見出し画像

一次創作オタク向け:フリーゲームの作り方① 企画編

「こんなゲームがあって、そこにこんな奴が出て……で、こいつがここでこれをするのがヤバくて……なんで本編がないんだ?」「おれの創作、よすぎるのに全然知られてない!もっとみんなに見てほしいぜ!!「現実逃避がしたい!膨大な作業に埋もれたい!!

そんなあなたにおすすめなのがゲーム制作です。
ゲームはれっきとした本編ですし、作品です。もしかしたら実況してもらえるかもしれないし、暇は無限に潰せます。
一生をかけて楽しめる趣味、ゲーム制作の始め方をご紹介します。


はじめに

これは、いわゆるノベル/ADV系の作り方を解説する記事です。キャラクターが会話を中心に物語を展開し、ストーリーをメインに楽しむタイプのヤツ。
アクション要素が少ない分、比較的初心者向きのジャンルになります。
大体こんなゲームができあがります。

「どんなゲームを作ろうかな?」と考える企画段階から、実際にゲームの機能を作る実装、使用するイラスト、BGMの作成、それらの組み込みからバグの修正、完成後の投稿場所から宣伝用PVに至るまで、あなたのゲームが「少なくとも、それなりにはなった」と思えるまではカバーします。長い記事とはなりますが、お付き合いいただけると幸いです。

材料

今回使用する道具は以下のようになっています。

  • パソコン

  • 任意のお絵かきソフト(スマホOK)

  • 強い気持ち

それではひとつずつ見ていきましょう。

パソコン

この記事では、なるべくあなたの経済的負担にならないような手段で、プログラミングの知識がなくても作れるようなやりかたを取ります。ゲーム制作ソフトは無料のものを使用しますし、作曲ツールも1000円以内で購入出来ます。
しかし、どうしても必要なものがあります。それがパソコンです。

スマホだけでゲームを作れるソフト(Android版Godot engineなど)もないことはないのですが、今回紹介するやり方よりもやや難しく、現時点では日本語の資料が少ない状態です。

今回使うツールでは、比較的動作が軽いものを選びました。デスクトップの高性能なパソコンである必要はありません、ある程度最近のものであれば、数年前のノートPCでも動かすことは可能でしょう。

任意のお絵かきソフト

こちらは、ゲーム内に使用する画像の編集に使います。こちらはスマホでもOKです。アイビスペイントなど、お好きなものをお使いください。


強い気持ち

ゲーム制作で一番大切なものです。具体的にはモチベーション。

ゲームを作るにはかなり大量の作業が必要です。
ウディタには制作にかかった時間を記録する機能があります。プレイ時間が1時間になるかならないかというゲーム内容を作るのに、私の場合は約140時間、二か月間かかりました。……正直、簡単な道のりとは言えません。

ここで大事になってくるのがモチベーションの管理なのです。
毎日ちょっとずつでも制作に取り組み、そしてある程度の妥協をすることができれば、絶対にゲームは完成します。どんなに苦手な作業でも、手を動かし始めてしまえばやる気は後からついてきます。ただし、原動力となるモチベーションは一度尽きるとなかなかすぐには戻ってきません。
焦らず、疲れたら休んで、作品自体を嫌いになってしまう前に休憩することを忘れないでください。

制作の流れ

ゲームの作り方はいろいろとありますが、筆者は以下のようにして作っています。

1.ゲームの内容を考える(企画)

一番最初にして一番大切な部分です。
これから作るゲームはどんな内容か、遊ぶことでどんな気持ちにさせたいかなど、今後の作業全体の方針を決めるものになります。

2.プロットを書く

1で決めた内容をもとに、具体的なゲーム本編の流れを書き出していきます。内容を先に決めておくことで、どんな機能を作ればいいのか、そのために何を調べればいいのか、どのくらいの規模になりそうかが把握できます。

3.ストーリーを考える(シナリオ)

2で作ったプロットをさらに掘り下げて、実際にキャラが喋るセリフや、どんな立ち絵を表示するかを決めていきます。完璧にならなくても大丈夫です。製作途中に変えることもできるので、とりあえず進みましょう。

4.シナリオをもとに、必要な素材を書き出す

シナリオを書いたことで、どんな背景画像が必要なのか、このキャラクターに必要な立ち絵差分はどれくらいかが把握できたかと思います。
ここではそれらを書き出し、タスク管理アプリや進捗管理サイトに登録していきます。地味ではありますが、進み具合がわかるツールはモチベ―ション維持のためにも重要です。

5.必要な機能を実装する(プログラミング)

ゲーム制作ソフトには基本的な機能は揃っていますが、デフォルト以上の機能が欲しい場合は自作、または誰かが作ったものを借りる必要があります。
筆者の場合、曲やイラストなど、得意な作業を終えた後に、はじめてプログラミングをする……となると苦しくなるので、先にこれを終えてしまいます。

6.必要な素材を作る(イラスト、音楽、背景、効果音など)

実際に使う立ち絵や背景、キャラのテーマソングや使う効果音を用意していきます。背景を描くことは苦手であったり、曲を作ることができない場合も、素材を借りて作ることができます。
素材を借りる場合は、必ず素材を配布している方の利用規約を読みましょう。そして使うと決めたら、すぐにメモ帳にその方の名前とサイト名、借りたものをメモしましょう。
エンドロールで表示するため、この時点で必ずメモしましょう。

7.実際にシナリオと素材を組み込んでいく(組み込み)

素材が用意できたら実装しましょう。正直、これは素材制作と並行で進めても問題ありません。ゲームを作ると、どこかで必ずバグが発生します。都度遊んで確認することで、これをある程度減らしておくことができるのです。海外のゲーム制作者の間では、毎週決まった曜日に、今の進み具合を実際に遊んで確認しよう!という文化もあるそうです。

8.ゲームにバグや不具合がないか調べる(デバッグ)

一通り組み込み終わって、エンディングまでできた!もうこれ完成じゃん!最高~~!!!
……と、言いたいところなのですが、まだ終わりません。ゲームは誰がやっても最後まで遊べる、ということが最低限の条件です。もちろんお金が発生しているゲームではないので、多少の誤字や表示ミスがある分には(雰囲気は削がれるかもしれませんが)セーフかもしれません。
しかしながら、進行不能になるバグなどがあると、せっかく遊んでくれたプレイヤーの方をがっかりさせてしまいます。あなたの素晴らしい作品の真骨頂を知る前に、ゲームを閉じてしまうかもしれません。
そんな悲しい事態を防ぐため、ゲームを何度も遊んで、不具合やバグがないかを調べていく作業になります。

9.誰かに遊んでもらい、不具合などを調べる(テストプレイ)

この段階になる頃、あなたは自分のゲームを何度も遊んで、問題なく進めることを確認したことでしょう。リリースは間近ですが、ここでもう一つだけやらなければいけない作業があります。
「誰かに遊んでもらう」テストプレイです。
出来上がったデータを友人などにわたして、遊んでもらいます。
そして、その感想をもとにゲームを修正したり、改善したりします。

自分の頭ではわかっているから、当たり前に進めるような部分も、他人から見たら何をしていいかわからない場面になっているかもしれません。制作後半で疲れているかもしれませんが、ここでもらった意見を反映することで、あなたのゲームは更にクオリティが上がるはずです。

10.ゲームを投稿する(リリース)

ここまでくればもう最高!
出来上がったゲームに説明書や実況・配信・二次創作ガイドライン、バグ報告の連絡先などが書かれたファイルを付け、サイトに投稿します。
……そして、バグ報告があれば修正します。

11.ゲームを知ってもらえるよう宣伝する

キャラクターの落書きをしたり、ツイートをしたり、動画を作って投稿したりして、ゲームをいろんな人に宣伝します。どんなにいいゲームでも、知られなければ手に取られるチャンスも減ってしまいます。宣伝に力を入れて、沢山の人に遊んでもらえるよう頑張りましょう!

以上が、ゲーム制作の流れです。
この記事では、いくつかに分けて投稿していきます。

今回は企画編です。ゆっくりですが更新していきますので、何卒宜しくお願い致します。

ゲームの内容を考える(企画)

質問があります。

あなたの作りたいゲームは、どんなゲームですか?
……きっと、ワクワクするようなアイデアや、魅力的なキャラクター、独創的な世界観を教えてくれると思います。

さらに質問をします。

ゲームのジャンルは?どんな演出がしたい?プレイ時間はどれくらい?世界観は?このゲームを好きそうな知り合いは誰?主人公はどこで、何をする?プレイヤーはどんな体験をする?ほかにはどんなキャラがいる?

……どうでしょう。ちょっとウワッってなりませんでしたか?
このように、いざゲームを作ろうとすると、考えることは山積みです。正直、どこから手を付けていいかわかりません。筆者はこの経緯で途方に暮れた経験が何度もあります。
筆者の場合、次のようなやり方をとっています。

思いついたことを全部メモする

演出、キャラ、セリフ、ストーリー展開、システム……思いつくものは全部、アプリやクロッキー帳にメモしていきます。この時点ではガンガン書き出して、忘れないようにすることが優先ですから、書き直せる鉛筆ではなくボールペンがおすすめです。

ゲームに必要な画面を書き出す

アイデアをメモしたことで、ある程度固まってきたかと思います。
そこで、このゲームが実際にあったら、どんな画面になるか。最終的な完成形をスクショしたら、どうなりそうかを考えます。
会話パート、探索パート、メニュー画面など、ゲームに必要そうな画面をすべて書き出していきます。

ざっくりで大丈夫

「スクリーンショット」を作る

画面一覧が出来上がったら、その中から特に重要な画面を4枚清書してみましょう。このゲームを紹介するとして、ツイッターでどの部分をスクショして貼るかということを意識するとやりやすいかと思います。

スクリーンショットの下書きです
画像ソフトでゲーム風に編集しただけのもの。

これらを4枚用意出来たら、ツイートしてみましょう。

このツイートは宣伝も兼ねているのでやや凝っていますが、とりあえず「こういうゲーム作りたいんだよね」とかで大丈夫です。

すると……?あなたは今、ゲームの進捗を発表しましたね?
これであなたはゲーム制作者です。
ゲーム案を考える、その第一段階をクリアしたことになります。

ちなみに上のツイートでは#スーパーゲ制デーというタグが付いていますが、これはフリーゲームの大手投稿サイト「ふりーむ!」様が主催しているお祭り的なタグです。毎月中旬に、みんなでゲームの進捗をツイートしよう!というイベント。
時期が近くなると「ふりーむ!」公式アカウントさんが開催を告知するので、実際ゲーム制作が進みだしたらそこへの宣伝画像を用意しておくのもよいでしょう。(ものすごいクオリティの人を見て凹みそうなら見ないほうがいいかもしれません)

※企画書という手もある

……というのが、簡単なゲーム内容の決め方です。
先程説明したようなゲーム内容を、プレゼン資料である企画書という形で作る方法もあります。(インディーゲームやゲーム会社で使われています)

集英社によるゲームクリエイター支援サイト、「集英社ゲームクリエイターズCAMP」の公式youtubeで、その作り方が公開されています。

これはどんなゲームで、どういうところが面白いのか、といったことを説明する際に使うものですので、とても分かりやすいです。ゲーム会社への就職の際にも、企画書を応募するという形式をとる場所も多いようなので、こちらを作っておくというのもいい経験になるかもしれません。

筆者がこの動画を参考に作った企画書がこちらになります。




……正直、ゲームシステムがほとんどなく、あまりいい企画書ではないので、筆者はこうなんだ~程度に思っていただけると助かります。

次回「ツール選択編」

というわけで、企画編は終了となります。
次回はゲーム制作の頼れる相棒、「制作ツールの選択編」として、どのようなツールを選べばいいかを紹介していきます。

お読みくださり、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

次回はこちらです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?