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お年玉エレジー

12月も後半コンビニのATMでお金を下ろしていました。
「ATMをよく使う人ほどお金が貯まらない」という恐ろしい説を聞いたことがありますが、このキャッシュレス時代でも現金が必要な場面はあるので仕方ありません。
引っ越してきたこの地では、最寄りの銀行は車で10分程先になってしまうのでコンビニATMの使用頻度は高いのです。

「最寄り」を辞書で引くと

 すぐ近く。てぢか。付近。

とあります。

と、なるとどうやら私に「最寄りの銀行」などないようです。

するするとATMから出てきたお札の幾つかは所謂「ピン札」で、私ののんびりした頭に急にある事実が突きつけられます。

「年末!お年玉の用意をしなければ!」

◇◇◇

私の親戚は要であった祖父母が亡くなってからお正月に集まることがめっきり減って、身近に子どもも居ないことから私は貰うだけ貰った幼少期を経て、あげる側のお年玉文化からは遠ざかっていました。

ところが結婚すると夫側の親戚の多いこと。
夫の父母はそれぞれ8人兄妹とかでその子ども、孫、はとことかその子どもとか何とか…いまだに全容は掴めませんがお年玉ストライクゾーンの歳の子がわんさかいるのです。
(エンカウントしたら渡す、方式でやっているので毎年出ていく金額が違います。)

そういうわけで私は世間の大人の平均より恐らく大分遅れてお年玉渡しのデビューを果たしました。

私も夫も「とは、言っても中身が入ってたらいいでしょ」と考えてるのでお札の形状にこだわりはなかったのですが、他の皆さんのお札がピンとしてるなか、使い込まれたお札を渡すのは少々気後れしてしまい一端の大人としてピン札を用意することは私の精神衛生上も大事なことだ、と思うに至り毎年ギリギリに思い出しては銀行で用意してきました。

さて、思い出したのならば今年もピン札を集めなければいけません。
遠くなった銀行に車で10分かけて行く、と言うのは はっきり言って無理です。何故なら引っ越してきたアパートの駐車場が激狭で私の運転能力では隣の車に傷をつけずに出庫する確率は極めて低いと言わざるおえないのです。
ピン札の為に隣近所に迷惑はかけられません。
じゃあ自転車で、となると3歳児0歳児と共にこの寒空の元、爆走することなど出来るのだろうか。いや出来ない(反語)。
歩きは論外。Google先生によると40分はかかるとでております。

残る手段はそう、コンビニATM。
引き出し時に混ざり出てくるピン札を集めるしかない!
コンビニは歩いて5分なので制御不能の3歳児と10kg近い0歳児を抱っこひもで抱えても通える距離です。

出でくるものが全部が全部ピン札ではないにしろ、この時期のATMの札はピン札率がなぜか高い。私のような者への業者さんの配慮でしょうか。
手数料はもう仕方ない。銀行へ行く手間賃としてくれてやる!という気持ちでやってやりました。
お金が貯まらないはずですね。
例の説が身に染みます。

そうして、平日は仕事で忙しい夫の代わりにちまちま集めたピン札でお正月を迎えました。

一律の金額をポチ袋に入れ、頃合いを見て差し出す。
を繰り返す。

どうぞ、有意義に使って下さい。
プリンセスとかプリキュアとか何らかのゲームとか。

これ
今はまだみんな小学生とかですが、高校生、大学生とかになるとどうなるんでしょうか。
…まさか…お年玉破産…
人の子どもとゴーヤは育ちが早い、と言うので親同士の協定など何らかの対応策を早々に打たなければいけない気がします。

先人達はどうやってこの問題を乗り越えてきたのでしょうか。
今年もあらかた配り終えた今、どうしたものかと割りと真剣に考えているところです。

が、2月が始まる頃にはすっかり忘れていることでしょう。
そんなものです。



気に掛けてもらって、ありがとうございます。 たぶん、面白そうな本か美味しいお酒になります。