『宝石の国』で感情が死んだ

感情が揺さぶられ、死んだので、久々に残してみる。

※ネタバレを多分に含むので要注意。

・

・

・

まずここまで祈りを。

深呼吸。

からの。

ねえこれ何の話？？？

美しいおとこのこ(？)たちが美しく舞い踊る雰囲気だけ見知っていた本作品。
今回、期間限定の無料公開のおかげで、その全編を最新話まで読むことができた。
(最新話は有料だったが読まずにはいられなかった)

その実態は、
人間が古代生物と呼ばれる未来世界で
かつて人間だったモノたちが互いを削り合っているという状況。

主人公のフォスフォフィライト(フォス)は、繊細な宝石たちの中でも、めちゃめちゃ恵まれない境遇。
しかし、仲間を次々と失いながら、それと引き換えのように新しい身体の部位を手に入れて、徐々に自分たちが置かれている状況の異質さに気づいてしまう。
事態を打開するため敵地へ乗り込み、真実(この時点では不確定)を知ってしまった。
それは、月人とは人間の魂であり、彼らは永遠の命に倦み、無に帰すために祈りを求めているということ。
そして、金剛(自分たちの育ての親であり指導者)が、実は人間により生み出された、祈りのための機械であり、彼が祈るために月人が宝石たちを攻撃しているということ。

それを知ったフォスは、宝石たちを仲間に引き入れ、キーマンである金剛をどうにか起動させようと試みる。
だがそれは、引き入れられなかった者たちからは明らかな敵対行為として受け取られ、地上へ戻る度に滅多打ちにされ、月人に回収され…
それを繰り返すうち、次第に悪化する状況(永年地中に幽閉された時期もあった…)の中で意識は混濁し、
本来の目的(戦争を終わらせて仲間を取り戻し、幸せな暮らしを…)を忘れ、
復讐と破壊の権化のような有様に。

エグすぎるんですよ、そのビジュアルが！！
祟り神かな！？って感じの！！
呪詛そのもの！！
かつて美しかっただけに余計エグい！！！

繊細かつ濃厚な物語

フォスのしたことは結果的に仲間たちをも分断し、仲間同士が相争わねばならない形となってしまう。
もっとも、それは一時的なこと…という、読者を「！！！？？？」な感情に追い立てるのが最新話までの流れ。

この物語は、少年たちの不憫さや感情の機微に心震わせられる反面、戦争モノ特有の政治的な陰謀もきちんと織り込まれている。
そのキーマンとなっているのが、月人のリーダー・エクメア。
美人が無表情だと怖い…と常々思うのだが、彼も例に漏れず、イケメンな上に大体表情が揺るがないので、正直まるで本心の見えない人物だ。
そして、フォスと金剛とのやりとりも全て掌の上…「計画通り」みたいな面構えなのである。

フォスの境遇は、
「脆い身体に不釣り合いな自己顕示欲を持て余し」、やがて強い力と、知恵という猛毒を身に受けて、
その上、度重なる酷い仕打ちを受けて「復讐心」が生まれ…
古代生物が滅びたその世界で「最も人間らしい」存在だった。

「人間」が金剛を起動させる条件のひとつ。
しかし、金剛は結局起動はしたものの力を発動できず、故障していることを証明したに過ぎなかった。

エクメアにとってそれも織り込み済み。
フォスは仲間たちを倒す中で、人間を超えた「何か」に進化してしまい
そしてそれが、金剛の力を引き継ぐ条件を満たしてしまう…

地上には進化したフォスだけが残され…
一方、敵味方だった宝石たちはほぼ皆、月で月人化してもらい、エクメアの統治の下で幸せを享受する…
フォスは混合から引き継いだ力を…月人たちを永遠の生から解放する「祈り」の力をインストールするため、金剛の永い記憶の悪夢に苛まれる…
その必要時間は、1万年…

いやインストール長すぎんよ～コミックDAYSさんよ～！！？

(あからさまな風評被害)

この先の展開は？？？

正直言って、分かりませんが。

マジで、マ・ジ・で！！！
フォスには救われてほしい…

誰も救いの手を差し伸べない哀れな、
戦争の英雄こと破壊の権化。
そんなことになってほしくない！！！

戦争モノだから次々と鬱展開が襲ってくるのは仕方ないよ！？
日常のキャッキャしてるところがすごく好きだし、それが更に鬱展開を引き立ててたのも納得の構成だよ！？
でもね…ほんとにね…
このままなんの救いも得られないの惨すぎやしませんか！！？？

ちなみに、エクメアがこっそり「我々に子どもがいたとしたら…違った未来を…」といった話を伏線っぽく話していたが…
(万が一仮に産まれるかもしれない)次世代とともに得る幸福が、本当にフォスの幸福なんだろうか？

認められたがっていたのは、共に生きたかったのは、やはり今いる仲間たちなのではなかろうか？
でも、インストールが完了すれば、どの道、月人たちはフォスを残して無に還ってしまうのか…
もしそれをフォスが拒むとしたらどうなるのか？(エクメアにはその辺まで含めて策があるとは思うが…嫌だな…そうなったらまた鬱展開か…？)

・・・・・・・・・・・・

鬱屈とした気持ちを抱えながら…
このぐらいにして寝よう…
色々書いて少しだけ発散出来ました…ありがとうございました…

それでは、また。