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赤ちゃんがけしからん話

最近、私の周りが出産ラッシュで、インスタのストーリーではかなりの確率で赤子が出てきます。ストーリーにはアルゴリズムが働いているのか?赤子縛りで悶絶級の写真や動画が流れてくるので、仕事の手を止められて困っています。

あー!あの少し空いた口の匂いを嗅ぎたい!

はぁぁぁその豊満なお腹に顔をうずめさせて!

そのこぶし・・・一口でいただきたい・・・!

と、いかがわしい妄想を勝手に楽しんで(母たちごめん)、写真1枚1枚に一々DM送りたくなるのを必死に我慢して、鼻息を鎮めて仕事に戻る次第です。

すっかり大きくなったわが子たちをまじまじと眺め、ガリンチョ小学生のお腹を「ちょっと触らせて」と触ってみるも、コレジャナイと憤り。

実に、赤ちゃんが、けしからん。

私の上の子どもが赤ちゃんの時、育休中の職場に事務的な用事があり、子どもを連れて行ったことがあります。用事があるのは事務室だけだったので、そのまま帰ろうとすると、女性の先生が後ろから追ってきました。「よかった!間に合った!」

見たことのない先生でした。

私より少し年上かな?きっと、私の育休中に転勤して来られたんでしょう。でも何の用事だろう?と不思議に思っていると

「あ、あの、ごめんなさい。あの、赤ちゃん、だっこさせてもらえませんか?」

すごく、びっくりしました。初対面の方が、走ってわが子を抱っこするために追いかけてきた。赤ちゃん、好きなんやろな。かわいい人。と思って

「はい!ぜひお願いします!」と抱っこしていただきました。

今なら、その気持ちが切実にわかります。私でも同じことするかも。



当時の私はというと、毎日泣いていました。初めての育児で、赤ちゃんを「かわいい」と思う間もなく、一日すごく忙しいのに、家の中は散らかる一方で、化粧もせず誰とも会わず、とにかくずっとおっぱいをあげている。

髪の毛は抜け、体型は崩れ、寝不足で肌は荒れ、怒りっぽくなり、落ち込みやすくなり、泣き止まない赤ちゃんに手を上げそうになることも何度もありました。

それまでの人生で、自分が計画したことは、大抵要領よくこなしてきたのです。頭の中で段取りしたことは、その通りに進んだのです。赤ちゃんは、私には重荷でした。ノウハウが、私の中にちっとも蓄積されないのです。

みんなはどうしてるんだろう?と赤子を左手に、右手でスマホを持ってインスタを見に行きます。

あれ・・・?みんな、キラキラしてる・・・

今、思うのです。仕事中に友人たちの赤ちゃんの写真を見て、当時の私、ただ肌を寄せていればよかったのだと。すべてを放り出して、散らかった家の中で、赤ちゃんとごろんと横になって、いちゃいちゃしてればよかったんだ。スマホに聞くんじゃなくて、赤ちゃんに教えてもらえばよかったんだと。内なる私の母性に聞けばよかったんだと。

10年も前の記憶の中から、私も自分の赤ちゃんの口の匂いを嗅ぎにいったこと、お腹に顔をうずめたこと、こぶしを思わず口に入れたことを、なんとか引っ張り出します。私だって、赤ちゃんのこと、かわいいって、思ってたはず。つらかっただけじゃないはず。

私には夢があります。赤ちゃんをもつお母さんたちがラクになれるサービスを栄養で作ることです。睡眠不足は低血糖を加速させます。メディアの影響で、産後早すぎるダイエットをして、メンタルの不調を招きます。赤ちゃんは栄養不足のおっぱいを飲みます。妊娠中に上昇する体内の銅は、相対的に亜鉛を不足させ、そのことによってイライラしたり怒りっぽくなり、産後鬱になります。亜鉛不足により、髪の毛も抜けます。栄養不足のお母さんに育てられた赤ちゃんは、35年後の副腎疲労の伏線をここで手に入れることになります。

全部、私です。でも、私だけじゃないはずです。内なる母性と赤ちゃんの肌が教えてくれることがあるって、気が付いていないお母さんたち。そして、栄養不足のお母さんたち、たくさんいるんじゃないかな。

赤ちゃんをもつお母さんたちが、10年後に今を振り返ったとき、ただ幸せな思い出で満ち足りた気持ちになってほしい。母乳を吸われたときの、のどの奥がきゅんとするような感覚を思い出して温かい気持ちになってほしい。

SNS上のけしからん赤ちゃんたちが、私を揺さぶります。

今から10年前…今から10年後…

さて、仕事でもしよっかな。

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