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2022年12月の記事一覧
おばあちゃんへの手紙15-3
「おばあちゃんご苦労様、
これからのことは私たちに任せてください。
だからゆっくり休んで体を治して…。」
にっこり笑って、
佳乃は高らかに、そう宣言した。
あまりにも凛として
迷いのないその澄んだ声音に、
一同当意即妙に答える言葉もなく、
お互いに視線を泳がせていると、
佳乃は身じろぎもせず、語を継いだ。
「私、ずっとおばあちゃんを見てたの。
どうしてこんなに静かなんだろうって。
ただ
おばあちゃんへの手紙 16-1
その後も順調に歩を進め、
七十七番札所道隆寺を訪れたところで、
子供たちと修練している、
少林寺拳法の総本山を
見学しに行こうということになった。
開祖、宗道臣が
戦争で体験した辛い経験を踏まえ、
「力の伴わない愛は無力、愛の伴わない力は暴力」
「人づくりによる国づくり」の理念をもとに、
しっかりとした力と愛を持った若者を、
敗戦から復興していく日本を
導くリーダーとして育てよう、
ひいて
おばあちゃんへの手紙 16-2
そう言いかけると、
こちらを振り向いていた職員の方々が
全員立ち上がり、
私たち家族に合掌し、
「おかえりなさい」と微笑みかけてくれた。
少林寺拳法では、
拳士が本山に行くのではなく、
帰る“帰山”と表現する。
故に本山にいる者は、
訪れた拳士に対して、“おかえりなさい”と迎える。
知ってはいたが、
いざ現実に経験すると、とても不思議な感じで、
それでいて何か温かいものに包まれるような、
おばあちゃんへの手紙 最終章
最終日、ついに最後のお寺である。
八十八番札所、大窪寺を迎えた。
4年がかりとはいえ、
本当に88もの寺院を
小さな子供たちを連れて
家族で周りきれるなんて、
正直思ってもみなかった。
目標は結願としても、
やれるところまでやってタイムアップでも、
仕方ない。
それで良き思い出になるだろう。
そんな軽い気持ちで始めた。
それよりも大切なことは、
おばあちゃんの夢から始まったこの流れを