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第1章 私のキャリア遍歴(1)−非高校から大学・大学院へ(2)公募制推薦で和光大学へ

推薦入試で和光大学への入学を果たし、より深く簿記の学習を進めようと張り切っていました。

1年生では、高校までの担任に相当する「コア・クラス・ティーチャー」の下、1年次の「プロゼミナール」で経営学の初歩を、2年次の「外国経営書講読」で外国文献の読み方の手解きを受けました。

1年次の「プロゼミナール」では『新版 ベーシック日本経済入門』(日本経済新聞、1993年)を輪読し、2年次の「外国経営書講読」では『ビジネスウィークを読む』(生産性本部、1994年)を基に和訳を割り当てられました。

英語の授業では、オスカー・ワイルド『幸福な王子』の原書の和訳を学習しました。

また、一般教養科目では、生物学、政治学、心理学、歴史学、および俳句などの授業を履修し、教養の幅を広げることができました。

経営学や会計学の専門科目の勉強はもちろん大切ですが、専門科目を理解する上で、一般教養科目の知識が大いに役立ちます。大学生のうちは、こうした一般教養科目も積極的に学習したいものです。筆者も大学生に戻れるならば、一般教養科目をさらに多く履修したいと思うくらいです。

専門科目の勉強では、高等課程の時に達成することができなかった日本商工会議所簿記検定1級に2年次の11月に合格することができました。簿記1級合格が、後に資格スクールなどの講師業に就くのに役立ちました。

3年次からは、専門の「ゼミナール」に所属し、会計学および周辺領域を理論的に学習しました。2年次の「会計学原理」では、黒澤清『近代会計学入門』(中央経済社、1984年)を学習し、会計学理論の基本は学んでいましたが、ゼミではさらに会計学に対する理解を深めました。教材は日本経済新聞の「やさしい経済的」の切り抜きや、新聞紙記事、その時々に先生が配布した教材のコピーなど様々でした。

しかし実を言うと、大学生の時は奨学金を除く学費や通学定期代を賄うため、アルバイトをせざるを得ず、また朝が弱かったせいもあって、3年次終了時の取得単位数がかなり少ない状況でした。そのため、4年次では思い切ってアルバイトをほぼ辞めて、大学に朝から夕方まで毎日フルに通学し、卒業に必要な単位数を満たすことができました。

また、3年次に、進路を大学院進学に定めて、大学院入試に必要な専門英語の和訳と、専門科目の勉強に力を入れました。1年次から経営学や会計学の専門書をできるだけ多く読むことを心掛けていたため、専門科目の対策は自然とできていました。

しかし、英語が苦手であったため、NHKラジオ英会話やリンガフォンの英語教材「CAN」、さらには市販の英語音声教材などで基礎を再確認するとともに、『JAPAN TIMES』を購読して和訳したりしました。

4年次には、東京大学大学院経済学研究科修士課程、一橋大学大学院商学研究科修士課程、そして横浜国立大学大学院経営学研究科修士課程をそれぞれ受験し、横浜国立大学大学院から合格通知を受け取りました。和光大学から横浜国立大学大学院に進学した先輩が何人かいて、すでに進学実績が出来ていたことも幸いしたと思います。

有名大学に入学すれば、中央官庁や大手企業、あるいは大学院への進学にも有利であることは間違いありません。しかし、無名大学であっても、有名大学の大学院へ進学が可能であるなど、努力次第で道は開けると思います。

たとえば、和光大学卒業生の中で、最も成果を上げたお一人に名古屋大学名誉教授の阿部泰郎さんがいます。阿部さんは1976年に和光大学人文学部を卒業後、大谷大学大学院文学研究科へ進み、1981年に博士課程満期退学。1987年大阪大学文学部助手、1990年大手前女子大学文学部助教授、1994年名古屋大学文学部助教授を経て、1998年に教授に昇進しました。2019年に定年退職し、現在は龍谷大学教授を務めています。また、文部科学省科学研究費補助金に何度も採択されています。

私のキャリアの話から少し脱線してしまいましたが、努力次第で道は開けるということをお話ししたくて、これら2つの事例をご紹介しました。

私の場合は一般企業への就職は考えず、大学院進学に絞り、英語と専門科目の勉強に励みました。その過程では、斎藤静樹『企業会計―利益の測定と開示』(東京大学出版会、1988年)といった難易度の高い本にも挑戦しました。また、マックス・ヴェーバー著・大塚久雄訳『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(岩波書店、1989年)などの社会科学の古典にも目を通しました。

こうした取り組みが、横浜国立大学大学院からの合格通知につながったのです。

(続く)

著者プロフィールはこちらへ:https://note.com/leoliner/n/nf8605238dfee

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