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去った鳥は今も

飾り気のない鉢植えに

舞い降りて散った花を見たくて

きっとまた見たかったから

カーテンの前と机の上を

何度も往復させていた あなたは

陽の射す時間

示す砂時計の 落ちきる最期の一粒さえも

惜しむみたいに

よれたシーツと転がったままの わたしは

えらいね とも

ムダだね とも

言えなくて ただ口を開いたら

つい 好きだ と飛び出してしまった

あの日 窓からデネブを目指した

ちいさな ちいさな白い鳥が

翼を振る音が微かに聞こえる

切った風が撫でる 頬の産毛を

よりによって

今が一番幸せね と脳が嘘をついた日

肩越しに見る遠い落日

よりによって

今が一番幸福だ と髄が嘘をついた日

腕を回した細い桟橋で

ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!