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やる気がない若者の転職法

なんで働くのってこんなに面倒くさいんだろう。

と、常々思っているのに、働くために、働き口を得るために色々とやらなければならないのが転職活動である。

働きたくないのに、遊んでいたいのに、リクルートスーツ買ってエントリーシート書いたりSPIの勉強したり面接行った挙句にお祈りされたりするの、正直にいって訳がわからなかった。
わたしは「訳わからんな〜」と思いながら就活生をやっていた。

就職して、毎日「めんどくさいな〜」と思いながら仕事をしていたら、あるとき転職を考える日が来ることもあるだろう。

労働への、転職へのやる気に満ち溢れている人はいい。やる気があれば何でもできる。

問題はやる気がない側である。
仕事は変えたいけど、今の会社辞めたいけど…エ!?働きたくないのに、働かせてもらうために転職活動をしなちゃいけないってコト…!?就活であんなに苦労したのにまたあの苦労を!?
とか思ってる側の人たちである。

大丈夫。転職活動はやる気のある人の専売特許ではない。
なんなら世間にはやる気に満ち溢れている人間の方がマイノリティで、やる気がない側の我々のほうがマジョリティなのだから堂々としていればいい。堂々とやる気のないまま転職すればいい。

そもそも偉い会社員たちもそんなにやる気ない

一流のビジネスパーソンには「やる気がない」なんてナメたことを言う者などいないのではないか、ということがそもそも間違いである。

例えば、わたしの父親は上場企業で役員をやっている。肩書き的には「一流のビジネスパーソン」と呼んでもまあ怒られないだろう。

が、彼は、今は亡き12/23くらいにあった小粋な祝日のことを未だに恋しがっている。父は令和になってから毎年クリスマス前になると勤労意欲を失い、なんなら「やる気が出ない」というアホみたいな理由で早退してきてきたこともあった。
ある年はクリスマス後に母に「年末の仕事の予定は?」と聞かれ、「やる気なし!」と答え、「答えになってない💢」と怒られていた。

わたしが勤める企業は平均年収900万程度で、わたしの上司たちの年収は2,000万円を優に超える。
長期休み明け、その上司のひとりは「昨日、この世から仕事なんてものがなくなればいいのにとずっと考えてた」(※ものすごく仕事はできる人です)と言っていた。ものすごく朗らかな顔で言うので怖かった。

会社員なんて、偉くてもそんなものである。働かなくて済むなら働きたくないし、長期休暇の最終日には鬱になり、誰か職場に爆破予告とか出してくれないかな〜と思っていたりする。

なので、会社員をやるにあたって「やる気がない」は大きなディスアドバンテージではない。みんなやる気がないのだ。
四六時中やる気がないわけではない、あとやる気がないときも多少はやる気のあるふりができる、というくらいで、基本的にみんなやる気があるかないかでいうとない。会社員として一流のキャリアを築いた優秀な人でもだ。
なので、「やる気がないから自分にはできないのでは」とかは気にしなくていい。みんなのやる気のなさの集合体で世界は回っている。

とはいえ、やる気のあるふりくらいはする

やる気はないが、とりあえずやる気があるふりくらいはしとこう、という姿勢はとても大切である。

仕事や転職活動においてやる気があるように見せかける方法は、「ハイ!頑張ります!」と元気よくいることではない。「言われたことを、できれば期日通りに、やる」である。

「やる」をやった時点でやっているのだからやる気はあるように見える。

就活や第二新卒など、スキルよりもポテンシャルが重視されるような就労活動ではこの見せかけのやる気がかなり大切になる。「この人、若いのにちゃんとしてるな〜一緒に働きやすそうだな〜」と相手が勝手に思ってくれる。
もちろん、「頑張ります!」スタイルのやる気を見せかけるのも悪くはない。悪くはないが、頑張らなかったときにマイナスになるので、やる気がないならそのスタイルは取らないほうがいい。あとがしんどくなる。

やる気がない転職活動者が初めにやること:大手転職エージェントに登録する

やる気がないのに自分で求人を探すのはやめよう。しんどい。プロに任せよう。

3大大手転職エージェントのサイトに登録しよう。
リクルートエージェント、doda、マイナビエージェントである。

リクルート、doda、マイナビほど大手であれば、持っている求人にさほど違いはない。
もちろん各社に言わせれば「うちの方がいい求人たくさん持ってるんですけど!?」かもしれないが、やる気のない求職者から見たら「どこもなんかめっちゃ求人持ってるな〜」となる。

各社の特色は、あるにはあるようだ。
例えば、リクルートはかなりグイグイ来るらしい。グイグイ来るというと、奥手な人は避けてしまうのだが、奥手でやる気のない人こそリクルートのエージェントにグイグイ来てもらったほうがいい。やる気が外注できる。
わたしの友達はリクルートエージェントを使って転職した。他社に比べて、やはりリクルートは積極的だったとのことだ。他者であれば「もう少し準備してから」と言われたところを、リクルートだけが「とりあえず応募してみますか〜」という感じだったらしい。

ちなみにわたしはdodaにお世話になった。
わたしの転職にあたっての条件の相談に乗ってくれたり、応募先ごとの面接のコツなどを教えてくれた。わたしは自分からエージェントに質問しにいくタイプなので、優しいdodaのほうが合っていたのかもしれない。リクルートグイグイエージェントとぶつかるとお互いの勢いで対消滅しそう。

適当に数社登録したら、エージェントから勝手に電話が来る。各社のエージェントと話して、いちばん感じが良かったエージェントを選べばいい。

余談 転職エージェントは信用できないのか

「転職エージェントは、金払いのいいブラック企業とかに無理やり応募させてきそうで、信用できない」という人がいる。

よほど悪質な転職エージェントならいざ知らず、そんな目に遭うことはほとんどないといっていいと思う。

というのも、応募者が無事そのブラック企業に入社したとして、「なんじゃこのブラック企業!!」と爆速で辞めてしまうと、転職エージェントにお金が入らなくなるのだ。

転職エージェントは、応募者と応募先をマッチングさせ、応募者を入社させ、さらに応募者が入社先でまあまあ働かないとお金が貰えないのだ。
なので、金払いのいいブラック企業に応募者を突っ込んですぐ辞められた場合、その金払いが吹き飛ぶ可能性がある。転職エージェントにとって良いことは何もない。

強いていうなら、「転職エージェントが、希望条件よりレベルの低い求人ばかり紹介してくる」というのは、よく聞く。

が、これは正直、求職者側の要求が分不相応なケースが多いと思う。高望みしているのだ。
転職エージェントは、高望み求人にはなかなか応募させてくれない。通過率が低いからだ。応募先企業に、「あのエージェントは低レベルな応募者を寄越してきた」と思われてしまうと心象が悪い。

転職エージェントは、あくまで「内定の可能性がまあある」求人を紹介してくる。
つまり、紹介された求人が、今の自分のスペックで内定が出そうな求人なのだ。それらの求人で物足りないというのなら、たぶん高望みをしている。

転職エージェントは高望みをさせてくれないが、自分ひとりで高望みをすることはできる。自分で勝手に応募すればいいのだ。内定が出ないとは言い切れない。

次にやること:テンプレートを使って職務経歴書を書く

急にめんどくさそうになってきたが、安心してほしい。
転職エージェント会社は転職させることにおけるプロだ。プロなので、もちろん大半の求職者にやる気がないことを知っている。

というわけで、職務経歴書にはテンプレートが用意されている。

エージェントからこのようなテンプレートを渡されるので、その通りに書けばいい。

テンプレがあったとしても書くのがめんどくさい、という場合はchatGPTに書いてもらう、友達に書いてもらうなどしよう。

しかし、個人的には職務経歴書は腹を括って自分で書くことを推奨する。
なぜなら、職務経歴書に書いた内容はその後の面接で話すことになるからだ。自分の言葉で書かなかったものを質問されるとなかなか厳しいものがある。

職務経歴書を書いたら、エージェントに添削してもらおう。ちなみに、めっちゃ添削してくるエージェントもいれば、そうでないエージェントもいる。この辺は相性である。

次にやること:応募した仕事についてググる

職務経歴書を書き上げると、この辺でエージェントがガンガン求人に応募し始める。(もちろん許可は求職者が出すが)

ここでやっと自分が応募した仕事について調べる。待遇というよりも、職務内容についてだ。待遇については応募前に吟味していると思う。

例えば、SEに応募するなら、

「SE 向いてる性格」
「SE しんどいこと」

などと適当に検索して、自分の職務経歴の中から、これらに結び付けられそうなことをピックアップする。

「自分はこんな経験をしてきたから、SEに求められる◯◯の能力がある」「自分はこんな経験をしたことがあるから、SEによくあるこんな苦労にも耐えられる」というように。

ちなみに、自分で結びつけられなくても、エージェントが勝手にやってくれるから大丈夫だ。ただ、面接では自分の言葉でそれを説明できるようにする必要はある。

会社概要についてもちょっと調べておこう。有価証券報告書を見にいく必要はない。正式な会社名、本社の場所、従業員数、主な事業くらいでよい。
会社については面接をしていくうちに勝手にわかっていくので、面接前の段階で何から何まで調べ上げようとしなくていい。何から何まで調べるのはやる気がある人がやることだ。

次にやること:面接の日程調整をする、さっさとする

書類審査が通ったのなら、次は面接が来る。
ここでやる気の話を思い出してほしい。やる気はなくてもいいが、とりあえずやる気があるふりをしておく。それがポイントだ。

面接には、日程調整が必要になる。
恐らく応募先企業から候補日時を提示されるので、さっさと答えよう。ダメならさっさの他の日時を提示しよう。

チンタラしていると「この応募者やる気ないな〜」と思われると同時に、他の応募者が内定してしまい面接にすら辿り着けなくなるリスクが出てくる。案内があったその日のうちにやろう。

次にやること:面接でやる気のあるふりをする

ここでも、ほどほどにはやる気のあるふりをしよう。

面接官に「やる気があるな」と思ってもらうには、「聞かれた質問に答える」が大切だ。
こんなに当たり前のことなのに、できない人はものすごく多い。わたしも採用面接に立ち会うことがあるが、思った以上にみな聞かれたことに答えていない。

面接官「ご自身の弱みは?」
応募者「はい、わたくしは20XX年に◯◯というプロジェクトに参画し〜…」
面接官(なんか経歴から始まった…なんで…長い…)
応募者「〜以上の経験から、◇◇を学びました!」
面接官(弱みについて一回も触れられなかったな…なんのこっちゃ…)

みたいなレベルのことが、頻繁に起こっている。いい歳した大人にとっても、「聞かれたことに答える」という単純なことが難しいらしい。単純だからこそ難しいのかも。

ビジネスコミュニケーションのテクニックとして知られているもので、「結論ファースト」というものがある。その名の通り結論から話すのだ。
結論ファーストは脱線を防ぐのに非常に有効で、面接の質問に答えるときは基本的にすべてこれでいい。
「あなたのウィークポイントは?」「飽き性です!」でいいのだ。(わたしは本当にこう答えて内定した)

雑談なら脱線に脱線を重ねてもらってまったく構わないのだが、面接のときだけは脱線は我慢しよう。

脱線のないコミュニケーションをすると、相手から「しっかりしている」「ハキハキしている」「頭の回転が速い」と勝手に思ってもらえる。嘘のテキパキをやろう。

内定が出たら

まず内定承諾書を確認しよう。滅多にないが、稀に求人の条件と異なる条件で内定を出してくる企業がある。

とはいえ、「全然条件と違うんですけど!?」となった場合に、キレるのはあなたよりも転職エージェントのほうである。転職エージェントにキレてもらおって、サクッと辞退しよう。

内定を承諾した後にやらなければいけないことは、大きくふたつだ。

①入社手続き書類の準備
これめっちゃめんどくさい。転職活動の中でいちばんめんどくさい。

求められる書類は企業によって異なる。信用が大切な企業だと、「身元保証人2名分の署名と実印」などが要求されることもある。ちなみにわたしは身内に実印を持っている者が1人しかいないため、この書類はわたしには用意できない。どうなるんだろうな、用意できない場合は。内定辞退するしかないのかな。

さらに悪名高き源泉徴収票。勤め先に「くれ!!」と言わないと貰えないこともある。めんどくさい。

書類の他に、入社前の健康診断の受診が求められることもある。
都心部ではなかなか予約が取れないので注意が必要だ。

②現勤め先へ退職の旨を報告
退職の意思を伝えるのは次の勤め先が決まってから、というのがセオリーだ。なぜなら引き留め似合うから。
すでに無職の人には関係がない。

最後に 転職後もめんどくさい労働は続くが

やる気のある人は本腰をいれて自分の力で。
やる気のない人は転職エージェントに流されるままに。

転職しても、たぶん仕事はめんどくさい。が、給料は上がるかもしれない。人間関係が良好になるかも。今ほど働くのが辛くなくなるかも?

もし転職して「失敗した〜!!!!」と思ったらまたすぐに転職すればいい。ちなみにわたしはお世話になった転職エージェントから、転職6ヶ月後に求人のご案内がきた。わたしにドンドン転職させようとしている。生々流転すぎる。応募者を生々流転させまくっている。2年経った今もまだ連絡が来る。

嫌な職場で、納得のいかない給料しかもらえない職場で働き続けても特にいいことはない。若いなら尚更だ。空前の若手不足のため、我々若手世代の一人当たりの有効求人倍率は高い。

もっといい職場が、もっと給料のいい職場がたくさん転がっているのに、転職エージェントも応募先企業も「若者よ!!転職してきてくれ!!」と思っているのに、「仕事にやる気ないし…」「自己アピールとか苦手だし…」で燻り続けるのはもったいない。やる気はいらないし、アピールは転職エージェントが喜び勇んで勝手にやってくれる。

転職活動をしてみたけどやっぱ転職やめました、なぜなら今の職場の条件がそう悪くないことに気づいたから、みたいな人もたくさんいる。それはそれでよいことだ。知らなかったことが初めて知れたのだから。

人生の先行き不安の多くは、自分の立ち位置を知らないがために起きていると思う。
自分がどこに立っているのかわからないから、この先どうなっていくのかも、何をしていけばいいのかもわからない。そして漠然と不安になる。

転職では、嫌でも自分の立ち位置を見つめることになる。
転職エージェントから「あなたの身の程に合うのはこのへんだよ」と紹介されまくる求人。
職務経歴書を書くために必要な、これまでの会社員としての実積の棚卸。
内定をくれる会社のレベル、くれない会社のレベル。

思ったよりも自分の市場価値はイケてるぞ!と思うこともあれば、もちろん逆もある。だとしても何も知らないよりマシだと思う。これから何をすれば良いのかがわかる分だけマシだ。

仕事へのやる気はないけれども、自分のいるところが見えたなら、自分の人生へのやる気は多少は出てくるかも知れない。多少は。

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