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グッチからみるレザー

グッチのイメージはありますか。私は、赤と緑のラインが入ったロゴデザインのキャンバス地のイメージが強いです。

創業者のグッチオ・グッチは、イタリアのフィレンツェで生まれますが、ロンドンの感性に魅せられ、自国でこのブランドを立ち上げるに至ります。

世界大戦中に設立したこのブランドは、皮革製品ブランドとして人気を獲得しますが、戦争の影響で、素材の調達に規制ができてしまいます。

そこで、コーティングしたキャンバス地や竹を使用した、気品のあるデザインを試みたところ、その配色やデザインから、更なる人気を博すこととなります。

創業者亡き後、壮絶な利権争いが行われ、ブランドはみるみるうちに衰退していきます。ちなみに、この利権争いは映画化が噂されるほどのドラマがありますが、実現には至っていませんので、興味のある方は是非お調べいただきたいですが、ここでは趣旨と異なるため割愛します。

利権争いで大株主であった創業者の息子が命を落とすこととなり、グッチは創業者親族の手を離れ、ケリングの傘下となりました。

私はグッチの魅力は、創業者に対するすべての関係者のリスペクトが、現在のブランドイメージを守り続けてきたというところだと思います。

世界大戦が行われていた時代から想像するに、国と国の対立は激しく、国境は今より遥かに高いです。

他国からの物資輸入を拒む政治的な背景があり、他国からの文化輸入を拒む環境的要因がある制限の中で、自分の感性に忠実に商品を作り続けた彼の行いは、ボーダーレスの現代の一歩でもあったと思います。

そののちに、親族によって振り回されてしまうブランドですが、後に救済した人々が、創業者の志を慮り、当時の配色やバンブー(竹)の素材を生かしたブランド展開を望んでいることに、彼へのリスペクトを感じます。

多くの人に愛され守り続けられたブランドであり、今後もそうあり続けて欲しいと願っています。

また、ケリングはLVMHに並ぶ世界的ラグジュアリーブランドの牽引会社ですので、キャンバス地やバンブーを残しつつも、設立当初の希望であったレザー製品にも力が注がれている印象です。Gが型押しされた美しい色の革を見ると、時代や国境を問わない美しさを知ります。

他のブランドとは異なった歴史をもつブランドですが、これからも多くの人に愛されながら、創業者の意志に基づいた発展が続けられるのかと思うと、目が離せないブランドです。


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