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universe

ピアノで

 前にも同じことを書いたけど、髭男の「universe」が、ここ最近の感傷をくすぐる一曲になっている。
 日曜日、長男の学校の文化祭に行った。自由な学校で、いろんな出し物があり、自分の学校とは比べ物にならないクオリティー。自分も受けたかった学校だが、小学校の担任に反対されて受けられなかった。受けて受かる保証はなかったけど、社会や算数が得意だったので悔やまれる。

 その帰り、駅前のイオンで昼食を食べた。うろうろしていると、小学生くらいの女の子が街角ピアノでuniverseを弾いていた。それはそれは小学生とは思えぬくらい迫力の演奏で、思わず聞き入ってしまった。

 なぜ自分に刺さるのかというと、ちょうど家族が東京と大阪に分かれることになった時、長男の学校の入学説明会を妻と長男が聞きに行っている間、私と次男はこのイオンの映画館で、この歌が主題歌になっていた「のび太の宇宙小戦争2021」を見ていたからだった。
 この映画は初代の時も、武田鉄矢の「少年期」がとても切ない曲で、小学生の自分にもぐっとくる曲だった。ストーリーも。そしてリメイクされて、髭男の曲がまたよかった。
 春のこの時期、家族がバラバラになる。初めての東京暮らしが始まる。家も職場も学校もすべて新しい環境。そうした不安が、暖かくなり始めた春の陽気を楽しめないくらい、心の中でもやもやしていた。その時のもやもやが曲を聴くとよみがえって切なくなってしまうのだ。

 「伸びた影を見つめ」はのび太とかけているのかとか、0点と満天とか、よくできた曲だと思う。こんな40半ばすぎたおっさんの心も揺らすほどの世界観なのだから。少女が弾いていたピアノの音色に耳を傾けながら、またいろいろと考えていたのだった。


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