マガジンのカバー画像

つらつら と。

24
テキスト機能にそのまま書いた詩を集めたマガジンです。長めの詩を読みたいときに開いてみてください。
運営しているクリエイター

2016年10月の記事一覧

重力

重力

重力
手すりのない階段
引き寄せられる
突き放される
怖さ、あるいは そこにあるもの。

「窓は少し開けておいて」
君の声、聞こえた気がした
秋の庭 木漏れ日のなかで

何か温かい飲み物を
喉をとおる液体に
何か温かい食べ物を
頬を膨らます個体に

それらに頼らないと
立ち直れない 今という時間が

重力に引っ張られ、突き放されて

顔をあげられず
#詩

泣く空、なでて

あわせた両腕が
お互いの体温の間で
小さくふるえる

うずくまって
肩をよせあって

床に映る自分の影と

終わりのない競争をしている

窓の外では

泣く空が

雨の音をたてて

5時を知らせるチャイムを

わたしの微熱をおびた体温を

そっとなでて

響かせている