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泣きつづけよう(ポエトリーリーディング)

矢口れんと
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「泣きつづけよう」
(詩集『巡る風花』より)

何事もなく 得ているようで
知らないうちに 失っていく

ジブンという名の 幻想は
手があるように 見えているだけ

得ていくことと 失うことは
ひとつ屋根の下で ともに暮らす

呼吸と心拍とが ひしめいて
胸の居場所を 取り合うように

ーー欠けたもので できている としたら

待っていたのは 立ち止まるとき
望んでいたのは 下を向くとき

目にとまるのは 手のひらのあと
大地についた  たくさんのあと

歩いてきたのは なみだの先だ
なみだの先は  なみだの手前

そうだ 歩み進めることは
きっと 失くした人や記憶と
ともに 泣き続けていくことだ

泣きつづけよう つたうのは夜
泣きつづけよう つなぐのは僕

ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!