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【市役所職員が思う】デジタル田園都市国家構想交付金の印象

市役所で総合戦略とかを担当しています。

平成の安倍さんの時代に、
「まち・ひと・しごと創生法」という法律名を聞いたとき、
なんというか、イメージ先行というか、
なんだかつかみどころのなさそうな名前だなあと思いました。

東京一極集中と人口減少に歯止めをかける。
そのために、地方に「まち・ひと・しごと」を「創る」。

だそう、でした。

そのために、「計画」じゃなく「戦略」を、ってことで、
「地方創生総合戦略」なるものを各自治体は作りましたとさ。
「戦略」って言い換えたって、結局は「計画」なんだけど。
ロジックモデル、KPI、EBPMの考え方を広めようとしたのは悪くないとは思う。
それは行革的なスクラップアンドビルドのための技法であって、
国民にはこれもまたイメージ先行ってかんじ。

だからといって、人口って増えないです。

これまで50年間、
合計特殊出生率が2.0を下回ってます。
ずーーーーっと長い年月をかけて少子化が進んでいるところに、
「戦略できたの?じゃあ、私、産んじゃお!」
とはなりませんよね。

そうこうしてるうちに、数年経って、
Society5.0って言われて、Society?ソサエティ?
1.0ってなんやねん、2.0は?3.0は?4.0は?
って言ってるうちに、
「デジタル田園都市国家構想」
なんていうワードが聞こえてきました。

これまたよくわからない、
イメージ先行の言葉がきましたョ。


全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会、
デジタル田園都市を目指すんだって。

このネーミングも、すごいね。


ふわふわな印象。
日本という国家が目指す姿が、
通称、デジ田。
でじでんと読みます。

でじた、だと、る、を略しただけみたいだからかな?
でじでんですよ。国が目指す姿。


国が地方にいろいろ言い出すときの根拠になる概念なので、
私たち市役所も、
流れに取り残されない程度にはお勉強するわけです。

市役所として気になるのは、地方への補助金です。

「まち・ひと・しごと創生法」の
「まち・ひと・しごと創生総合戦略」のときは、
「地方創生推進交付金」という名称でした。

総合戦略は、
「デジタル田園都市国家構想総合戦略」になり、
交付金は、
「デジタル田園都市国家構想交付金」になりました。


・・・ながっ!


「デジタル田園都市国家構想交付金」の事前相談での印象

この1月から2月にかけて、
この「デジタル田園都市国家構想交付金」の事前相談に
あれこれとチャレンジしてみました。

いろんなタイプでいろんな相談をしてみましたが、
感想としては、
「デジタル」つまり、システム導入にはわりと簡単にOKが出そうです。

デジタルじゃないもの、つまり従来からあるようなタイプの、
「地方創生推進交付金」「地方創生拠点整備交付金」は、
採択されるのがとても難しそうな印象です。
担当者さんの、冷たいこと。

特に「拠点整備」(ハード整備)には厳しそうです。
明らかに、申請してくるな、しない方がいいんじゃない?という、
水際作戦みたいな担当者さんの態度を感じました。

国は、
地方が「デジタル」という「システム」を導入することを奨励していると思います。
マイナンバーカードを含めた、
地方のデジタル化に焦っているような印象です。

各省庁、霞ヶ関さんは相当にデジタル化できてるのでしょうね。

今までの地方創生は、「地域経済の活性化」という、
「お金の循環」が注目されていた印象でした。
そこを起爆として、少子化、人口問題に対応する、という。



デジタル田園都市国家構想推進交付金とは

結果的に、「地方のデジタル化交付金」と、感じます。
少子化対策とか、生涯活躍、地域活性じゃない印象です。

おそらく「次元の違う少子化対策」は、
この交付金ではなく、
こども家庭庁を中心に打ち出されてくるように思います。


地方のやりたいことよりも

「デジタル田園都市」の考え方は、
わからないわけではないのですが、
交付金の傾向から受ける印象は、
これまでの「地方創生」とは微妙に違うようです。

なんとなく、
地方のやりたいことが、
置いて行かれたような気がします。

地方に住む人がしようとしていることを国が支援するというよりも、
デジタル化、とにかく、とにかく、デジタル化という感じ。

「デジタル技術を活用した優良モデル事例の全国展開」に、
特にその気合いを感じます。

これを紹介するときの国の方の鼻息が荒すぎて、
結局、リトルデジタルシティをコピーして
日本中にペーストしようとしているように感じます。
って、私もふわふわした言葉づかいです。




すべて私の個人的な印象です。

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