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台湾「乗り鉄」旅 ~3日目~

(2日目からの続きです)

 旅の3日目は、早朝起きで「祝山線」で日の出を見に行き、阿里山
森の中を歩き、バスと「阿里山森林鉄道」で山下り。昨日出発した「嘉義」に戻ります。


「祝山線」完乗と日の出

 ホテルのモーニングコールの自動音声と自分のスマホの目覚ましに起こされました。朝3時20分。幸い昨夜の頭痛は消えたものの、寒くて眠くて、このまま寝続けてしまおうかという誘惑にかられます。毎日見ている太陽をどうして見に行かなきゃならんのだ。と。
 それでも「祝山線」は早朝の一往復しか走っていないので頑張って起きなければいけません。しかし寒い。長袖のヒートテックの上に長袖のTシャツを重ね、その上に冬のジョギング用のパーカーを着て駅の方へ。

ホテルを出たのは早朝3:50頃。まだ星が見えました。
駅に着くとすでに改札の列が出来ていました。

 列車の中は家族連れが多く、海外からの観光客も散見されました。前日発表された発車時刻の4:20を待たずに発車。早発か⁉︎しかし改札の外にはまだ乗客の列が。もう一本すぐ後ろから列車を出すのだろうかなどと思いながら「阿里山」駅のホームの灯りが届かなくなるとすぐにの外は真っ暗に。
 暗闇の中をただ減速と加速を繰り返すディーゼル機関車の音を聞きながら、無機質な白い蛍光灯が眩しい、ナローゲージの狭い車両の中、ビニール製のロングシートに知らない人たちと向かい合いながら座っていると襲ってくる睡魔。護送される囚人のような心持ちもしてきます(護送されたことはありませんが。)。
 目を閉じて意識が飛び飛びになる25分間。朝4時50分ごろ「祝山」駅に到着です。これで祝山線完乗です。眠くて寒い。

祝山駅のホーム

 「阿里山」のホームから階段をのぼって駅の外へ。少しだけ空が明るく白んできました。駅を出て徒歩約1分のところにある展望台「祝山観日平台」に向かう途中、観光客を相手にする屋台の看板が黄色く明るく灯っていました。こんなに早朝から商魂たくましいです。
 たくさんの乗客が大挙して降りたにしては、私の周りに観光客はあまり多くいませんでした。団体やツアーの皆さんはもう少し遠くの展望台まで行ったのでしょうか。

寒さの中、今か今かと日の出を待ち侘びるます。

 それにしても寒くて風もあります。日の出の時刻まで25分もあります。着ているパーカーのフードをかぶり少しでも体温が奪われないようにします。
 こんなに寒くて眠いのに、どうして人間は日の出を見たいのでしょう。私は何が楽しいのでしょうか。などと思ったのですが、日の出の時刻が近づいてくるにつれて、「ああ来てよかった」という思いに変わっていくから不思議です。

雲の間から太陽が!
雲海を見ることはできませんでしたが、もともと雨予報だったので上出来です
「こりゃ見たくなるわ」と納得のお日様。

「祝山」を後にして「阿里山」へ戻る

 無事に日の出を見ることが出来て満足しました。この「祝山」駅は標高2451mで、台湾の鉄道の中で最も高い場所にある駅だそうです。

帰りの列車で「阿里山」に戻ります。
来る時は真っ暗だったので窓の外は見えませんでしたが、帰りは、右に左にカーブするたびに牽引機がよく見えます。
往路は通過した「沼平」駅に停車。留置線を興味深く観察

「阿里山」~「沼平」の区間をもう一度乗ってみたくなった

 今日は午前3時半に起きて日の出を見たので、ホテルに戻ったらチェックアウトの時刻まで寝ていようと計画していたのですが、この「沼平」までの区間、もう一度乗ってみたくなり計画を変更しました。
 冷えた体を、例のへんてこなバスタブで温め、台湾語のテレビとポッドキャストを聞きながら、朝8時から30分だけベッドで仮眠してから日記を書いて9時半にはチェックアウトしました。
 「阿里山」を午前10時に出る『35列車』で「沼平」へ。こんなふうに急に思い立って予定を変更できたのも、時刻表を印刷して持ってきたおかげです。紙の時刻表の視認性の良さよ。
 折り返して戻る10:45の列車に間に合うよう、30分だけハイキングを。「姉妹池」を目指して急ぎます。

これぞ森林鉄道。沼平から祝山方面を見る。今朝降りてきた線路です。次にここを列車が通るのまた明日の早朝です。
姉妹池の東屋にも行ってみました。
巨木の森の中にポツンと信号
「沼平」から「阿里山」に戻る列車。
最後尾の5号車は、私1人だけでした。

予定のバスが運休! 詰んだか?と思った

 台風の影響などで区間運休のため、本線の終点である「十字路」駅までは、並行する道路を走るバスで行く計画で行きました。
【阿里山】--バス--【十字村】--徒歩--【十字路】--列車--【嘉義】
 計画では、阿里山バスターミナルを11:40に出発するバスに乗ることにしていたのですが、10分ほど前になってもバスが来ません。どうも不穏な雰囲気。乗り場の近くのポスターをGoogle翻訳でみてみると、なんと運転手さん不足のため、私が載る予定のバスが減便の対象になっているではありませんか。

驚きの翻訳性能に衝撃の事実を知らされる

 これは困ったなと焦ったのですが、1時間後に出るバスでも間に合うことが判明。安心してバスターミナルの3階にあるお土産屋さんとカフェに。親切な店員さんと話してから窓際の席で軽めの昼食とコーヒーを頂きながら、日記を書いて1時間後のバスを待ちました。
 印象に残っているのは、窓から見る阿里山の景色、流れる雲の変化が速かったこと。全面が曇ってしまったと思ったら、雲がちぎれたり。そして店内でかかっていたドリカム。

帰りは慣れたもの。「悠遊カード」を持っていない私は、現金で37元を握りしめてバスへ。
「十字村」バス停で降車したのは私のほか、カップル一組だけ。

賑やかな「十字路」駅

 事前にネットで調べ、バス停から駅まで分かりにくい道を行くことを覚悟していたのですが、Googleマップのおかげで迷わずにたどり着きました。そして駅の周りの飲食店は音楽を流し、観光客もくつろいでいる様子で賑やかでした。列車の発車時刻まで1時間ほど。駅の中や展望台を見て回ることにしました。

昔からある駅舎の窓口は閉じられていて無人のようでしたが駅スタンプはありました。
「十字路」駅のモダンなスタンプ。標高1534m。
今朝の日の出を見た場所から約1kmも下ってきました。
折り返し「嘉義」に向かう車両が留置線にいました。
写真の向こう側が「嘉義」で手前側が「阿里山」。
この旅の時点では「十字路」が終点なので手前側には列車は来ません。
全線復旧した後は恐らく見られなくなるであろう「十字路」⇔「嘉義」のサボ
活気のある「十字路」駅のまわり
待合室に展示されていた昔の写真と見比べて阿里山森林鉄道の歴史に興味がわきました。
「十字路」駅の簡易的な階段で列車に乗り込みます。
車窓からみる暖帯林と熱帯林の境目の看板
列車が標高を下げるにつれ、ところどころ睡魔に負けてしまいました。「嘉義」に到着する直前には雨粒が窓ガラスをたたきました。無事に戻ってきました。山下り成功です。

 「嘉義」駅のホームに降りると蒸し暑さがまとわりつきました。今朝の3時過ぎ、ジャンパーのパーカーをかぶって寒さをしのいでいたのが嘘のようです。阿里山森林鉄道の切符を駅員さんに見せて、台鉄の改札を出ました。
 このまま窓口で明日の「自強号」の切符の受取を済ませてホテルにチェックイン。バスルームの証明が点灯しなかったため、フロントに電話し、電球を交換してもらいました。なかなか落ち着かない時間。

嘉義市立美術館のカフェでくつろぐ

 まだ日が沈まないので、嘉義市立美術館のほうへぶらぶらと。美術館は夕方5時で閉まっていましたが、中の本屋さんとカフェ「昭和J11咖啡館」は20時まで営業しているとのこと。夕食を頂いた後、もう一度こちらに戻ることにしました。

嘉義私立美術館
もともとは日本統治時代の台湾総督府専売局の庁舎だった建物です。こちら以外にも、台湾の皆さんは、古い建物を蘇らせて新しく残すのが上手だと感じました。
中の階段
カフェ「昭和J11咖啡館 」で飲んだビール。
「阿里山森林鉄道」と「台湾ビール」のコラボ。ほんのり甘いビールで森林鉄道の旅を思い起こしながらくつろぎます。

4日目(最終日)に続きます。)

 帰国してから、こちらの本を図書館で見つけることが出来ました。台湾の言葉で書かれているのですが、美しい写真が多く、眺めているだけでワクワクします。

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