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詩『顔を上げる』


信号を渡って、視界に入った歩道の脇にある植え込み
名前を知らない草が伸びきっている
貪欲なのか
それが生きたいと求めるよりも
まだ伸びていることに気がついていないのか

よく見ると
小さく淡い青紫色の花
草が伸びる方向に沿わず
重い頭を伸ばすように
空に向かって
花を咲かせる


いまこの瞬間の輝きに息を止める


いずれ花は枯れ、
隣の草とともに同じ方向に伸びるのか
そんな未来は知らぬと言わんばかりに
勢いよく、花は咲く


顔を上げると青い空
大丈夫
そのまま前に進んでみようか