見出し画像

初めて、DJをしてみて。

とうとう自分も、DJとしての第一歩を踏み出した。

みんなに期待されていながら随分と遅くなってしまったものの、自分みたいな人間がDJを始めてしまうと際限なくお金が消えるので、学生のうちはなかなか踏ん張りがつかなかったのが正直なところだった。しかし、幸か不幸か社会人という身分を手に入れてしまい、自分で収入を得られる立場になり、いよいよDJをやらない理由はどこにもなくなった。

そして先週、4月7日。ついに我が家にDDJ-400が届いた。待ち望んでいた瞬間。その日の夜、頭でイメージしていた繋ぎをコントローラーを使って試した。思い描いていたものが形になっていく瞬間。

やっぱり音楽って、楽しいなって思った。

自分の人生は、どこを切り取っても常に音楽が隣にあった。聴くことも、楽器を演奏することも、歌を歌うことも、どれも好きだった。ヴァイオリンの演奏会、高校の部活の定期演奏会、軽音サークルのライブ。人前で音楽をやる経験もそれなりにしてきた。

感情の解放
自分にとって、音楽とはそういうものだった。

ただ、ここ何年かはそういった機会から遠ざかってしまっていた。そして、心のどこかでそれに対してフラストレーションが溜まっていた。そんな自分に一筋の光を差してくれたのがDJであり、ダンスミュージックというかつての自分にとっては全く未知のフィールドだった。

ただ、人前でDJをやれる環境なんてそんな当たり前にあるわけじゃない。
これに関しては本当に自分の周りの知り合いたちが草分けとして切り開いてくれた環境で、自分なんかぬけぬけとその上に立たせてもらっているに過ぎない。自分が管理している電音codeだって、自分は立ち上げたわけでも何でもないし、実際そこで連日練習してくれている知り合いたちの力あってなので、自分の功績なんて無に等しいものだと思っている。

そんな電音codeで、人前での初めてのプレイをさせてもらった。突発的に今夜やります!って言ってやったわけだけど、80人くらいがDiscordのボイチャに押し寄せてきてたらしい。回すのに夢中で何人いるのかとか気にもできなかったので後で聞いた話になってしまうのだけれど。

テーマは「My First Star」。前日開催されたCuteaChannelに多大なインスピレーションを受けたこともあって、自分の原点であるFuture Bassを軸に、星とか輝きとか、そんな感じの曲多めの約1時間のセトリを組んだ。CuteaChannelは自分にとって一つの到達目標なのでいつか絶対に出たい。ちなみにほぼ1時間で収まっていたのは全くの偶然で、プレイ終わりかけになって気付いた。笑 
滅茶苦茶に緊張したけど、それ以上にやっていて楽しかったり、興奮したりする気持ちの方が何倍も強かった。画面の向こうで自分のプレイで盛り上がってくれている情景を想像するだけでこれだから、実際の現場に立ったらどうなってしまうんだろう。

初めてだったけど、そこまで初めてという感じはしなかった。作りたい流れのイメージとか、既に頭の中にあったものを現実の音にしていくという感じだった。そうは言ってもそれが実際に綺麗に繋がった時の快感とか感動はやっぱりすごかったけれど。
終わった後で、何人からか緩急の付け方が良いという感想をもらえた。調性とかで全体としてのまとまりこそ意識していたものの、そこに関してはあまり意識していなかった。というか、今回は曲そのものの持つ力に完全に頼りきりだった気がする。これからそこも意識的にやれたらいいのかな。

ところで、DJは音楽家たり得るか?というのは往年賛否両論あるところだと思う。実際に譜面を読み、自ら演奏するのに対し、ただ原盤をかけるだけのDJなんて誰でもできる、という考えもあるかもしれない。ただ、いざ自分がDJをやって思ったことは、DJは紛れもなく音楽家だ、ということ。
確かに、作曲や演奏のような音楽に対する専門知識はDJには求められない。コード進行とか近親調とか、確かに理解していればそれに越したことはないかもしれないけど、知らなくてもできる。ただ、感性は作曲家や演奏家同様に求められる。原盤をそのまま流すにしたって、全体のどの辺で使うかとか、どの文脈で使うのかで、同じ曲でも与える印象は様々に変わる。しっかり曲を吟味し、ものにしないといけないのはDJも同じだ。

ただ、これも個人の意見だけど、演奏家とDJで決定的に違うと思う部分もある。それは、DJは絶対に、その場の主役にはなり得ないということ。もちろん自ら曲を作って流したり、超絶技巧じみたプレイを見せてステージ上で脚光を浴びるDJも多くいるが、それでも主役はかかっている音楽、もしくはお客さんの方だと自分は思っている。ライブハウスやコンサートホールと違い、クラブはそこにいる全員がステージに注目するわけではないし、音楽を聴くことに全神経を注ぐ必要もない。そんな多種多様な人が混ざりあう場で最高の雰囲気を作り出すことがDJの醍醐味で、突き詰めれば脇役だからこそ奥の深い表現分野のような気がする。
始めて数日でまだ現場に立ったこともない奴が何言ってんの?って感じだけど、これはあくまで自分の考えであり自分に対する戒めなので、それは違うんじゃないのって思ったらそのままでいてほしいです。

最後に、自分はDJとして何をしたいのか。
まず、自分は誰かにとって陽だまりはおろか月明かりにも、一等星にもなれるような人間じゃない。それでも、せめて誰かにとっての六等星くらいにはなれたらいいかなくらいの思いはある。自分を支えてくれた音楽を使って、誰かをほんの少し元気にできたり、誰かの人生をほんの少し面白くできたり、新しい世界を開くきっかけを与えたり、そんなことができたら幸せです。何言ってんだこいつって感じだけど割と本心だよ?
あとは自分の人生の一部と言っていい音楽にもう一回全力になりたいし、そんな好きなことを全力でやってる自分をたくさんの人に見てほしい。自己顕示欲。結局好きなこと全力でやってる人が一番キラキラしてんじゃん?

そんな感じで、長々と書きましたが、これが自分が始めてDJをしてみて抱いた気持ちです。せっかくDJになったんだから色々なジャンルを深めていきたいし色々なイベントに出てみたい。最後に自分がMixcloudに投稿した初mixのURLを貼っておくので、興味を持ってくださったオーガナイザー様がいらっしゃったらオファーお待ちしております。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?