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鳶の影【詩】
「鳶の影」
きらめきよ
苅り田と陽は
一体となって浮き立つ
きらめきよ
小都市と陽は
拒み合って輝き散らす
舞い込んだ 鳶の影 ふたつ
悠々と横切る
光の粒がふるえる世界を
何も邪魔せず 何にも邪魔されず
無限の空と いびつな大地とに
付かず離れずの チグハグな線を
遠ざかれば懐かしさを
近づいたら恐ろしさを
影は引き連れて来た
往来でかすめるたびに
落とされた一滴の
墨のような切なさに問う
──ここはどこだ──
うろこ雲が答えて 消えた
舗装路の石は答えて 逃げた
定まらずに飛ぶあの影だけが
場所ではなく「居場所」を教え
まだ 私についてきている
おのずと光の充ちわたる世界で
去る影は傍にある
あれは 鳶ではなかった
◇
◇
#詩 #ポエム #創作
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