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会社から寄り道して家に帰る

会社から家に寄り道せずに帰るのが苦手だ。
たぶんわたしは家のことがあまり好きではないのだと思う。家での居心地が悪い、家に何か不満があるというよりも、単に家の中よりも家の外のほうが好きだというだけのことなのだが。

仕事を終えてオフィスを出で、よく寄るのは新丸ビルだ。東京駅の目の前の大きな商業ビル。何を買うわけでもないが、ウィンドウショッピングをするのが楽しい。

家の近くのドトールにもよく寄る。カフェのチェーンはたくさんあるが、わたしはその中でもドトールが結構好きだ。わたしはコーヒーの味の違いがわかるほどのコーヒー好きではないのだが、ドトールのコーヒーはあっさりしていて美味しいと思う。と思っていたら友達は「ドトールのコーヒーは水っぽい、コクが足りない」と言っていたので、このへんは本当に個人の好みだなと思う。

オフィスと家の間に一旦寄り道を挟むと仕事のことでいっぱいになった頭を家に持ち帰らずに済むからいい。わたしは仕事大好き人間ではないので、業務時間外はできるだけ仕事のことを考えたくないと思っている。仕事のための自己研鑽ならば終業時間外に(自分が納得しているのならば)やるのは好きなのだが、今日の仕事は忙しかった、なんかバタバタしていてしんどかったな、というネガティヴなぼんやりとした考えを退勤後に考えたくない。

そういえば在宅ワークでも、仕事が終わったらわざわば近所のドトールに行って気分転換をしている。とにかく仕事とプライベートを地続きなところに置くのが嫌いなのだ。

ウィンドウショッピングであれカフェであれ、ひとりでいるときはよく考え事をしている。
「ひとりでいるときは何してるの?」とある人に聞かれて(学生時代のクラスメイトだった気がする)、「考え事をしている」と答えたら「考え事!?何それ」と驚かれてこちらも驚いたことがある。考え事は考え事だ。考え事と言われて驚いたくらいなのだから、きっと彼女の生活には、まったくないわけではないにせよ、考え事をしめる割合が相当に少ないのだろう。わたしの父親もよく考え事をしている(考え事と言いながら寝ているときもある)。なので人間は当然考え事をするものだと思っていたが、違うらしい。そういえば彼女は英単語のaloneの意味を「寂しい」と書いていた。違うよ、「ひとりで」だよ、とわたしが言うと、「寂しいとひとりは何が違うの」と言っていたので、そもそも「ひとりで何かする」すなわち寂しいことだと思い込んでおり、ましてやひとりで考え事をするなんてとてもとても孤独で寂しくて悲しくなるようなことだと思ったのかもしれない。ひとり時間が好きな人とひとり=寂しいと思っている人の価値観の違いは深く、お互いの考えを理解するところまではできたとしても、お互いの感じ方を納得するところまではなかなかいけない。

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