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フリーライティング#13 目に優しい

【フリーライティング#13】
 2023/5/27 a.m. 10 min.

自宅前の大通りを挟んだ先に、小さな森がある。なんの変哲もない木の連なりなのだが、不思議と、一日に一回は見惚れてしまうのだ。本当に不思議だ。
緑色のグラデーションや、陽の当たり方、葉と枝のなす凹凸。微妙な色彩感覚と複雑な立体視を強要してくる森。そして一回性と永遠性とを常に備える、森。
無論、空も尊い、海や河も尊いのだが、森ほど目を釘付けにされることはない。彼らはあくまで眺めるもので、見つめるにはある条件が必要な気がするのだ。例えばマジックアワーとか、水面に映る月とか、上流降雨による増水だとか。
森羅万象という語が脳裏を過ぎる。一体いつ頃に生まれた言葉なのだろうか。森の複雑性に宇宙を重ねる感覚は、きっとまだ科学的なことがあまり解明されていない時代に、世界を観測する人々が有していた共感覚なのだろう。
少々脱線して終わろうと思うが、緑はやっぱり目に優しい。

#フリーライティング #日記 #エッセイ

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