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マッチングアプリで初めて会った男がなかなかやばかった話

マッチングアプリなんて...と思ってた私はどこに行ったのか。

ノリと勢いでアプリを始めることになった。

アプリの構造を一切見たことがなかったこともあって、登録するだけで少しワクワクした。

登録してすぐ、

画面に男の顔がずらっと並ぶ。

スクロールしながら、「やっぱこんなもんか、あんまりかっこいい人いないな」

とか上から目線の感想を抱いてみる。

でもその直後に「お、かっこいいじゃん!!」

初めてタイプの人を見つけて舞い上がり、よくわからなかったけれど、とりあえずいいねをした。

相手の顔写真は、まさに爽やかと言う言葉がよく似合う顔だった。

30歳と私より6個上には到底思えないほど、色白で童顔だった。


数十分後、マッチングが成立した。

平日休みの私がいいねを押したのは、火曜日の昼過ぎ。

相手の男性の休みは土日祝と書いてある。

そもそも平日だし、休憩時間には遅すぎるけどなんでこのタイミングでマッチング成立したんだろう。

少しの違和感を覚えながらも会話が始まる。

テンポよく返ってくる返信にやっぱり謎が深まるばかりで、思い切って質問してみた。

「今日はお仕事ですか?」

すると

「仕事だよ!外回りの営業だから比較的スマホは自由に触れるんだよね」

マッチングアプリ初心者の私は、その一見妥当な理由にすぐ納得した。

今思えば、例え外回りの仕事だとは言え、仕事中にアプリを触る男はどうかと思う。

でもその時は気にならなかった。

会話が進むにつれて、職場の最寄駅が一緒だと言うことが判明した。

好きな食べ物の話、趣味の話

そんなありきたりな話を一切しないまま

その男は私との生活圏内が似ていることに喜んだらしかった。

私の中にも、まずはメッセージ、そのあと電話、気が合えば会ってみる。

そんなアプリでの普通の流れが頭に入っているはずだった。

しかしなぜか

はじめていいねをしてマッチングした男との職場の最寄り駅が同じと言うことに

少なからず運命を感じてしまったのかもしれない

ろくにメッセージのやりとりをすることもなく、2日後私たちは会うことになった

会うまでの時間、LINEは続けた

その会話の9割はどこで会うか、何時にするかの業務連絡だった

でも残りの1割の会話を私は今でも忘れられない

「もし、〇〇ちゃんが明日会ってみて俺のこといいと思ってくれたら次の日も会おうよ」

メッセージを受け取った瞬間もよくわからなかったし、今でもよくわからない

まず私に、アプリで出会った男と2日連続で会う概念など存在しなかった

それに、〇〇ちゃんがよかったらと言ったが、
男側が私のことをなしと思う可能性も大いにあるはずだ

いろいろな考えが頭をよぎったが、結局文章のやりとりでは何もわからない

もし変なやつだったとしても、私は無難に乗り切れる自信があった

それくらい、過去の経験から男というものに警戒心が強い

だから大丈夫だ、とりあえず会ってみよう

違和感を完全に消去した私は、予定通りその男に会うことにした

場所は私の職場からすぐのスタバだった

私は最初に別の広いスタバを指名した

しかし、その男は

「あそこは静かすぎるからやめよう」

と私の提案を却下した。

そのとき感じた不安は現実となり、

初めて会った男は本当によく喋る男だった

細身にこだわりのジャケットを身につけたその男の見た目は、おそらく世間的にはイケメンなのだろう。

しかし私は男の顔などどうでもよかった

アプリ、マッチング

たしかに事実ではあるけれど、あまり隣の人には聞かれたくないワードを気にせずに口にする男だった

分かりやすい人がいいかな

私がとっさに答えた好きな異性のタイプに応えようとしたのだろうか

その男はとにかく自分の恋愛観を語ってきた

たしかに分かりやすかった。


一言で言えば


尽くされたい男

彼女が尽くしてくれた分の3割を返すらしい

あとは、彼女が尽くしたいと思える燃料をまくそうだ

計算高い女と喋っているのか?

私は途中から錯覚した

その男は続ける

彼女に安心感は与えてあげられると思うけど、結構振り回しちゃうかも

振り回すって例えば?

そんなに興味もなかったけど、形式上とりあえず質問した

例えば彼女とお昼に会っていて、そのあと自分に用事があったら、

彼女にはここで待ってて!といってその2時間後にまた合流する、とかかな

解散してまた会っていいのは、私の中では地元の友達だけだ

自分が大好き

自信がある

私がその男に抱いたイメージを堂々と自ら口にした

自分で自分のことをよくわかっている点は純粋にすごいと思った

何度も言うが、本当にわかりやすい男だ

わかりやすく、自己中心的だった

極め付けは、私が喋ったとき。

その男の3分の1にも満たない長さで話した言葉を

その男は本当に興味のない顔で聞いていた

相槌もしなかった

そして、何もなかったように別の自分の話をする

ここまで違和感のある会話をする人に出会ったことがなかった私は

一周回って興味が出てしまった

聞き上手な私は、気持ちよく相手に喋らせたらしい

2時間は経過していた

そろそろ帰ろうと言う話になった時

ここまで感じてきた全ての違和感が点から線へと変わった

「で、この後合流どう?」

私が家でご飯を食べたあと、再び自分の家で合流しないかという提案だった

そして次の日は自分の家から出勤すればいいといった

それを聞いた時、

私は何も言葉がでなかった

そんなに軽い女に見せてしまったのか

そんなに愛想良く会話をしてしまったのか

とにかくよくわからないけれど、ここからすぐに立ち去りたい、

そんな気分だった。

「アプリで会うのは初めてだし、冷静になって考えたいのでやめときます」

理由を言う必要もなかった気がする

「行きません」

きっとその一言でよかったはずだ

きっとびびっていたのだろう

男は次の予定があるようで、駅まで一緒に歩かなかったのが救いだった

1人になった後も

自分の中でその男の感想を整理したいとさえ思わなかった

きっとアプリにはこの男と比にならないほどのやばい男がいる

強引にホテルに連れて行かれそうになったわけでもない

でもなぜか

独特の嫌悪感が抜けないのだ

私が断った時の相手のちょっとした気まずい顔も忘れられない

成功するとでも思ったのだろうか

それを考えるだけで気持ちが悪い

アプリで男に会う

そんなごく普通の出来事なのに

学んだことが多すぎた

笑えるほどの学びを得た

またこれについては別の記事で書こうと思うが

ひとつ言えるのは

完璧に普通の人を演じることはできない

やばいやつには

必ず小さな違和感が存在する

これをぜひ覚えておいてほしい








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