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マスク着用のデメリット『フォーゲン効果』という仮説について

マスクのデメリットのひとつとして『ウイルスの再吸引』という考え方があります。理論上は正しいと思うものの、論文などでその考え方に触れているものを、これまで私は知りませんでした。

今回、論文中で『フォーゲン効果』という仮説として『再吸引』に言及されたものを見ましたので、重要箇所を引用しながら所見を記したいと思います。

おおもとの論文は以下です。私の記事中では『要旨』と『フォーゲン効果』の箇所のみを抜粋しますので、興味のある方は全文どうぞ。

ちなみに、始めに個人的な所感を書きますと『フォーゲン効果はあるが、論文の根拠としては弱い』です。引用部も長いので、面倒な人はとばしてください。

なお、論文についてはすべてwww.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。(単純な変換ミスについてはこちらで訂正しています。)


◆論文・要旨

アメリカ・カンザス州の統計データを用い、マスク義務の有無における死亡者数の比較から、マスク着用のリスクが高いこと(フォーゲン効果の可能性)を示しています。

要旨

コロナウイルス病(COVID-19)の原因となる重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2の感染率を低下させるために、フェイスマスクの使用を義務付けることを支持する文献が多数存在する。しかし、マスク使用が病気の経過に及ぼす影響については、依然として議論の余地がある。本研究は、2020年8月1日から10月15日の間に米国カンザス州において、マスク着用義務化が症例致死率に影響を及ぼしたかどうかを明らかにすることを目的とした。

本研究では、米国カンザス州に関連する症例更新、マスク義務化、人口動態に関する二次データを適用した。これらのデータに対して、郡レベルのデータに基づく並列化分析を行った。結果は,複数の感度解析と陰性対照を行うことで制御した.

郡レベルのデータに基づく並列化分析の結果、カンザス州では、マスク義務化のある郡は、マスク義務化のない郡に比べて症例致死率が有意に高く、COVID-19関連死亡のリスク比は1.85(95%信頼区間[95%CI]: 1.51-2.10 )となった。保護対象者」、つまりマスク義務化群とマスク非義務化群を比較して感染しなかった人の数を調整しても、リスク比は1.52(95%CI:1.24-1.72)と有意に高いままであった。カンザス州の過剰死亡率を分析した結果、この効果の95%以上はCOVID-19のみに起因すると判断された。

これらの知見は、マスクの使用が使用者を保護する代わりに、使用者に未知の脅威を与える可能性を示唆しており、マスクの義務化は疫学的介入として議論の余地がある。
この原因として,マスクに飛沫として捕集された超凝縮飛沫や純粋ビリオンの深部再吸入が予後を悪化させ,COVID-19感染の長期化につながる可能性があるという「Foegen効果」説を紹介する.フェーゲン効果」は動物モデルのin vivoで証明されているが、その完全な理解にはさらなる研究が必要である。

フォーゲン効果:フェイスマスクが寄与するメカニズム...:医学 [2022.06.06 引用]
https://journals.lww.com/md-journal/Fulltext/2022/02180/The_Foegen_effect__A_mechanism_by_which_facemasks.60.aspx

◆フォーゲン効果(フェーゲン効果)について

説明は以下です。仮説、可能性とされていますが、理論上起きているのは間違いないでしょう。引用部のあとで要約します。

4.1 仮説
マスク着用義務化による死亡率上昇の根拠は,飛沫として侵入・咳き込んだウイルスがフェイスマスク組織に保持され,飛沫を素早く蒸発させた後,超凝縮飛沫や純粋ウイルス(飛沫に含まれないウイルス)が吸気時にごく短距離から再吸気するためであろう[17]。この過程については,文献を調査したところ,これまで記載されていなかったため,「Foegen効果」と呼ぶことにする.

この効果の基本は、フェイスマスクと眼鏡を同時に装着したときに、マスクの上端を眼鏡の下端に引っ張ると簡単に実証される。息を吐くとマスクに水滴が付き、息を吸うと水滴が消えます。

フェーゲン効果」では、ウイルスが(サイズが小さいため)気道の奥深くまで広がり、気管支を迂回して肺胞の奥深くまで吸い込まれ、ウイルス感染にありがちな気管支炎ではなく、肺炎を引き起こすことがある[18]。さらに、これらのウイルスは、in vitroでは通過できない多層扁平上皮壁[19]を通過し、in vivoでも通過できないことがほとんどである。したがって、ウイルスが血管に侵入する唯一の方法は、肺胞を経由することであると考えられる。

さらに、「フェーゲン効果」は、呼吸器から除去されるはずのウイルスが戻ってくるため、全体のウイルス量を増加させる可能性がある。再吸入されたビリオンを含む生体内のウイルス再生産は、マスクによる直線的な飛沫減少に比べて指数関数的である[20]。したがって、フェイスマスクを通過する呼気や咳のビリオンの数は、ある時点でフェイスマスクなしで排出されるビリオンの数を超える可能性がある。さらに、マスク内の過凝縮液滴や純粋なビリオンが呼気中に外部に飛散し、液滴感染ではなくエアロゾル感染となる可能性もある。さらに、これら2つの効果は、ライノウイルス感染症の再流行につながる可能性があります[21]。

飛沫濾過能力の高い「優れた」マスク(例えば、FFP2、FFP3)の使用は、おそらくさらに強い「フェーゲン効果」を引き起こすはずである。なぜなら、外部への排出が減少するのと同様に、再吸入の可能性があるビリオンの数が増えるからである。

もう1つの重要な点は、コビド19に関連した長期的影響と小児の多系統炎症症候群が、すべて「フェーゲン効果」の直接的原因である可能性があるということです。ウイルスは上気道や気管支に限定されることなく肺胞や血液に侵入し、ほとんどの臓器で(自己)免疫反応を起こして障害を引き起こす可能性があります。

フェーゲン効果 "の結果として提案されていることについては、COVID-19の世界的な死者数と長期的影響のうち、どの部分がマスクの普及に起因しているのかという疑問が生じる。

フォーゲン効果:フェイスマスクが寄与するメカニズム...:医学 [2022.06.06 引用]
https://journals.lww.com/md-journal/Fulltext/2022/02180/The_Foegen_effect__A_mechanism_by_which_facemasks.60.aspx

◆フォーゲン効果・要約

感染者はマスク着用により以下のようなデメリットが生じている可能性があります。

1.自らの吐き出した飛沫を、より細かいリスクの高い微粒子として再吸引する可能性がある。(肺胞まで届きやすくなる。)

2.再吸引によりノーマスクの場合と比較し、全体の吸引ウイルス量が増える。

3.吐き出し時、マスク(濾過フィルター)を介すことで、より細かいリスクの高い微粒子として排出される可能性がある。

No.2については結構前から指摘されていたことです。No.3については『ウレタンマスク』で似たようなことが指摘されていました。

今までコロナ前から『風邪気味の場合はマスクを着ける』ということを当たり前のようにやっていたわけですが。少なくとも本人の回復ということを考えると逆効果の可能性があるということですね。


◆論文の気になる点

フォーゲン効果については個人的に納得できるものです。しかし、死者が多いという根拠として、その影響が大きいかというと疑問があります。理由は以下のようなことです。

・『フォーゲン効果』が有意に働くほど性能の良いマスクを正しく着用できていたとは思えない。

不織布でもフックやパッドを使わないと隙間がガバガバなので、おそらく5割以上の人はフェイスガード程度の効果しか出ていない。特に対象の期間が比較的コロナ初期であることから尚更。

・病院での治療方法の差が考慮されているか不明である。

地域でマスク義務の有無が異なるほどコロナ対策に差があったとしたら、病院でのコロナ治療方法にも差があったかもしれない。
憶測だが『マスク義務なし』の地域では、医者の裁量で効果の高い治療が行われていた可能性がある。

・PCR陽性が確定し、施設隔離、または、入院した段階からすべての対象はマスク着用が義務付けられていたかもしれない。(というか、そう考えるのが自然)

その場合、『フォーゲン効果』の影響がどの段階から生じていたものなのか整理し、考慮する必要がある。


◆おわりに

個人的に『フォーゲン効果』は間違いないと思っているので、リスクの定量化を期待したいです。特に、飛沫からウイルス単体に近い大きさに分離した際に、どの程度の期間感染力を持つのか(飛沫の大きさと環境の影響)というのはかなり重要かと思います。

『理論的に起こり得る』=『リスクが上回る』と確定したわけではないですが、結果によっては『周りのためにマスクを着ける』という理屈も破綻するので評価を進めて欲しいですね。

◇◇◇

マスクについては国により義務化されたりしてるわりに、その根拠についてたいした情報がありません。マスクオタクとしては大いに不満です。

2年も経ってまだ曖昧というのは信じられないです。むしろ意図的に曖昧なままにして対立の種にしているのではないかと思えるほどです。

困ったものですね。本当に。


[2024.03.13 追記]
なぜか最近この記事が読まれているようなので、再考した記事のリンクを載せておきます。両面から考えたい人はどうぞ。


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