1年半待ちの貸し出し
忘れていた。
流行病に倒れていたころ、1通のメールが届いた。
約1年半前に区立図書館で予約した沢木耕太郎の新作「天路の旅人」。
ようやく私にも貸出の順番が回って来たらしい。
2024年の目標の一つに読書を月2冊する!と掲げたような。
毎朝新聞は読んでいるものの、書籍の読書については1月実績0冊だった。
1冊では不足だが、救いの神であることには間違いない。
500ページ超の大作を読もうと、病も完治した1月末に図書館へ赴き受け取った。
面白かった。
一人旅人のはしくれとしては、到底真似できない「密偵」だが、西川一三さんの朴訥さと気持ちのムラがない人間味が尊く、読み進めるたびに強く惹かれてしまった。
400ページを過ぎたあたりから、特に感情移入している自分に気づいた。
中でもこの箇所が印象に残っている。
一方的な施しや憐れみではなく、堂々と対価を得たい。
そんな西川さんの姿勢に共感できた。
そして、自分も異国で「生きる術」を身に付けるためには、一体、何ができるのか。
文章を読みながらも、頭の片隅ではそのことばかり考えていた。
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