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二ノ宮ゆい、20歳にして身につけた「ヘコまない」切り替え術 人気公演『リュズタン』主要キャストに抜擢

2017年に開催された「次世代声優☆ミラクルオーディション」で特別賞を受賞し、TVアニメ『アイカツフレンズ!』の日向エマ役で現役高校生ながら声優デビューした二ノ宮ゆい。その後、“陰”を感じさせるアーティスト「ニノミヤユイ」としても活動を開始。キャリア序盤にして、さまざまな表情を届けてくれている。

今回、またもう一つの側面「俳優」として、8月18日(木)より、劇団おぼんろの第21回本公演『瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった』にて中心キャストとして出演する。人気舞台のシリーズに名を連ねることへの意気込み、またリーズンルッカ初登場ということで、これまでの歩みを聞いた。

■『リュズタン』はイチお客さん目線でも楽しめる舞台

――(※取材日は真夏日が続いた週)いま稽古真っ只中だと思うんですが、この時期は相当体力勝負になりますよね。
「今回の(劇団)おぼんろのセットって結構大きくて、移動させたりとか、大きな動きが生まれるので、みんな暑い中で“熱く”なってます。人によってはずっと走り回ってたりするので、私なんかまだまだです」

――二ノ宮さんがやる役は「サンゴの姫役」ということなんですけども、ストーリーと合わせどんな役どころなんですか?
「私を含めて5人の登場人物が、1つのチームとなって、冒険するっていうお話なんですけど、すぐネタバレになってしまうような気がして……ざっくり言うと、物語を進める上で重要な役割を果たす、明るいキャラクターの子です(笑)。後半から終盤にかけて、それまでの謎がどんどん明かされるので、ハラハラする展開が好きな方はぜひ目撃しに来てほしいなと」

――“公演ごとにキャストの組み合わせが変わる”っていうミックスキャストシステムが採用されていて、非常にユニークだなと
「そうなんです。全ての役に2人ずつキャストがいて、その違いも楽しめるんですけど、『トノキヨ』という主役は性別も入れ替わるんですよね。そうなると、他のキャラクターとの関係も、『女性だったらこうするよね』っていう演出にも変化が起こるので、傍から見ていても面白いんです」

――とくに舞台俳優ともなると、声優とか歌手活動とも違う肉体的な負荷も出てくると思うんですが、その辺りに難しさを感じたりしますか?
「フィジカルというよりは、役へのアプローチの仕方が全然違うので、そこは苦戦してる部分です。ただ、これを脱せられたらもっと成長できるんじゃないかっていう期待もあって。先輩の声優さんでも、舞台を数多く経験されている方がいるんですが、みなさん声のお仕事で“生っぽい”演技ができているんですよね。キャラクターとの完全一致というか……早く私も良いフィードバックができるように頑張りたいです」

■中学生で「オタク」に仕上がった

――声優への憧れを持ったきっかけは、小学校のころに見たアニメ『進撃の巨人』っていうのは他の媒体でも語られていますよね。
「調べていただいてありがとうございます(笑)。『ミカサ・アッカーマン』の演技を見て“聴き惚れ”、一目惚れの耳バージョンみたいなことがありまして(笑)。格好良くて、凛としていて、筋が通っていて、物語にグッと入り込む体験ができたんですよね。それでふと『あ、アニメって後ろでちゃんと生身の人が声を当てているんだな』っていうことで、声優さんの存在を強く意識したというか。いまだにミカサ役の石川由依さんは目標とする方です」

――それまではアニメを見るような子ではなかったんですか?
「ほんと何をしていたんだろう、っていうぐらいに趣味がなくて、アニメはもちろんジブリもディズニーも見なかったんですけど、小学校4年生で転校したクラスが、『週刊少年ジャンプ』をめっちゃ読む女の子とか、『ニコ動』を好きな子とかが多くて。その子たちの影響で、一気に引き込まれましたね。中学生の時は、もう完全に『オタク』に仕上がっていました(笑)」

――なるほど。そこから声優を仕事としても具体的に考えるように。
「もともと歌を歌ったり、前に立って表現したりすることは好きで、当時は声優さんも歌やダンスも演技もやるのが珍しくなかったから、うっすらと考えてはいましたね。高校では吹奏楽部だったんですけど、途中でやめちゃって、次に打ち込めるものを、と考えた時に『声優さんを目指したい』っていうのが浮かんできて。とりあえず力試しにオーディションを受けてみるかと」

――えっ、その“試し”がデビューのきっかけになったオーディションですか?
「そうなんです。目指そうと決めて、あれよあれよという間にデビューすることができて。アーティスト活動も、声優をはじめて1年ぐらいのことで、気持ちが置いてけぼりになることが最初はありましたね」

■プレッシャーを与えられる方が向いている

――デビュー間もないころに立ち上げたブログのタイトルが「強く生きていこう。」、そして座右の銘が「思っているより人間は強い。」。“気持ちが置いてけぼり期間”と関連があるように感じてしまいます。
「いや、そうなんですよ。一時期はネガティブが過ぎて、市販の水でさえも毒が入っているんじゃないかぐらいの危機感を覚えていて(笑)。そこで、『いつ死ぬかわからないから、強く生きていかねばいかん!』という気持ちでいたら、うまくいくようになって」

――たしかに、それぐらいの思いがあれば何でもできそうですよね。
「私、中学のころに塾に通っていたんですけど、よくそこの塾長が『死ぬ気でやれ、死なないから』って言ってくる人で。その言葉にすごいハッパをかけられて、成績がグンと伸びたんですよね。だからプレッシャーがかかっている方が私には合っているのかなというのはあります」

――自分を「ネガティブな方」と分析している方だったので、正解が見えつつあってよかったです。
「『ここでこうやって気持ちを切り替えれば、ヘコまずに済むんだな』みたいなことが最近分かってきたおかげで、舞台でも感情を引きずらずに、良い流れで演技ができているなと。ただ、いろいろなジャンルの仕事をされている先輩方はもっと“切り替え”が必要なわけじゃないですか。本当超人だなって思いますよね。今度その話を根掘り葉掘り聞きたいと思っています(笑)」

【リーズンルッカeye’s】二ノ宮ゆいを深く知るためのQ&A

Q.最近もっぱらハマっていることは?

「『ディズニーパーク』に行くことです。ディズニーのオタクにはいろいろと種類があって、映画を見るのが好きっていう人と、キャラが好きみたいな人がいるんですが、私はランド、シーに行くのが好きなオタク。新シーズンがはじまったら、当日はこのショーを見て、ここ行って、ここのフードを食べてみたいな計画を立てて全部クリアしていくのが楽しいんです。小さい頃はディズニーにハマっていなかったのが嘘みたいですよね(笑)」

<編集後記>

事前に下調べをした際、なにより驚いたのがまだ20歳ということだ。その若さながら、関わってきた作品、歌ってきた作品、出演した作品、ここではすべて書ききれないほどのボリューム。一見すると順調なキャリアパスを送っているように見えるが、インタビューでもわかるように、彼女なりに悩み、苦しみ抜いたその先にいまがある。自分からすれば、“人生前倒し”感があるが、今後も「悩みと経験」を並行しながら、のぞむ目標に突き進んでいくのだろう。

<マネージャー談>

20歳の誕生日イベントで、ファンの皆さんの前で、「売れます!」と宣言したのは、自分を応援してくれるファンの皆さんへの感謝と、期待に応えねば!という想いを感じられて、真面目でまっすぐな人だな、と。そんな二ノ宮ゆいが、新たに挑戦させて頂く、劇団おぼんろさんの第21回本公演『瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった』で、どんな成長を見せるのか、1人でも多くの方にご覧いただければと思います。
よろしくお願いします!


<プロフィール>
二ノ宮ゆい(にのみや ゆい)
2001年9月6日生まれ、神奈川県出身の声優/俳優/アーティスト。声優などは「二ノ宮ゆい」、アーティストでは「ニノミヤユイ」と表記を変えて活動している。今回彼女が出演する『瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった』は、2021年夏に東京池袋で上演されて人気を博した同公演の再演となる。2022年8月18日(木)~8月28日(日)の日程で、Mixalive TOKYO Theater Mixaにて開催される。
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劇団おぼんろ第21回本公演「瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった」

【作・演出】末原拓馬
2022年8月18日(木)~8月28日(日)(全19ステージ)
会場:Mixalive TOKYO Theater Mixa
公式HP:https://www.obonro-web.com/ryuztan2022
<出演者>
トノキヨ役:さひがしジュンペイ/わかばやしめぐみ
クラゲ役:末原拓馬/橋本真一
ワカメボーイ役:高橋倫平/日向野祥
ラッコ役:塩崎こうせい/瀬戸祐介
サンゴの姫役:大久保桜子/二ノ宮ゆい/わかばやしめぐみ(27日限定)
※役柄固定のミックスキャスト

<あらすじ>
トノキヨは、ヨボヨボシワクチャで老人だ。
夢も希望もないまま、何十年ものあいだ誰とも関わらず独りぼっちで生きてきた。 毎晩、次の日の朝が訪れることを心底嫌がり、朝目覚めると、早く夜が訪れ1日など終わればいいと願い続ける毎日を繰り返していた。
ある夏の夜、トノキヨのもとに、水色の少年が現れた。
少年は自らをクラゲと名乗り、小瓶を掲げて声を弾ませた。
「海を盗んできた!」
覗き込むと、小瓶の中には海が入っていた。 戸惑うトノキヨなどおかまいなしで少年が小瓶を床に叩きつけると、中からは海があふれ出し、ベッドは瞬く間に大海原に放り出されたのだった。
トノキヨは困ってしまった。
なぜならその晩トノキヨは、生きていることが嫌になって眠り薬をたらふく飲んだのだった。
海の世界で出会う、奇妙な仲間たち。
一刻も早く目覚めてまた眠り薬を飲みたいトノキヨは、そのためには遠い昔に提出し損ねた夏休みの宿題をおわらせなければならないと告げられ冒険に出る。
あなたは小学5年生の夏休み、何をしていましたか?
大人になりたかったわけではないのに、子供ではいられなくなってしまったすべてのあなたに贈る、風変わりなファンタジック冒険譚。
進もう、覚めては始まる夢の先まで。


写真/大童鉄平
取材・文/東田俊介

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