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One Control Basiliskを使って、ペダルボードをMIDIでコントロールしよう!

ペダルボードをMIDIでコントロールすることで、複数のエフェクトを同時に操作したり、プリセットのロードやセッティングの変更が行えます。Basiliskは、そんなペダルボードのコントロールに最適な、コンパクトで扱いやすいMIDIコントローラーです。

ここでは、MIDIの簡単な使い方や接続方法などを解説します。

●MIDIとは
MIDIは、もともとは楽曲の自動演奏のために作られた規格です。そのため、そのシグナルには音をだす信号や音をベンドする信号など、様々な演奏にまつわる信号があります。

その信号を使って、機材の設定だけを操作するのが、一般的なペダルボードでのMIDIコントロールです。
よく使う用語としては
・チャンネル(CH)
・プログラムチェンジ(PC)
・コントロールチェンジ(CC)
・MIDI IN・MIDI OUT・MIDI THRU
・MIDIクロック
などがあります。MIDI CCの中でもエクスプレッションペダルで操作することをMIDIコンティニュアスコントロールと呼ぶこともあります。

Basiliskは、MIDI PCとCCを送信することができるMIDIコントローラーです。

MIDIのややこしいところは、「同じ信号でも機材によって動作が異なる」ことです。例えば、MIDI PC#01という信号を送信したとします。ある機材では、それでプリセット番号1を呼び出すこともあれば、ある機材では内部のエフェクトサウンドが選択されたり、ある機材ではエフェクトのON/OFFになったりします。
なぜこういうことが起こるかというと、MIDIはあくまでも共通した「信号」にすぎず、その信号を受信したときに「どういう動作をするか」を設定するのは機材により異なるからです。

例えば、「1番の動作をしてください」という依頼があったとき、ある会社では朝礼かもしれませんし、ある会社では営業をはじめる合図かもしれません。それと同じことが機材によって異なっていると考えるとわかりやすいと思います。
これはMIDIの自由度の高さがなせるものです。もし、MIDIが信号によってやることが決められていたら、ここまで多くの機材に普及しなかったことでしょう。

●MIDI機器の接続

MIDIは、複数の機器を同時にコントロールすることができます。各MIDI対応機器の間はMIDIケーブルで接続します。機種によってはMIDI INしかないものもあるため、実際にどのように接続するかは使う機材によって異なります。
MIDI OUT/THRU端子がある場合は、さらに後に別のMIDI機器を数珠つなぎにすることができます。
MIDI THRUはコントローラーからのMIDIシグナルを後の機材にもそのまま出力します。ペダルボードくらいのサイズではあまり問題になりませんが、MIDI THRUを続けるとMIDIシグナルが弱ってシグナルの一部がうまく届かないことがあります。
そのため、一瞬ラグはできますが、機材によってはMIDI MARGEという機能で、入力されたMIDIシグナルをコピーして新たに送信する(1台目と同じシグナルの強さで送信できる)機能がある場合もあります。

Basiliskには、同じ信号を出力する2つのMIDI端子があります。MIDI THRUによる数珠つなぎをできるだけ短くしたり、MIDI OUTのない機器を2台つかいたいときなどに便利です。

●MIDIチャンネル

MIDIには16のチャンネルがあります。もともとの自動演奏の役割としては、楽器のパートを意味するものがチャンネルでしたが、機材をコントロールするとき、MIDIチャンネルは「どの機材をコントロールするか」という意味となることが多いです。

例えば、最初に接続したMIDI機器にPC#01を、次のMIDI機器にPC#02を送信したい、とします。そのとき、このチャンネルがないと、受信した機器はPC#01を実行するのかPC#02を実行するのかがわからなくなります。
そこで、例えば
MIDIチャンネル1:PC#01
MIDIチャンネル2:PC#02
と分けて送信します。そして、受信する機器の方で、受信するチャンネルを指定します。あなたはMIDIチャンネル1の信号に従ってください、と設定することで、上の2つの信号を同時に受信しても、どちらに従えばよいかを設定できます。
機材によってはOMNIというモードがあり、全てのチャンネルの信号を読みますよ、という場合があります。これはMIDI機器を1台だけで使うとき、MIDIチャンネルをいちいち設定しなくても良いようになります。ですが、Basiliskのように複数のMIDIチャンネルにシグナルを送信することが当たり前のコントローラーを使ったりすると、思っていたのと違った動作をして混乱することがありますので、MIDI機器を接続したら、まずはじめにMIDIチャンネルを設定しておきましょう。

●MIDIプログラムチェンジ

Basiliskでは、P●という設定はMIDIプログラムチェンジ(PC)の設定です。
プログラムチェンジという名前は、もともとの自動演奏の設定では楽器の種類を選択するものだったことから来ています。
PC#は、多くのエフェクターでプリセットのロードに使われることが多いです。(実際の動作は必ず受信する機器のマニュアルをご覧下さい)。
PC#は0-127(機器によっては1-128)のシグナルがあります。199まで設定できる場合もあります。

●MIDIコントロールチェンジ

コントロールチェンジ(CC)も、PC同様、MIDI対応機器によってその動作は異なりますが、基本的にCCにはパラメータの設定やスイッチの操作が割り当てられます。
コントロールチェンジという名前のとおり、コントロールの値をチェンジするために生まれたシグナルです。

MIDI CCには、CCの番号と値という2つの設定があります。Basiliskでは、大文字のC●で設定するのがCCの番号です。
これは、ざっくりといえば「どのノブを動かすか」という設定です。例えば、歪みペダルでDRIVEノブを12時に設定する、という言い方をします。この「DRIVEノブ」にあたるのがCCナンバーで、○番のノブを動かします、という意味です。(ノブではなくスイッチなど、役割や機材により割り当てられる動作は異なります。)

そして、CCナンバーで指定されたコントロールの値を設定できます。Basiliskでは小文字のc●が値設定です。

これは、先程の例でいえば、DRIVEノブを12時に設定する、の「12時」の部分がこの値です。これも128段階あるので、12時位置だとだいたい64に設定することになりますが、実際の動作は使用機器により異なるので、使う機器の説明、仕様を理解して使って下さい。

●実際の設定例

それでは、実際の機器でMIDIシグナルがどのように設定されているかの例を見てみましょう。ここではMooerのマルチエフェクターGE250の画面を見ています。
GE250にはMIDI端子が1つしかありませんので、MIDI端子の役割(INかOUTか)を設定する必要もあります。

MIDI端子をINに設定すると、このように、MIDIに関する設定ができます。MIDI CHANNELは受信するMIDIシグナルのチャンネルを設定します。

これはCC REFERENCEとあるとおり、MIDI CCの番号とその操作内容です。GE250では、MIDI CCに割り当てられたコントロールが事前に決まっていますが、機種によってはCC番号とそれで何を操作するかということも設定できる場合もあります。その設定を「マッピング」と言います。

こちらはPC MAPING。マッピングという言葉が使われている通り、MIDI PC#の番号と、実際に呼び出すプリセット番号を自由に割り当てることができます。その設定を行うのがこの画面です。

繰り返しになりますが、MIDIの設定は「コントローラーの設定」だけで終わらないのです。MIDIは機材にもよりますが、受信する機器側で様々な設定をまず行い、その設定に合わせてコントローラーを設定していく、という流れの操作が一般的です。

これがMIDIが少し難しく感じる部分でもあり、MIDIの高い自由度がある部分でもあります。

BasiliskにはMIDIクロックの設定はありませんが、GE250はMIDIクロック(もともと自動演奏のテンポを設定する)に合わせてディレイタイムなどを切り替えるか切り替えないかを設定することもできます。

これで、だいたいのペダルボードで使用するMIDI機器で使われる信号を解説しました。MIDIには他にもノートオンやノートオフなどといった信号や、SysEXといったより複雑な信号もありますが、基本的にこのPC#、CC#とクロック、そしてMIDIチャンネルを知っておくと、だいたいのエフェクターの操作が行なえます。

MIDIでエフェクターを操作するために必要なのは、まずお手持ちのペダルの設定・仕様を把握し、何をどのように設定するとどのように動くかを理解することです。
そうすると、MIDIでの設定はそれほど難しくはありませんし、そのハードルさえ超えれば、ステージでのパフォーマンスもひとつ上の段階へいけるのではと思います。

是非、MIDIを理解し、そしてBasiliskでペダルボードをコントロールしてみてください!