『太陽は動かない』藤原竜也の青年期役でデビュー！16歳・日向亘、最初で最後のファーストカット秘話

■ついに映画デビュー！待ち望んだ家族の反応は？

“若手注目株”という肩書きがここまでピッタリはまる人も近年珍しい。現在16歳の日向亘。応募総数6千人超の中からHORIPRO MEN’S STAR AUDITIONグランプリを受賞し、映画『太陽は動かない』（3月5日公開）で俳優デビューを飾る。主演の藤原竜也をはじめ、竹内涼真、ハン・ヒョジュ、市原隼人、佐藤浩市ら豪華キャストと肩を並べる形での映画初出演。しかもハードな肉弾アクションにも初挑戦した。その初めてづくしの心境とは？

心臓に爆弾を埋め込まれた秘密組織のエージェント、鷹野（藤原）と田岡（竹内）。24時間ごとに迫る死の危険を抱えながら、全人類の未来を決める次世代エネルギーの極秘情報をめぐり、各国のエージェントと命がけの頭脳戦を繰り広げる。原作はベストセラー作家・吉田修一による小説。日向は、鷹野が秘密組織AN通信に入るきっかけとなる高校時代を演じる。

「映画に初めて出演するということも驚きですが、キャスト・スタッフの皆さんの豪華さにも驚きました。僕が出演するシーンも多いので、プレッシャーを感じる反面、撮影を心待ちにする気持ちがありました」と大役抜擢に声を弾ませ「台本を何度も読み込み、素人ながらもセリフの感情やイントネーション、テンポなどを一生懸命考えて誰もいない場所で自主練習。家族に聞かれるのは恥ずかしいですから…」と照れる笑顔も初々しい。

その家族も愛息子の初出演映画に興味津々。「家族みんなが楽しみにしていて『早く映画館で観たい！』と言ってくれます。映画好きのお父さんからは『セリフを言ってみろ』と言われたけれど、さすがに恥ずかしいので断りました」と困り顔だが、家族のエールがなによりもエネルギー源のようだ。

■友達が見たら…ピュアな恋愛っぽい場面にドッキドキ

人生初となるファーストカットの撮影は、高校時代の鷹野にとっての重要な場面だった。「セリフのない歩くだけの場面でしたが、自分にカメラのレンズが向いて、照明が当てられ、現場の全員が注目する。その中で歩くというのは…普段と全然違います！始まる前にスタッフの方々から『手と足が同時に動いちゃうかもよ!?』と心配されました」と思い出し笑い。

エージェントとして初めてのミッションに挑むアクション満載のシーンは見所の一つだ。生傷も絶えなかったが「アドレナリンが体中を駆け巡っている感覚で、撮影中はまったく痛くありませんでした。でも撮影が終わってみたら全身筋肉痛で、もう一歩も歩きたくないという状態。猛暑の中での撮影だったので、汗も滝のように出ていました」と激闘を振り返る。

動きのテスト、そして本番とアクションシーンには丸2日かけた。「朝から夕方までみっちりのアクション撮影だったので、本番前日の夜には覚悟を決めていました」と凛々しく回想するも「前日の夜ご飯はスタミナをつけるためにガッツリ系も考えましたが、味噌煮込みうどんにしました。消化しやすく胃もたれもせず、安定した体調をキープするために」と控えめな横顔をチラリ。

俳優人生最初で最後の“初”出演映画。「完成した作品を観たときは新鮮ですし、非現実的というか驚きでした。大きなスクリーンに自分が映し出されるなんて数年前の自分では想像もしていなかったことですから」と感激。その一方で「ピュアな恋愛っぽい場面は自分でも恥ずかしかったし、これを友達が観たらどう思うだろうか…」と思春期ならではの甘酸っぱい感想も。

■一睡もしない!?現役高校生の理想のフリーダム24時

高校2年に進級し、学業の両立に励んでいる最中。「もし僕が24時間好きなことをしてもいいと言われたら、南国に行って好きなものを好きなだけ食べて飲んで、一睡もせずに海で遊びます」と16歳ならではの無邪気さで「特技はルービックキューブ。回転音が気持ちいいし、動作もカッコいい。今のところ最速で6面40秒くらいで揃えることができます。撮影現場に持って行ったら会話の糸口になりそう」と自信あり。

『太陽は動かない』での経験が、新たな可能性の扉を見せてくれた。今後については「黒く染まった汚い世界での物語や、言葉以外で狂気を垣間見せるような悪役にも興味があります」と夢や目標は増えるばかり。10代という年齢を活かして「学園もののキラキラ系もやってみたい」と想像するが「僕が壁ドンをしている姿は…友達には受け入れがたいかも」とやはり照れ臭い。それでも次なる“初”に胸を高鳴らせながら、一歩、一歩、俳優・日向亘として前進していく。

【プロフィール】
日向 亘（ひゅうが わたる）
2004年3月18日生まれ、群馬県出身。2019年HORIPRO MEN’S STAR AUDITION～未来のスターはキミ？ それとも隣のカレ？～ でグランプリを受賞。カンテレ・フジテレビ系「姉ちゃんの恋人」に出演。雑誌「DUeT」「Myojo」にて連載中。
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写真／玉村敬太
取材・文／石井隼人

ヘアメイク／宮田靖士（THYMON Inc.）
スタイリスト／五十嵐堂寿