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童話革命2023(A班) 感想

童話には色々な説があることを大人になってから知り、色々と興味を持ち始めた。そしてそんな色々な説を題材にした作品は観てきたが、一つの作品ではなく、童話オールスターズと言えるようなメンツが揃い、自らの理想を語るという斬新なストーリー。
ライバルは妖怪というのも分かりやすい。
妖怪も作られた設定があり、同じ様な葛藤があると言えるが、童話同様、広くアレンジされて世に出回っている。

この話の肝は、童話の主人公たちが時を生きているということ。今、この現代で何が流行り、それを真似してみたいという願望があったり、爆発的なブームは去っていても、普遍的な人気を得るところまで辿り着いたものにも憧れているということ。ずっと、世の中を見てきたと言える。
そして本編の主役である撫子は、そんな童話の主役たちに憧れている。そんな子供の頃の気持ちを押し殺し、まずは売れるものを書かなければいけないという現実。売れないと自分の好きなものも書けないという現実に心を潰されそうになりながら、童話の主役たちへの憧れも薄くなってしまっている。

これはクリエーターの夢を持った人はぶつかる問題だと思う。自費出版や、採算度外視のボランティアなら、自分の好きな事もいくらでも出来る。でも、出版に関わる人たちを考えるとビジネスと切り離すことはできない。子供の頃は、そんなことなど考えないから夢をただ追いかける。撫子もそんな純粋な子供だった。そう思える。それがそうも行かない壁にぶつかった時、目の前に現れた童話の主役たち。
書きたいものとは違うと思っていたかもしれない。それでも「童話」という括りで自らを納得させているように見えたのが苦しい。ここから、多くの人が現実に潰され、夢を諦める。撫子はそうならないで良かった。

登場する童話の主人公たちは、皆、有名どころ。桃太郎・かぐや姫・あかずきん・浦島太郎は演劇に関わらず、色々な媒体で題材にされている。金太郎もメインではないが、登場キャラクターのモチーフとして観たことがある。ただ、一寸法師はほぼ観たことがない。童話の中での姿しか知らない。それをどういうキャラに仕上げるのか、それが自分の一寸法師のイメージと合致するか。それこそ、童話でのイメージしかないと、そこと大きく異なってしまうとなかなか受け入れがたくなるかもしれない。そんなことも頭をよぎった。

その一寸法師を演じていたのは、七凪こなさんだった。どこかの舞台で拝見したような気もする・・・と思っていたが、終演後に名前を見て初見だと思った。
一寸法師は、勇ましいところもあるが、小さいがゆえに可愛がられるキャラでもある。金太郎のような、ガタイのいい感じではない。スマートに縫い針を使い、キザという感じではないが可愛がられるイメージ。
七凪さんは、そのイメージと合う演技で一寸法師を作り上げていた。セリフをいう時は元気で、でも一つ一つのアクションは大きい。そして何より、細かいところの仕草。特に、撫子が自分の書きたいものに気が付き、みんなを集めて、それぞれの童話の魅力を話すシーン。
ここでの一寸法師。ちょこんと座り、撫子の事をじっと見て、時にうなずく。劇場・ツイキャス・ZAIKOと3公演分観たが、どれも少し違っているように見えた。劇場で観た回は、一寸法師の教訓を言われたところで、大きくうなずいた様にみえた。この仕草で、子供のような素直さを持つ一寸法師のキャラクターが自分の中で決定づけられた。前述した細かい部分で感じていた事が、この動作一つでストンと自分の中で落ちた。
七凪こなさんは、これまでもいくつか舞台出演をしているようだが、ちょっと注目していきたい一人になった。終演後は、いきなりだったけどチェキも撮り、少しお話ができた。とてもしっかりとしていて、礼儀正しく、一気にファンになってしまった。これからが楽しみな一人になった。

そしてこの舞台、そもそも観劇に行くことになったのは、永瀬がーな三が出演という事だった。前日は土曜日。その日も、他の舞台の観劇があり、いつもなら家で諸々のことをやる日に充てる。でも、主演ということで、これは行かねばならないと思い、先の事は考えずに観劇へ。
この役の難しさは葛藤。楽しいコメディの中、その部分が浮かび上がってくる。撫子は童話と昔話の違いをよく分かっている。劇中でも触れられているが、それぞれの童話には、カットされた”昔話”がある。だからこそ、それらのエピソードも盛り込んだ童話が話題にもなった。撫子はそれらも知っている。大人への戒めを抜いた童話の意味を知った時、子供の様にまたワクワクしたに違いない。だからこそ、童話にこだわっていたように思える。
小さい頃ワクワクした。それは間違いない。その気持ちを、これからの子供たちにも伝えたい。でもそれだけじゃないものがある。
そんな想いがあるように、永瀬がーなさんの演じる撫子を観て感じた。
がーなさんが演じると、その人そのもののように感じることが多い。だから、再演となった時に、自分の作り上げたその役の人間が壊れてしまいそうで、観る前は怖い時もある。
今回はBチームもあり、そちらは黒木さんで、黒木さんも何度もその演技を観ているし好きな役者さんでもある。まだBチームはは配信でも観ていないが、同じ作品なのに全く違う作品の様に感じるのではないかと思っている。
どんな役にしても、描かれない人生があり、その部分を背負い、それにより生まれる細かな表情や間。それらに違和感が生まれないのががーなさんだと思っている。

今回、スケジュール的に迷ったし、いつもなら行けないところだけど、なんとか調整して観に行って良かった。行かなかったら、きっと後悔していたと思う。もっとも哀しいのは、その後悔すら感じられないくらい関わらないこと。この作品にどんな形でも関わった人は、人口比率からしたら少ない。でも少ない中に入る事が出来て良かったと思う。

さて、配信でBチームを、別の作品として観劇しよう。

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