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試験まであと5日しかないときの世界遺産検定3級勉強記録

思いつきで世界遺産検定3級に申し込んだら、なんと検定日が4日後でした。
という話を別の記事でしましたが、無事合格したので、忘れないうちに合格体験記を書いておきます。

世界遺産検定3級概要

合格基準 100点満点中60点以上
出題範囲 世界遺産に関する基礎知識、日本の遺産全件(2023年12月時点で25件)、世界の遺産100件、その他(世界遺産関連の時事問題など)
設問数 60問
試験時間 50分
回答形式 4択マーク式
試験方法 会場試験またはCBT試験
開催時期 3月、7月、12月

1日目(検定日まであと4日) 勉強時間:1時間半

初日のくせに検定日まで4日しか残されていなくて面白かった。

世界遺産検定は、世界遺産検定事務局が実施する検定だが、その事務局が公式テキストと過去問題集を出してくれている。

初日、まずはこれらを買った。

世界遺産検定3級では日本の世界遺産全件(2023年12月時点では25件)と、世界の世界遺産100件が出題範囲である。

ちなみに今後日本の世界遺産が増えていく可能性が高いことを考えると、これ以上増えないうちに受験したほうがよい、ということになる。

さらに、2023年12月時点では、世界遺産全件は1,199件である。世界遺産検定1級ではこの全てが問われるらしい。やばい。

テキストと過去問題集はもちろん両方買うのが望ましいが、もしどちらかしか買えないとしたら、わたしは過去問題集を買う。
本番の試験では、過去問題集で出題されている問題とほぼ同じような問題が数件出てくる。過去問をやっておけば、5-10点くらいは稼げるのではないかと思う。

初日は、過去問で出題されている箇所を、テキストで探して読んだ。これで試験のだいたいのレベル感がわかった。

全50問のうち、1-2問はテキストに載っていないか、載っていたとしてもページの下の方の注釈にちょろっと書いてあるような難しい設問が出る。これは解けなくても仕方のない設問だ。
60/100で合格できる検定なのだから、1-2問落としたところで痛くも痒くもない。

逆に言えば、その1-2問以外はテキストのどこかしらに載っている事項が問われる設問だった。基本的にテキストに書かれている内容を覚えておけば問題なく合格できると思って良さそうだった。

だが、わたしには勉強期間が5日しか残されていない。なんならもう初日は終わりかけである。テキストを読み込んでいる時間はない。
具体的な勉強方法を検討するのは、翌日に持ち越す。

2日目(検定日まであと3日)勉強時間:1時間

もう3日しか残ってない。そろそろ真面目に効率的な勉強方法を確立しなければならない。

問題集には、過去3回分(2022年3月、2022年7月、2022年12月)の過去問が収録されている。

初日でテキストを見ながら解いた2022年3回分を、今度はテキストなし、時間を測りながら本番さながらの状態で解いてみることにした。資格勉強っぽくなってきた。

結果は89/100だった。
悪くない。悪くないが、まあ前日に答えを見ているので悪くなくて当たり前ではある。むしろ、あれ?満点じゃないんだ?という思いはある。

時間を測りながら解いたことでわかったことがあった。
試験時間は50分、設問が60問で、一見時間が足りなくなるのではないか?と思いそうな試験時間だが、実際に解いてみると時間が余りまくる。20分もあれば終わる。

思えば世界遺産検定3級はマーク式、「知っているか知らないか」の知識検定である。時間をかけてうんうん考えれば答えに辿り着くような問題はない。「知ってる!答えはコレ!」「知らん!はい次!」しかない。なので50分もいらない。

答え合わせを終えた後、解いた過去問を見直し、一瞬で正答できる設問以外のすべての設問に印をつけた。
そして、印をつけた設問をテキストで見直し、蛍光マーカーを引きながら覚えた。世界遺産検定は4択のマーク式だが、正答の選択肢だけではなく、間違いの選択肢として出てきた語句もテキストで調べて、載っていたら覚えた。

3日目(検定日まであと2日)勉強時間:2時間

過去問3回分のうちの1回、初見の2022年7月試験を、こちらも本番さながらで解いた。

結果は78/100だった。すでに合格圏内であった。

初見であるにも関わらずなぜ一撃で合格点に乗ったか。それは初日と2日目で解いた2023年3月分の過去問で出題された設問と同じような設問がかなり多かったからである。

そこでようやく世界遺産検定3級の概要をちゃんと確認してみた。本当は初日に確認すべきことである。

合格基準 100点満点中60点以上
問題数 60問
試験時間 50分

以下、配点率
基礎知識:25%
日本の遺産(全25件):30%
世界の遺産(全100件):40%
※内訳※
世界の自然遺産:10%、世界の文化遺産:30%
その他:5%

「基礎知識」
ユネスコや世界遺産登録という制度の概要などが問われる。

「日本の遺産」
その名のとおり、日本が保有する世界遺産25件について問われる。

「世界の遺産」
配点の内訳が決まっている。まず世界遺産は「文化遺産」「自然遺産」「複合遺産」の3種類に大別される。その中の文化遺産、自然遺産が問われるよということである。そして文化遺産のほうが配点比率が大きい。

「その他」
なんだよ「その他」ってわたしも思う。
恐らく時事問題のことを指している。あとは先述した複合遺産や、負の遺産といった「文化遺産でも自然遺産でもないもの」も問われる可能性がある。

配点率の高さが目立つのが「基礎知識」「日本の遺産」「世界の遺産(文化遺産)」だ。
その中でも、わたしは「基礎知識」と「日本の遺産」に目をつけた。

まず「基礎知識」は、世界遺産の基礎知識、すなわち世界遺産の概要と概念、世界遺産条約、世界遺産が登録される方法、世界遺産と日本の関係について、などが該当する。
「基礎知識」は、そもそもあまり設問のレパートリーがない。問われることがだいたい決まっているのである。
特に、世界遺産条約とはどんな条約ですか、世界遺産条約誕生のきっかけとなった出来事は何ですか、世界遺産登録の条件は何ですか、というあたりは毎回問われている。

そのため、過去問を2回分解いただけですでに設問が被りまくっており、いくつかのキーワードさえ覚えていたら楽々得点できる領域だ。
ロマン溢れる遺産の話にはまだいけない。「基礎知識」は、いわば世界遺産の事務の問題だ。率直に言ってあまりテンションが上がらない。が、出題範囲が狭い上に配点比率が大きい。
あと2日で合格したいなら、いちばんの狙い目はこの分野だ。

次に、「日本の遺産」について。こちらも配点比率が大きく、かつ、出題範囲が日本の世界遺産25件と限られている。

わたしは日本史で大学を受験したため、日本の遺産に対してはそれなりの知識がもとからあった。例えば、

奈良時代。東大寺。盧舎那大仏。聖武天皇。正倉院。鑑真。

くらいのキーワードは、芋づる式にスラスラと出てくる。
ちなみにこれは「古都奈良の文化財(1998年世界遺産登録)」の内容そのものであり、この世界遺産についてはわたしが新しく覚えなければいけないことはほとんどない、ということになる。

日本の文化遺産と日本史はリンクしている。
そのため、日本史を履修したわたしは、日本の文化遺産の勉強範囲を大幅に削減できた。すでに知っていることが多いのである。

さらに、わたしが旅行好きで、国内の世界遺産に実際に行ったことがあるのも大きかった。姫路城、京都、奈良、法隆寺、知床、平泉、国立西洋美術館、白川郷、大仙古墳、厳島神社、原爆ドーム、首里城の12件は実際に訪れたことがある。25件のうち半数近くは実際に足を運んだことがある。そりゃあ設問も解ける。

姫路城(兵庫)
国立西洋美術館(東京)

平泉 毛越寺(岩手)
厳島神社(広島)
原爆ドーム(広島)

「世界の遺産(文化遺産)」については、 配点比率は大きいものの、出題範囲が「日本の遺産」である25件より遥かに広い。勉強の優先順位は日本の遺産より低い、ということになろう。

したがって、わたしが攻めるべきは、テンションは上がらないが得点コスパのいい「基礎知識」と、日本史で習ったしなんなら半分以上が行ったことのある「日本の遺産」だ、ということになった。

過去問のうち、「基礎知識」「日本の遺産」の設問で登場した語句と選択肢を、テキストでチェックし、語句の意味が一瞬で思い出せない語句に対しては、すべて蛍光マーカーを引いた。テキストは重要語句を赤字や太字にしてくれているのだが、そんなものはすべて無視して、過去問の問題文であれ選択肢であれ、登場した語句のすべてをテキストでチェックした。

そして、マーカーを引いた箇所を寝る前に眺めた。3日目が終わる。

4日目(検定日まであと1日)勉強時間:3時間

明日が試験か。あっというまだった。
初見の2022年3月分を解いた。95/100だった。

「基礎知識」の得点がかなり効いていた。
先に述べたとおり、出題範囲が狭いのに配点率が高い。しかも毎回似たような問題が出る。

逆に「日本の遺産」は、結構細かいところまで聞いてくるなという印象だった。テキストの赤字太字のキーワードを押さえただけでは解けない設問もそれなりにあった。

試験を翌日に控えた4日目は、過去問に設問または選択肢として登場したが意味を即答できない「日本の遺産」の語句、過去問に選択肢として出題された「世界の遺産」の語句をチェックすることにした。

世界の遺産だが、日本の遺産と比べるとやはりイメージが掴みにくい。わたしはカタカナから逃げるために世界史ではなく日本史を選択した人間である。

とはいえ、100の世界遺産のうち、問われやすい遺産がいくつかあることに気づいた。

例えば、最初の世界遺産であるエクアドルのガラパゴス諸島や、セネガルのゴレ島。大陸と繋がったことのない火山群島であるガラパゴス諸島には独自の進化を遂げた動物が生息するが、日本の小笠原諸島も同じような理由で世界遺産に登録されている。日本の遺産とつながりがあるため、芋づる式で問われることがある。
ゴレ島は奴隷貿易の重要拠点であった場所であり、文化遺産であると同時に負の遺産である。負の遺産も問われやすい。

これらの出題される可能性が高そうな世界の遺産をピックアップして、キーワードだけではなく、テキストの文章を読み込んで覚えた。

次に、過去問に登場したが分からなかった世界の遺産をGoogleで画像検索した。どのような建物なのか視覚的にわかると、テキストの文章も格段に頭に入りやすくなる。
例えば、「ハンザ都市リューベック ハンザ商人たちの住居は、赤レンガづくりで両側に階段状の大きな破風をもつ特有の建築様式」と文章で言われてもなんのこっちゃだが、

『世界の歴史まっぷ』

「ほんとだ〜!階段状の破風だ〜!てか破風ってこれのことなんだ〜!」
となる。写真を見るだけで。

画像を見ると覚えやすくなる、というのか何も世界遺産検定に限ったことではない。
TOEICでも、知らない英単語は画像検索すると覚えやすくなる。attireという単語だけでは覚えにくくても、attireを画像検索するとフォーマルな格好でバチっとキメた外国人イケオジの画像が大量に出てくるので、ああ、フォーマルな服装のことなんだな、と覚えやすい。

そういうわけで、イメージのつきにくい世界の遺産は画像検索をしつつイメージを膨らませ、語句を覚えた。
試験は明日。

5日目(検定日当日)勉強時間:0時間

もう今更何をやっても無駄だなという気持ちがあった。
いや、突然すべてを諦めたという話ではない。
検定当日の朝起きた時点で、合格するかどうかは9割方決まっているので、当日に勉強してもしなくても結果は変わらないな、と思った、という話である。

世界遺産検定に限らず、わたしは受験のときですら受験当日は勉強しなかった。試験会場に教科書を持っていかなかったくらいである。
学校で受ける模試でも、休憩時間にクラスメイトが教科書や単語帳を見る中で、わたしはメロンパンを食べていた。お腹が空いて試験中に頭が回らなくなるのが嫌だった。

個人的に、試験には、試験前日までの努力が出ると思う。
当日付け焼き刃で覚えられることは少ない。
当日に過去問を解いたら思ったより点数が取れなくて不安になったり、テキストを見直したら覚えられていたと思った語句が覚えられていなくてやはり不安になったり。
試験を受けるにあたって大切なものは、知識と、メンタルだと思う。
知識は前日までに頑張って習得する。そして当日はとにかくメンタルを安定させる。不安になる可能性があるようなことはやらない。
わたしはそれて受験や資格試験を乗り切ってきたので、今回の世界遺産検定でも同じことをやった。

とはいえ、まったく何もやらないのも落ち着かないので、出題領域「その他」対策として時事に軽く触れておくことにした。具体的には2023年の世界遺産委員会のニュースに少し目を通しておいた。

そしていざ本番。
86/100で無事合格を果たした。
試験の内容については勝手にここで書くわけにはいかない。恐らく、来年出版されるであろう2023年過去問題集に掲載されると思う。

感想

楽しかった。
繁忙期のいい気晴らしにもなったし、行きたいところがまた増えた。
行きたいところがあるうちは、まだ自分は大丈夫だなと思う。あそこに行ってあれを見たい、まだ見たことないあれを見に行きたい、と思えるうちはわたしは大丈夫だ。

知らない世界の遺産をたくさん知れたのもよかった。コスパ重視で日本の遺産を狙い撃ちした勉強をしておいてこんなことを言うのもおかしいが。
人類の想像力と創造力には目を見張るものがある。信仰を作り、精神を作り、生活を作り、知恵を作る。その結晶が、が世界遺産に登録されるような数々の素晴らしい遺跡や遺構である。

わたしはユネスコ憲章の前文が好きだ。
ユネスコ憲章の前文が好きだから、国内の世界遺産を積極的に巡り始めたくらいだ。

ユネスコ憲章の前文は、世界遺産検定3級には出ない。が、読む価値のある文章だと思うので最後に載せておく。

この憲章の当事国政府は、その国民に代って次のとおり宣言する。
 戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。
 相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。
 ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代りに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。
 文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、且つすべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもって果さなければならない神聖な義務である。
 政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。
 これらの理由によって、この憲章の当事国は、すべての人に教育の充分で平等な機会が与えられ、客観的真理が拘束を受けずに探究され、且つ、思想と知識が自由に交換されるべきことを信じて、その国民の間における伝達の方法を発展させ及び増加させること並びに相互に理解し及び相互の生活を一層真実に一層完全に知るためにこの伝達の方法を用いることに一致し及び決意している。
 その結果、当事国は、世界の諸人民の教育、科学及び文化上の関係を通じて、国際連合の設立の目的であり、且つその憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉という目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機関を創設する。

国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章)

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