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レンズ談義 その4 ハッセル余話:ツァイスの余沢

Hasselblad 500C/M
 スウェーデンが創造したブローニー判の世界的な一眼レフ・カメラ(1970年)
 そのレンズには、テッサーやエクター、プラナー、ゾナーなどの名玉が目白押しである。
 特に、標準レンズの Planar 80mm f2.8、初期の白鏡胴に憧れて、探し求めたが、高価な上に、防湿庫に秘蔵されているのか、店頭にはあまり出て来ない。
 それはともかく、当時は、とりあえず、中判で(傑作)写真が撮りたい、35mmでは(何だか)物足りない、そんな気がして、ブローニーのポジフィルムに嵌って行った。
 最初は、小西六のPearl(6×45判 Hexar 75mm f4.5)から、次いで、RossのEnsign Selfix 820(69判 Ross Xpres 105mm f3.8)、行き着く先は、ハッセル(66判のスクエアー、Distagon 50mm f4、Sonnar 150mm f4、最後にPlanar 80mm f2.8 黒鏡胴)に辿り着く。
 ハッセルは、あの上から目線でありながら、頭が低い、被写体に無用の圧を掛けない撮影術を身に備えている。
 シャッターを切るとき、あのレフ板の跳ね返る風圧を掌に感じると、確かに写真に納めたという実感が沸く。ぼふぁっと包み込むようにして光の軌跡を閉じ込める。

※1 Carl Zeiss Planar 80mm f2.8 T*
 平面性を追求して完成されたダブル・ガウスの名玉、1896年、後年、あの光学史上の分水嶺となるテッサーを生み出したパウル・ルドルフの手に成るもの。
 麗しさ、気品の漂うレンズである。

※2 Distagon 50mm f4
 開放からの切れの良さ、目を見張るコントラスト、歪みのない描写で、他の広角レンズを圧倒するパワーを秘めている。
 レトロフォーカス・タイプ、花を主体に撮っている身には、0.5mまで近づけるのはしみじみ有難い。

※3 Sonnar 150mm f4
 ゾナー、太陽の賜物、Sonnar 50mm f2、f1.5、驚異のレンズ、ベルテレが創り出した光学宇宙の寵児にして孤児、ゾナーの前にゾナー無し、ゾナーの後にゾナー無し。
 その完璧な描写力、力強さ、繊細さ、麗しさ、優しさ、孤高のレンズに隙は見当たらない。

 とりあえず、ハッセル買って、ハッスルしよう!そんな気分のあの頃だった……


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