マガジンのカバー画像

RIPPLE〔詩〕

132
運営しているクリエイター

2023年7月の記事一覧

限られた壁の向こうに【詩】

限られた壁の向こうに【詩】

光、無量に差すれども

生涯、照らされなかった言葉を

アイビーの蔦這う壁に

でかくでっかく 吹きつけた

路地裏はあまりに狭いものだから

誰の目にも留まらないし

この目にも

 もはや言葉としては 映らなくなった

只管に密度を増してゆく蔦葉らが

 投げてくる言葉は唯ひとつ

  「ここを去れ」と

嘆息との虚しい往来

──かつて

纏わる煤を友愛の証に換えた

煙突掃除夫たちのように

もっとみる