見出し画像

届かない手紙(詩集 届かない手紙)

 やさしいひとよ
 遠くから泣いている十一月の使者たちに
 無事 手紙は届けたから
 もう泣かないで
 十一月の星は 一年で一番きれいな光をしているから
 あのひとのことは もう忘れてしまえ
 やさしいひとよ
 
 ずっと待っていました
 待つことは苦しむことではなく
 何かをなくしてしまうために 必要な時間だから
 なぜか 悲しみに心が裂けていく ちりぢりに
 手紙を破り そのことが すべてを破り
 
 やさしいひとよ
 ふたたび便りを託すがいい
 秋の終りのもえぎのように
 使者たちは去った

(以下略)

※ 全文は、「詩集 届かない手紙(有料記事)」に所収

よろしければサポートをお願いします。