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舞台 ガールズトーク☆アパートメント2020 感想

笑った。いやあ、楽しい。どうしてピコピコハンマーで激しく叩くだけで笑ってしまうんだろう。テレビだったら笑ってない。舞台の魅力。
配信ならどうだろう。配信も買ったから、あとで見てみよう。

UDA☆MAP。初めて観たのは「沼田☆フォーエバー」。その後も観てきたけど、最初の衝撃もあり、なかなかそれを超えるほど笑うことのなかったUDA☆MAP。でも、今回はそれを超えたかもしれない。今の気分は越えてる。それは観たばかりの興奮もあるから。
しかし、とにかく面白かった。

その一方で見せてくれるのは、この一年の経過。
「春」まだコロナウイルスってなに? 夏ごろには終わる?って思われていた時期。
日本人は元々、マスク民族だった。海外から見たら、日本人はみんな病気なのかと言われるくらいにマスク人口が多かった。
その一方で、自分なんかはマスクはしなかった。頭が痛くなるのもあったけど、ほぼノーマスク。コロナウイルスが始まった時も、最初の緊急事態宣言が出るまでは、ほぼノーマスク。観劇の時くらい。
そして、マスクをしている人の中には、マスクをバリアとして使っている人たちもいた。ひげを剃らないですむと言った新入社員もいた。そんなのも好きじゃなかった。
でも、マスクが一つの壁になる。その事に大しては、少し哀しく、でも気持ちが全くわからないわけではなかった。
そして今回、その事も描いてくれていた。マスクをすることで自分をガードしていたけど、それが当たり前の世界になった。そしてその光景は少し異様で、おそらく、数十年経って今の映像を見た時、何も知らない人たちは奇妙に、そして怖く感じるかもしれない。
「いい時代になったね」
そんなセリフがあった。マスクをして自分を守っていた人には、確かに望んでいた世界かもしれない。マスクをとれ、とも言われない。
でも、この奇妙な世界を見た時、冷静に、というか冷めた目で見たら、怖くなってマスクを外したくなってもおかしくない。そういう人もいたかもしれない。それで外すように描いても良かったのかもしれない。
でも、違った。
人の優しさがマスクの壁を崩す。そんな風に描かれた世界は、この奇妙で怖い世界の救いのように感じた。

ちなみに今自分は、ほぼマスクをしている。勤務先の社長とかがマスクを外していると、逆に怒りたくなるくらい。抗ウイルス素材のマスクを買ってみたり、新作が出ると買ってみたりと、今では完全に順応して、たぶん、マスクを外してもよくなっても、冬はしているし、できることならマスク生活を続けたい。
その理由はなんだろう。もしかしたら、マスクが作る壁を快適に思っている自分がいるのかもしれない。もしそうなら、自分も外せる日が来るのだろうか。自分には、外すことを助けてくれる友人がいるだろうか。
そんな風に考えてしまった。

「夏」医療の逼迫から医療従事者へ感謝しようという流れが起き始めていたころ。
この「夏」。今回、。とにかく嬉しかった稲葉麻由子さんの「主演」。稲葉麻由子さんを追いかけてちょうど4年。とうとう来た「主演」。
紙風☆スクレイパーの時、正直、感想に困るくらい、普通の役だった。というか、色々な役をこなしてきた麻由さんなので、多少の難はあっても、無難だなと思ってた。
いや、もうはっきり言うと、物足りなかった。
麻由さんは、もっともっとキャラの立った役でも全然大丈夫。おとなしすぎるぞって思ったくらい。そしてKAIROを経て、新宿アタッカーズでの「顔」。いよいよ、これは、真骨頂が発揮される日が近づいてきたと思ってたら、今回の役。
麻由さんはキレイでおとなしい役が似合いそうに見える。髪の長い時は、特にキレイな役が似合っていた。でも、実際は、ガンガンとセリフを発する様な役が合ってる。
出ている作品は応援し始めてから全部見ているけど、とにかくセリフを噛んだり、聞き取りにくいことがない。どれだけ速いテンポで進んでも、はっきりと聴こえる。今回もそうだった。
これはやっぱりすごい。セリフが多くなれば、こちらの耳に入ってくる量も多くなり、聞き逃すこともあるんだけど、まず喋り手の段階でそれが聞きやすいから、すーっと入ってくる。
そして動きが加わると、周りを巻き込む、瞬発力と爆発力のある時間が始まる。
その空間は、完全に麻由さんのものとなり、目が離せなくなる。
そうなると、劇中、ずっと見入ってしまうわけだから、終わったら恋にも似たような感情が出て、応援したくなる。いわゆる、一目ぼれという奴に近い。
そして今回、その嵐が、まさに医療従事者の気持ちを表すのに適していた。
休みの時間の過ごし方を忘れるくらいに休みがなく、せっかく休みもまた駆り出されそうになる。最終的に、自分はその仕事が好きだと気が付くわけだけど、そこに医療従事者の方たちの本質がある。
資格もいるし、死に直面することも少なくない。つらい仕事。ちょっとした気持ちでできる仕事じゃない。人手不足なのは、たぶん、そこが一番大きい。覚悟を持った人でないとできない仕事。やむなく辞める人も、仕事は好きなんだけど激務に身体を壊したりなどという理由ではないかと思ってしまう。
そんなバックボーンがあるけれど、コロナによる、例を見ない激務に加え、医療従事者に向けての差別と、相反する感謝。見失いかけていたものに気が付く。
そんな役どころを、「不運」というものからスタートさせて、色々なものを壊していく。
スクラップアンドビルドした時に残った、自分の本当の気持ち。その時に気が付いた時にさわやかな顔。これを活かすために、とことん、悪態をついて嫌な顔を見せていた麻由さん。
やはり静と動の落差を表現させた時、本当の魅力が出る。どちらか一つだけでは、彼女の良さは伝わらない。
・・・次は吊られる? 楽しみ。

「秋」GW・お盆休みと帰省も出来ずに人と会う事が恋しくなった頃。婚活の話から、作品タイトルにふさわしい恋バナへ。
鶴田葵さんは、この役似合うなあと思いながらも、女子の世界の盛り上がりが強いのはこの季節かな。夏も盛り上がっていたけど。
しかしこの季節だけ、全くコロナを感じさせない。かつての日常がそこにあるかのように描かれている。濃厚接触禁止なんて、どこ吹く風。自由奔放に動く玲香の話を軸にしながら、類の教授との話がメインになる。
大学も昨年はほぼオンライン授業だったらしいけど、その間にも繋がった心と心。
LINEとか知らないけど、リモートの招待はできるという、コロナがなかったら逆にできなかったかもしれない連絡手段を使うことで、コロナの時代だということを、頭の片隅から離れさせない。
そして何より、最後は研究を手伝いに行くという、リモートを飛び出して、やはり会う事が一番だよと込められたメッセージ。それは面倒なこと。リモートに慣れた今、リモートでいいじゃんといいがちなところもあるけれど、そうじゃないよと言ってくれる。人と人とのぬくもりがそこにはあった。

「冬」一年の総括をし、きっと苦しんだ人も多かったはず。
コロナでテレワークを推進された。出社することが正しい、評価される時代から、リモートでも仕事ができる時代に変わった。そしてこの変化は、権力でごまかしていた偉い人たちの実力のなさを露呈した。それを隠そうと必死な人たちもいた。
結果、格差が生まれた。
コロナにより評価をあげたものもいれば、その逆もいる。そして自分の会社自体の力のなさに気が付いた人たちもいる。
早希はまさに、コロナで自分の人生設計が崩れた一人だった。期待されてビジネス留学したものの、戻ってこれなくなり、会社は苦境に立たされて椅子がなくなった。
玉ねぎを向く毎日に嫌気がさし、これは自分の仕事じゃないと悔しがっている。
それを、「コロナのせいにしちゃえ」という周囲。早希もそれに同調しかけた。
逃げ道を作る。他人のせいにする。そうすることで、自分の心を救おうとした。正直、それで話がまとまるのかと思った。実際、その言葉で救われた人も多いはずだから。
でも違った。旧やえがしの「コロナのせいにするな」の一言。
これはグッと心に刺さる。
なぜなら、早希は自分のプライドの高さゆえに暴れているだけだったから。
玉ねぎを向く仕事の何が悪い。その仕事をやっている人もいるんだ。それを「私の仕事じゃない」ということは、そんなことはもっと、底辺の人間がやっていろというのと同じ。
でも、その仕事がある以上、それは必要なわけで、人によっては、この仕事を経験できたことを喜ぶ人もいる。コロナでなかったから、経験できていなかったかもしれない。
経験してみることで、見えないことが見える。もしかしたら、本当に無駄な仕事なのかもしれない。そう思ったら、それを改善するように動くのが、本当にできる人間だと思う。
早希はそのことに気が付いていなかった。
どんな仕事でも、どんな環境でも、それをどう活かすかは自分次第。旧やえがしさんの言葉で、それに気が付いたのではないかと思う。
この後の早希の活躍が楽しみ。

演じていた持田千来さんは、数年前にヨルハなど複数の作品で、カッコいい役のイメージ。武器も良く似合っていた。それが今年になり、少し内気な大学生や、昆虫博士の役などを観てきて、少しイメージが変わっていたところに、今回の役。
可愛い少年から、キレイなお姉さんまで、本当に幅広い。
UDA☆MAP初登場とのことだったけど意外。また観たい。

そして最後に、新やえがしの本当になりたかった職業の部分は、本当に予想外の展開で、そうなるとは思わなかった。そうなると、全てが伏線だったわけで、まさにやられたという感じ。

しかし、この作品、観ているときは本当に笑って、コロナの事なんか忘れるのに、中で描かれるコロナのこと。観終わった後、ふと考えると、この一年を振り返ってしまう。
そして、シェアハウスっていいなと思う。
最初、シェアハウスでマスクを外すというところで、家族じゃない、家族だというようなこともあったけど、結局、そんなことは関係なく、そこにあるのは絆。それがあるかないか。
少なくとも、このシェアハウスの住民は、誰かに何かあったら、知らん顔するのではなく、皆で笑って泣いてということができる関係性。その関係性は、現実に長い間暮らしていて出来上がるもの。それを、縁者さんたちは全員でその関係性を作り出し、全く違和感のないものに完成させていた。それが一番素晴らしく、感動した。
だから、観劇したその夜、夢の中まで出てきてしまった。自分の中に、あんな関係性の友人がいたらと、うらやましかったのかもしれない。


しかし、UDA☆MAPでの宇田川さんはホントに可愛い。沼田☆フォーエバーでもオーバーオールだった気がするけど、またよく似合う。
実は、最初に見てからしばらくは怖いイメージがあった。最初に見たのが「TRASH!!」だったからかな。でも、これらの作品を観てイメージが変わり、ゴブリン串田さんの「ぼくはつ」の時は、チェキも一緒に撮ってもらった。またああいう機会が合ったら、一緒に撮りたいと思うくらい、今はイメージが違う。
怖いというと少し違う。カッコいいと言いたい。

そして今回嬉しかったのは、近石日奈さんも演技を見られたこと。昨年、スリーキングダムに出演されていたけど、裏方として動いているときに姿を拝見して、そこからずっと演技も観たいと思っていた。今回、それがかなったのが嬉しい。次回のUDA☆MAPにも出演されるとのこと。観に行く予定なので、また楽しみ。ちょっと癖のある役とか見てみたい。

他の出演者の方々も、大体名前と顔は一致していて、色々とグッズ購入も悩んだ。次の舞台では、たくさんの人のグッズを買ってしまいそうだ。
ポスターは買えなかった。。。。さっき、ラス一出たと言われ、残念。カーテンコールでポスターの事も言ってたから、もうないんだよーって心の中で呟いてました。それくらい欲しかった・・・。

最後に。稲葉麻由子さんが「夏」の主役というのは嬉しかった。彼女のイメージは向日葵。
だから、夏が本当にあってる。それを意識して、ということではないと思うけど、この選択は嬉しかった。本当に夏だったら、向日葵の花を贈っていた。

しかし、水着姿になるかと少し期待してしまった。なんせ、過去には下着姿まで披露していたから。眉毛がない役もあった。正直、何が飛び出しても驚かない。いや、驚くし衝撃は受けるけど、「さすがだな」と感心してしまう。

配信も購入したし、これでもう少し楽しんで、後はDVDの到着を待とう。
ガールズトーク☆アパートメント。ガールズ☆アパートメントじゃなくて良かったなあ。「トーク」大切な要素でした。
また次回に期待です。

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