彼氏から「話がある」と言われたら何を考えるか
Tから真面目な顔で「話がある」と言われた。
一瞬でいろんなことを考えた。
まず最初に頭に浮かんだのは転勤だ。
今は転勤しないというTの希望を会社が聞いてくれているが、会社にいつ何があるかわからないし、サラリーマンだから辞令が出たら行かなければならない。
もし今、転勤の話が出て、それが今後Tにとっていい方向につながるためのものだとしたら、断るのは難しいし断らないでほしい。
どれだけ仕事を頑張ってきたのか、俺がずっとそばで見てきた。
何年だろう。
どこだろう。
できれば新幹線で日帰りでも会いに行ける距離であってほしい。
週末、月に1回はTが帰ってきて、俺も月イチで会いに行けば、月に2回は会える。
何とかなるだろうか。
頑張るしかない。
今までも数ヶ月の長期出張を何度か経験してきたし、Tが頑張れるようにサポートしよう。
…ここまでたぶん2〜3秒。
次に浮かんだのはカミングアウトのこと。
俺の家族へのカムアは、夏に実家に帰ったところで止まっている。
その後どうなったのか、今後どうするつもりなのか、Tに聞かれたことはないけれど気になっているはずだ。
自分も何も考えていないわけじゃないけど…
その話だろうか。
これでたぶん2秒。
そして最後に、「他に何があるだろうか」というフリーズ。
たぶん、ここまででトータル7秒(推定)。
Tが慌てて「何考えてる?たぶん違う話だよ」と言う声で我に返った。
実際、Tからの話は、自分の頭に浮かんだものとは違うことだった。
でも、真面目な顔で「話がある」と言われて、秒で自分の頭に浮かんできたことから改めて気づいたことがある。
遠距離になったら無理かもしれないと思ったこともあるけど、もし本当にそうなったら、続けられる方法を探してこのまま付き合っていくことしか考えられないこと。
そして、俺のカミングアウトのことをTが気にしているであろうことが気になっていること。
そのことをTに少し申し訳なく思っていること。
なんとかしたいと自分の潜在意識の中でずっと思い悩んでいること。
この2点が自分にとっての現状の不安材料なのだと、予想もしなかったところで気持ちがハッキリと浮かび上がった。
とにかく、疲れた7秒だった。