立ち絵の大半が隠れてしまった……なんてパターンもあるので、この辺りは実際のゲーム画面をスクリーンショットして、参考にしながらバランスを見てください。

組み込み

ようやく素材が揃いましたね!それでは、早速これらを実際に組み立てて生きましょう。第四弾で紹介したようなチュートリアル、説明書をみながら、ゲームを作っていく段階です。この時点でのTipsは以下の通り。

テキストから先に入れる

「シナリオも立ち絵もある!もうゲーム作ってもいいよな?!」もちろん大丈夫です。これは必須の手順ではないので、お好みで省いてもいいのですが、せりふや地の文といったテキスト、最低限の分岐などから先に入れていくと便利です。会話のテンポ感や、文章のつながりの違和感などを先にチェックしてしまい、そのあとに立ち絵などの演出を入れていこう、という作戦になります。テキストだけの時点では画面が寂しく、ちょっと不安になるかもしれませんが、チェックを終えて立ち絵を入れると一気に華やかになりますからご安心ください。

定期的にチェックする

いよいよゲーム制作も大詰め、一気に作ってしまいたい気持ちもあるかと思います。筆が乗ってどんどん実装していくのも楽しい作業です。ただ、残念なことに、一度もバグが出ないプログラムというものは存在しません。立ち絵がダブッてしまったり、誤字があったり、なぜか前の画面で表示したボタンが残っていたり……3分ちょっとの内容でも、結構な量の不具合やバグがでたりするのです。「一気に作った!へとへとだけど完成だ!やるぞ~~~!!」と喜び勇んで起動したとき、これらのミスがすべて流れ込んでくるのは……正直つらいものがあります。
ですので、ある程度の区切りまで完成したら確認する、ということを定期的に行っていく方法を推奨しています。海外のゲーム開発者の間では、毎週金曜日に動作確認をする文化があるとか。

デバッグメニューを作る

ティラノビルダーなど、途中からプレビューできる機能がある場合はそのままで大丈夫なのですが、ウディタの場合はこれがあると効率的に確認が行えます。好感度など、実際にプレイしないと動かせない数値を直接動かしてしまおうという開発用の機能のことです。
デバッグメニューの作り方は、ぴぽや様のこちらの記事が大変わかりやすいです。


確認しながらゲームを作り、予定していた分をすべて完成したという状態が、いずれあなたにも訪れると思います。
まずは、おめでとうございます!!よくここまでの過酷な作業を終わらせましたね……本当に偉い。マジでなかなかできることじゃないです。今日一日は自分をたくさん甘やかしてください。

「やったー!これで終わりだ!公開だー!!」

その前にもう一つだけ、やることがあります。

デバッグ

あなたの作品は完成しました。素晴らしいアイデアとストーリー、最高なキャラクターが詰め込まれたそのゲームの魅力を、プレイヤーにすべて伝えたいですよね。そのためには、「デバッグ」という作業が必要になります。

デバッグとは、ゲームを遊びながら誤字・脱字、不具合、バグなどをチェックし、修正していく作業のことです。「なんとなくで遊んでくれたらいいよ~、もう疲れたよ……」そうお思いの方もいるかもしれません。しかし、ちょっとのミスであなたの作品が真価を発揮できないのは非常にもったいない……!日にちを置いて、徐々にでも大丈夫なので、確実に安定したプレイができるゲームを作っていきましょう。

手順

ゲームの作り方は人それぞれで、デバッグもいろいろな進め方があります。一例として、筆者のやり方をご紹介します。

まずはゲームを最初から最後まで通しで遊ぶ、「通しプレイ」を何度か行います。手元にテキストエディタなどを用意し、修正したい点が見つかったらメモしていきます。この際、見つけるたびに直しているとなかなか終わらないので、メモしたらプレイを進めてしまいましょう。
この通しプレイを複数回行い、問題がないことが確認できたでしょうか。
次はイレギュラーな操作を行っていきます。
「本来はAの町に入るところでBの町に入ってみる」といった、作者が想定している流れにはない操作を何度か試していくことで、今までには見えてこなかったバグが現れます。倒してないはずの敵を倒したことになっていたり、クエストをクリアしていないのにしたことになっていたり……。これを一つ一つ潰していくことで、どんなプレイヤーにも対応できる、安定したゲームが出来上がります。

この作業を終えた後、再び数回通しプレイを行い、問題がなさそうであれば、デバッグを終えても大丈夫です。

出来ればほしいテストプレイ

こうしてできたゲームを出力したら、試しに友達に遊んでもらいましょう!Discordなどで画面を共有してもらいながら、正しく動作しているか、操作しづらい場所はないか、といったフィードバックをもらいましょう。また、作者自身も画面を見ることで、意図していなかった動きや演出になっていることにも気が付けます。

友達がいない時はしなくても大丈夫です。
私のサーバーに来てくれれば(その時できる範囲で)テストプレイをするので、よかったら頼ってくださいね。

テストプレイを行い、直したいところを直し切ったのなら……
正真正銘、あなたのゲームは完成です!

ウイニングラン

完成したゲームを配布するにあたって、最後の一仕事と行きましょう。
ゲームの円滑なプレイのため、以下の四つのファイルを同梱するのです。

「Readme(リードミー、ゲームの説明書)」「(許可するなら)実況・配信規約」「(許可するなら)二次創作ガイドライン」「(マルチエンドなら)エンド分岐条件」


こちらのツールも便利ですよ。

Readme

Readmeとは、ゲームの操作方法やお借りした素材、バグがあった時の連絡先などを記した説明書のことです。
こちらのサイトなどを使って書くといいでしょう。

実況・配信規約

もしあなたがゲームの実況や配信を許可するのであれば、その時に守ってほしいことを決めておくといいでしょう。たとえば「動画のサムネイルでストーリー後半のネタバレをしない」といったものなどです。

二次創作ガイドライン

二次創作を許可するのならば、こちらも決めておくとよいです。後から周知することは難しいですから、最初にしっかりと決めておきましょう。二次創作を自分も見たい!という場合は、Twitter等でファンアート用のタグを併記しておくといいですよ。ほかのタグと被らないよう、一度調べてから設定しましょう。

エンド分岐条件

フリーゲームは遊ぶ人数が少なく、攻略情報などはほとんど出回りません。手がかりが何もないと、「エンディングがいくつかあることは分かったけど、どこをどうしていいかわからない……」と途方に暮れ、最後まで見ることを諦めてしまうプレイヤーも出てくるでしょう。テキストファイルは見たい人が見たいときに開けるので、ここにヒントなどを書いておくと親切なゲームとなります。

ゲームの投稿先

折角できたゲーム、沢山の人に遊んでもらいたいですよね。フリーゲーム投稿先としておすすめなサイトをいくつかご紹介します。
沢山投稿するときは、修正版を出したときにすべてのサイトで更新することになるかと思うので、ちょっとめんどくさくなるかもしれません。でも、たくさんの人に届く機会になります!

ノベルゲームコレクション

ティラノビルダー・スクリプト限定ではありますが、相当活発なサイトです。コメント欄の治安もよく、定期的なオンラインフェスの開催で活気もあります。初心者にはうってつけの投稿場所です。スタッフさんによる審査があり、完了すれば投稿となります。

ふりーむ!

老舗のフリーゲーム投稿サイトです。コメントは比較的手厳しいものも多いですが、人気のサイトですので見てもらえる確率は上がります。スタッフさんによる審査があり、不穏な要素は審査落ちとなりやすい傾向があります。

booth

ありとあらゆるグッズやソフトを販売できるサイト。無料で公開することも可能です。pixivアカウントがあれば登録可能です。これ自体から知ってもらう、ということはほとんどありませんが、グッズ販売も兼ねることができるので便利です。

ほかにもitch.ioやフリーゲーム夢幻、DLsiteなど、様々な投稿サイトがありますが、初心者向けだとこのあたりでしょうか。

おわりに

ゲーム制作、本当にお疲れ様でした!!
この記事はひとまず、今回で完了となります。ここまで読んで腐ってありがとうございました!

ほかには番外編の「素人に産毛を生やす作曲講座」、「おすすめ素材サイト編」など、要望に応じて執筆します。

あなたの作品を大事にしてくださいね。
ゲーム制作、楽しんでください!

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