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第2章 私のキャリア遍歴(2)−大学専任教員に−ここからが本当の勉強のスタート(3)宿願だった観光・まちづくり分野のポストに就任

2020年4月、江戸川大学社会学部現代社会学科准教授に就任しました。

担当科目は非常勤講師時の担当科目「観光まちづくり論」「地域経営論」を引き続き担当することに加えて、「都市デザイン論」「クリエイティブツーリズム論」「ヘリテージツーリズム論」および「地域ブランディング」を引き受けたほか、演習科目を受け持つことになりました。

さらに、明治大学商学部で「公益事業論」の授業も始まり、新規の講義科目は前期だけで3コマに及びました。

しかし、2020年に日本でも新型コロナウィルスの感染が広がり、4月に入ってもなかなか授業を始めることができない状況に陥りました。

4月下旬にようやく、江戸川大学、明治大学、東京成徳大学などでオンライン形式で授業が開始されることになりましたが、オンライン授業は未知の領域であったため、四苦八苦しました。それでも、手探りで少しずつ進めました。前任校の私立短大のゼミも残っており、こちらもオンラインで開講しました。

私の場合、講義科目はパワーポイントに音声を吹き込み、MP4に変換した動画データをYouTubeにアップするオンデマンド配信とするとともに、出席確認を兼ねてレポート提出を課しました。

江戸川大学の演習科目については、ビデオ会議システムのGoogle Meetsを活用したリアルタイム授業を行いました。

オンデマンド授業も、リアルタイム授業も、受講生の表情がほぼ見えないため、はじめはやりづらい面がありましたが、徐々に慣れていきました。

江戸川大学では、Google Classroomによる授業手順の案内や資料掲示などが行われ、その便利さを次第に実感するに至ります。

Google Classroomでは、受講者への掲示連絡やPDFファイルなどの形での教材の配布、各種URLのリンクの掲示など各種連絡のほか、Googleフォームを活用したアンケートやレポート課題、試験を行うことが可能です。

また、「質問」タブに配点を設定することによる自動採点機能、解説欄に解説を記載しておくことで、受講者へのフィールドバックもできます。

学外の出講先でも、Microsoft teamsや独自システムなどにより、受講者への各種連絡が容易になりました。教材も予めPDFファイルとして掲載し配布するため、授業開始前にコピー機を使うこともなくなりました。

コロナ前は紙の資料を配布するため、授業開始前の早い時間に出勤し、コピー機でブリントを準備する必要があり大変な手間でしたが、その作業から解放されて気持ちも楽になり、また紙の節約にもつながって、色々な意味でエコになりました。

一方、オンライン授業では教員と学生の間、および学生同士のリアルな交流がほぼ無くなったため、心身のバランスを崩す学生も出ました。

江戸川大学現代社会学科は学外の現場で学ぶ「フィールドワーク」を重視し、卒業論文でフィールドワークの成果を盛り込むことが推奨していますが、コロナ禍による外出自粛により大幅に制限されてしまいました。

それでも、2021年12月にゼミの希望者を対象に、利根運河でフィールドワークを行いました。利根運河は利根川と江戸川をつなぐ短絡ルートとして1890年に完成しました。最盛期には4万隻近い数の船が通りましたが、鉄道の開業により徐々に衰退。1941年に運河としての役割を終えました。その後は国管理となり、利水や治水を担いましたが、北千葉導水路の完成によりそれらの役割も終え、現在は豊かな自然環境をもつ憩いの場所として親しまれています。

参加学生には上記の歴史を理解してもらい、貴重な地域資源である利根運河を後世に残す方法とともに、利活用のあり方について考察してもらうプログラムとしました。

このように、私が勉強する観光やまちづくりは、実際の現場の視察がとても大切です。百聞は一見に如かずで、実際に見て考えることが、観光やまちづくりの深い理解につながります。

江戸川大学に移籍してよかった点は、観光やまちづくりに関心を持つ学生に授業ができることです。私の担当科目は演習科目以外は、すべて選択科目(「都市デザイン論」のみ選択必修科目)ですので、無理に単位の付与へ導く指導が不要であり、大幅に負担が軽減されました。

基本的には、自分の興味関心の深い分野の科目だけを担当すればよくなったことが、移籍の一番のメリットだと思います。

また、自分の興味関心のある分野の研究に専念することができるようになり、業務のために関心のないテーマを研究する必要がなくなったことも大変有り難いことでした。

2020年度はコロナ対応と新規科目の準備に忙殺されて、自分の研究はほぼ手つかずに終わりましたが、2021年度は少しだけ余裕ができたことから、文部科学省科学研究費補助金基盤研究(C)の応募書類の作成に時間を割くことができました。科研費調書の書き方のノウハウは、改めて別項でご紹介いたします。

2022年度は江戸川大学に着任し3年目の年度です。今年度から新たに「コミュニティデザイン論」を担当することになりました。まちづくりに限らず、ネット空間や恋愛・結婚コミュニティの話題も取り上げていきます。

話は前後しますが、2021年度からは明治大学経営学部で「公共交通と地域社会」の担当を始めました。商学部に籍を置いて、経営学部に出講する形です。商学部の学生が他学部履修の形で受講する事例も出てきました。

江戸川大学では3年目にして、ようやく少しずつ大学の雰囲気にも慣れ、授業スタイルもほぼ固まりつつあります。今後は科研費プロジェクトをはじめとして、自分の研究をより一層進められそうです。また、学外でも新たなつながりもできました。

2022年度は、これまで以上に研究をがんばりたいと思います。

(続く)

著者についてはこちらへプロフィール:https://note.com/leoliner/n/nf8605238dfee

研究者情報:https://researchmap.jp/leoliner

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