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RIPPLE〔詩〕

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2022年4月の記事一覧

即興詩(2022.04.23)

即興詩(2022.04.23)

 思わせぶりなヴィーナスは

 別に抱いてもくれなかったのに

 「怯えているのね」とだけ残して

 頬も撫でずにこの世を捨てた

 雑踏がなくても信号機は変わる

 青なのに赤 赤なのに青 かよ

 もう 真っ暗闇しか信じない僕は

 「怯えているさ」と横断したさ

 轢かれたら朝 轢かれてもまた
#詩 #ポエム #即興詩

即興詩(2022.04.22)

即興詩(2022.04.22)

 書類の束に死神からの手紙
 引き裂いて眠る春の夕暮れ
 赤のインクが切れかけだから
 生も死も 夢に見ないのよ 悪いけど
 鎌よりも髑髏よりも
 ずっと手の平らしい雲を掴んで
 ハイハイの記憶から 生死を消し去った
 這いつくばるのは ここにいるから
#詩 #ポエム

即興詩(2022.4.11/2022.4.12)

即興詩(2022.4.11/2022.4.12)

即興詩(2022.4.11)

 花の香と狂信者らに
 道をあけられ
 そびえるヒノキの一条は
 闊歩すれども統治せず
 袖に仕舞うのは平凡な愛

 もっとも勇敢で臆病なひとの
 優しさと見紛うくちびるは
 無味な庵であってほしい

 分からないよ なぜ君のことを好きなのか



即興詩(2022.4.12)

 喉が渇いたので靴をください
 五月雨ならば櫂をください

 夢をちぎり絵にした広葉

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即興詩(2022.4.4/2022.4.5)

即興詩(2022.4.4)

 僕ら在りし日に
 Chopinのことを
 チョピン!と笑った

 雨だれに目を覚まされた朝
 ウェブに英雄が現れて
 消えた、革命と懐古の境

 永遠の詩を追っていた
 あの頃のように
 チョピン!チョピン!と
 笑い合いたい



即興詩(2022.4.5)

 ブルースを模倣した
 さして流行りもしなかった
 つたない歌手と
 僕のあいだに
 ドライフラワーの

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