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RIPPLE〔詩〕

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2020年5月の記事一覧

アミュレット【詩】

アミュレット【詩】

  歌は吹かれて湿度と化した

  肥料は砕けたレリーフだった

  蔦の這う古びた家屋で

  分度器と糸車を磨く坑夫と

  共に思い巡らす誰かの祖先のこと

  誰の子孫でもない二人なら

  いっそ未開の海を渡ろう

  対を成さない二つの言葉を

  リースみたいに縒って腕輪に

  風化してもまた

  風化してもなお

  優しかった空の淡い飛跡を

  斜めがけの紐帯にして


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四行詩 25.

四行詩 25.

 悶える鳥の 羽の残渣も 群れの段差も

 雲に刷られて みな飛んでいった

 居残り組は 木版を抱き 午睡につこう

 海に蜂蜜を一滴と 波に手櫛をそっと