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KOMA犬ストーリー(2)

亡きマダムの家はアパートになることが決まった。
価値があるようなものをそっと持っていく親せきもいた。
だれもKOMA犬の吾輩のことは気づかずに、建物の一部として壊されるのか?と心配になっていた時、マダムの嫁さんと孫娘のSちゃんが相談しているのが聞こえた。
「お義母さんのものはこちらでは処分しにくいのよ。Sちゃん、引っ越し先で捨てても良いからもって言ってちょうだい」
北国に嫁ぐSちゃんは、家を建てるらしく、最近新居のためにベッドやダイニングセットをそろえていた。
嫁ぎ先の敷地の一部に立つ新しい家に持っていくのだ。
マダムの貝殻コレクション、ライティングビューローとともに、狛犬も北国に連れていかれることになった。
南の国でつくられたKOMA犬が横浜から海のない、雪深い北国へ行くのか…不安な気持ちと新しい家族と一緒に住む希望でトラックの中ではじっとしていられないほどだった。もちろん200kg越えの吾輩はじっとしていたけれど。

続く

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