小川葵

140文字の短い詩の小箱

小川葵

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  • 短歌‐三首

    短歌、はじめました。

  • 今日のおはよう

    毎朝Twitterにアップしている「おはようございます」のあいさつを音声にしてみました。天気のこと、今考えていること、これからやりたいこと…。このマガジンにまとめていきますので、お好きなときに聞いてみてください。

  • つらつら と。

    テキスト機能にそのまま書いた詩を集めたマガジンです。長めの詩を読みたいときに開いてみてください。

  • #STAY HOME の5日間

    浮いたり沈んだりした5日間のことばたち―G.W.2020 STAY HOME

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春への手紙

あなたと手を繋いだこと あなたと泣き、そして笑いあったこと ずっとつづくものなど ないとは知りながら ずっとつづいてほしいと 願うのは かなしく空っぽなことなのでしょうか 春の風が思い出をさらっていきます あの日、あの時が どんどん どんどん 遠くなっていきます いさぎよく さよならと手をふるには まだ 心があたたかすぎるのです あなたと繋いだ手 あなたの笑顔 あなたの涙 もう少しだけ 思い出と呼ばずにいていいですか もう少しだけ この胸のな

    • ライトに見守られる夜 オレンジ色の光を太陽に見立てて この星の自転と公転の軌道を思う どうして宇宙は重力を投げ出したのか きっとさびしさに耐えかねたんだよ なにもないところから 生まれ ずっとひとりだったから 憧れや 願いを 探索しようと今日も たくさんの手紙が届いています

      • 役に立たない というかたちの 小さなギフトをまいている 天使たち それは種まきのように すぐに実にはならないけれど 待つ という 魔法を知っているのならば 役に立たないものを 愛おしく思える 頬でなでて 涙をふいて あなたの肩にも、ほら

        • 真夜中のポケットのなか 泣き顔と笑い顔のあいまで 手を振るあの子は きっとわたしだね たいそうな話じゃないから ぽつりぽつりと言葉をつなぐ そうしてるうち眠りについた どうして夜は重いのだろう なんでもないって思いたいのに 真夜中のポケット 手をふり 明日のほうを見ている

        • 固定された記事

        春への手紙

        • ライトに見守られる夜 オレンジ色の光を太陽に見立てて この星の自転と公転の軌道を思う どうして宇宙は重力を投げ出したのか きっとさびしさに耐えかねたんだよ なにもないところから 生まれ ずっとひとりだったから 憧れや 願いを 探索しようと今日も たくさんの手紙が届いています

        • 役に立たない というかたちの 小さなギフトをまいている 天使たち それは種まきのように すぐに実にはならないけれど 待つ という 魔法を知っているのならば 役に立たないものを 愛おしく思える 頬でなでて 涙をふいて あなたの肩にも、ほら

        • 真夜中のポケットのなか 泣き顔と笑い顔のあいまで 手を振るあの子は きっとわたしだね たいそうな話じゃないから ぽつりぽつりと言葉をつなぐ そうしてるうち眠りについた どうして夜は重いのだろう なんでもないって思いたいのに 真夜中のポケット 手をふり 明日のほうを見ている

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        • 短歌‐三首
          8本
        • 今日のおはよう
          13本
        • つらつら と。
          24本
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          12本
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          27本
        • 日々のことばたち summer
          15本

        記事

          真夜中が映すのは 静かに眠っている色 どれも くーくーと 寝息をたてて 気持ちがよさそうだ 真夜中が映すのは それぞれの影 昼間には見えない 小人たちの忘れ物 外は小雨 橙色のランプが まだ起きるには早いと わたしを諭す

          真夜中が映すのは 静かに眠っている色 どれも くーくーと 寝息をたてて 気持ちがよさそうだ 真夜中が映すのは それぞれの影 昼間には見えない 小人たちの忘れ物 外は小雨 橙色のランプが まだ起きるには早いと わたしを諭す

          夜が明けて蒼白い空 ぼやけて浮かぶ月ひとつ 内緒話をするならば 太陽が昇る前がいいね ただのわたしであれるのは きっと 夜明け前の ほんの数分だけだから 小鳥が鳴きだして 今日がはじまる いつのまにか 月は消えていた

          夜が明けて蒼白い空 ぼやけて浮かぶ月ひとつ 内緒話をするならば 太陽が昇る前がいいね ただのわたしであれるのは きっと 夜明け前の ほんの数分だけだから 小鳥が鳴きだして 今日がはじまる いつのまにか 月は消えていた

          にぎやかなときに たのしいときに うれしいときに 手をふって さよなら。またね。を 言わなくちゃいけないね 楽しいことばかりだったら きっと ひとり を忘れてしまう ひとりきりのさびしさに てのひらをあて あたためて ひとりに戻っていく 少しひるむ心持ちを抱えながら

          にぎやかなときに たのしいときに うれしいときに 手をふって さよなら。またね。を 言わなくちゃいけないね 楽しいことばかりだったら きっと ひとり を忘れてしまう ひとりきりのさびしさに てのひらをあて あたためて ひとりに戻っていく 少しひるむ心持ちを抱えながら

          日曜日はピアノが弾けない 日曜日はピザを食べない 日曜日はインクを吸わない 弾き手を探しているアップライトピアノ 配達を待っているピザ屋のお兄さん 乾くことのないインクで書かれた日記 日曜日は、 日曜日は、いつも誰かを待っている

          日曜日はピアノが弾けない 日曜日はピザを食べない 日曜日はインクを吸わない 弾き手を探しているアップライトピアノ 配達を待っているピザ屋のお兄さん 乾くことのないインクで書かれた日記 日曜日は、 日曜日は、いつも誰かを待っている

          右手を強く握りしめて寝ていたようだ 爪の跡が 手のひらに痛い そんなに固く何を離したくなかったの 遠く聞こえる波の音か 花火が散り散りに消えていく空か あなたとした他愛もない冗談話か そんなに怖がらなくても 胸のなかにしまってあるでしょう 季節は また巡るから

          右手を強く握りしめて寝ていたようだ 爪の跡が 手のひらに痛い そんなに固く何を離したくなかったの 遠く聞こえる波の音か 花火が散り散りに消えていく空か あなたとした他愛もない冗談話か そんなに怖がらなくても 胸のなかにしまってあるでしょう 季節は また巡るから

          雨の街 朝の支度 打ちのめされる ただ毎日が繰り返されることに バッティングセンターには 一度だけ行ったことがある 一番遅いモードでも たいして打てはしなかった 打てるか 打てないか ではないのだ バッターボックスに 立ったことがある それが物を言うときが きっとあるのだろう

          雨の街 朝の支度 打ちのめされる ただ毎日が繰り返されることに バッティングセンターには 一度だけ行ったことがある 一番遅いモードでも たいして打てはしなかった 打てるか 打てないか ではないのだ バッターボックスに 立ったことがある それが物を言うときが きっとあるのだろう

          動き出す朝が 鍋の中で煮立っている 早くなった日の出を眺める キッチンタイマーは 音のないダイニングテーブルを ひたすらカウントダウンしている バツ印で埋める布目は 細かくて 正確さを求めている いろいろなルールが 正しさを主張するけど やわらかい約束が  いつだって必要ね

          動き出す朝が 鍋の中で煮立っている 早くなった日の出を眺める キッチンタイマーは 音のないダイニングテーブルを ひたすらカウントダウンしている バツ印で埋める布目は 細かくて 正確さを求めている いろいろなルールが 正しさを主張するけど やわらかい約束が  いつだって必要ね

          スモーキーな午後 カフェで待ち合わせた エスプレッソを飲みながら 互いに 違うものを見ていた 壁の絵画 煙草の匂い 今にも降り出しそうな 雨のことを 何も心配しないで 傘を持たずに あなたは 歩いていける人だから さよならを テーブルに置いて わたしは赤い傘を握りしめた

          スモーキーな午後 カフェで待ち合わせた エスプレッソを飲みながら 互いに 違うものを見ていた 壁の絵画 煙草の匂い 今にも降り出しそうな 雨のことを 何も心配しないで 傘を持たずに あなたは 歩いていける人だから さよならを テーブルに置いて わたしは赤い傘を握りしめた

          ビーカーの中に 端糸を丸めていれている 捨てられない思い出を丸めて 色とりどりの重なり 傷ついたこともあったのに それでもなお 好きという気持ち 誰かに見せるためでなく 自分のために 縫っていく でこぼこした縫い目は 不器用に愛した日々の戸惑い いびつなものを愛でる

          ビーカーの中に 端糸を丸めていれている 捨てられない思い出を丸めて 色とりどりの重なり 傷ついたこともあったのに それでもなお 好きという気持ち 誰かに見せるためでなく 自分のために 縫っていく でこぼこした縫い目は 不器用に愛した日々の戸惑い いびつなものを愛でる

          夕焼けの通り過ぎた空の色は すべてを許してくれるようで わたしは胸をなでおろす 今日が終わっていくこと 夜がやってくること だいじょうぶ 怖くなんてないよ ーーー 小さきものの声たち すべてあつめて ふぅと空に飛ばそう そう たんぽぽの綿毛 飛んでけ 飛んでけ

          夕焼けの通り過ぎた空の色は すべてを許してくれるようで わたしは胸をなでおろす 今日が終わっていくこと 夜がやってくること だいじょうぶ 怖くなんてないよ ーーー 小さきものの声たち すべてあつめて ふぅと空に飛ばそう そう たんぽぽの綿毛 飛んでけ 飛んでけ

          うまれたてのあさが あおいうぶごえを かがやかせている ーーー 泣きはらし 腫れたまぶたに 朝日はやさしく 流す涙も 乾いた涙も すべてが わたくし なのだと ーーー 目を閉じると ひとつ 扉 ノックしてみようか 誰かいませんか?

          うまれたてのあさが あおいうぶごえを かがやかせている ーーー 泣きはらし 腫れたまぶたに 朝日はやさしく 流す涙も 乾いた涙も すべてが わたくし なのだと ーーー 目を閉じると ひとつ 扉 ノックしてみようか 誰かいませんか?

          繰り返す日々は 果のない運針のようで 一目一目を縫いながら なにかに思いを馳せる 針目が整わないときは どこかに焦りがあり まっすぐ縫えないときは とこかに欲がある 運針という縫い物の反復練習を おろそかにしては 先に進めない 最初はゆっくりでいい だんだん上手くなるからね

          繰り返す日々は 果のない運針のようで 一目一目を縫いながら なにかに思いを馳せる 針目が整わないときは どこかに焦りがあり まっすぐ縫えないときは とこかに欲がある 運針という縫い物の反復練習を おろそかにしては 先に進めない 最初はゆっくりでいい だんだん上手くなるからね