見出し画像

【鼻うがい】ウイルスは濃い塩水に弱い?ATP消費による複製阻害効果について。

鼻うがいについてはこれまでの記事で何回かオススメしてきました。
しかし、新型コロナウイルスに対する効果の原理について詳細な説明は出来ていませんでした。

最近、原理について説明されたものを見つけましたので、今回の記事でご紹介したいと思います。


◆生理食塩水がSARS-CoV-2の複製を抑制する仕組みが判明

Medical Xpress というサイトの記事を以下に引用します。
長いので興味の無いかたは読み飛ばしてください。
なお、記事は2021/9/24のものです。
(『略』や強調表示、改行等は私が手を加えています。)

生理食塩水がSARS-CoV-2の複製を抑制する仕組みが判明
Maria Fernanda Ziegler, FAPESP 著

サンパウロ大学の研究者が行った感染肺細胞を用いた実験では、1.1%の塩化ナトリウムの高張溶液を使用することにより、ウイルスの複製が88%減少しました。臨床試験で有効性が確認されれば、この戦略はCOVID-19の新しい予防的介入や治療法の開発に貢献する可能性がある。出典:研究者資料室

(略)

適切な濃度
さまざまな濃度の製品を比較した結果、1.5%のNaCl溶液がVero細胞においてウイルスの複製を完全に阻害することがわかった。また、ヒトの肺上皮細胞では、1.1%の溶液で88%の抑制が得られた。Vero細胞は、アフリカミドリザルから抽出した腎臓上皮細胞由来で、SARS-CoV-2の研究モデルとして広く用いられている。
高張食塩液は、インフルエンザ、気管支炎、鼻炎、副鼻腔炎などの呼吸器系疾患の予防薬として、すでに採用されています。上気道にはスプレーで十分であり、肺に到達させるためにはネブライザーが必要である。このような介入は、これらの疾患の症状を最小限に抑えることができますが、その効果の根底にあるメカニズムは十分に解明されていません。

ノーエネルギー
ウイルスは、タンパク質やエネルギー源など、宿主細胞の要素を利用して遺伝子を複製し、他の細胞や臓器に侵入することを念頭に置いておくと、そのメカニズムを把握することができます。「我々は、NaClが、SARS-CoV-2スパイクタンパク質と、ウイルスが細胞に侵入する際に用いるACE-2受容体との相互作用を妨げないことを発見しましたが、食塩水は、感染後のウイルスサイクルに影響を与えます」とグッツォは述べている。

The Journal of Physical Chemistry Letters』に掲載された以前の論文で、Guzzoたちは、スパイクタンパク質とACE-2受容体の相互作用が、異なる濃度のNaClに耐えられることを明らかにしている。「ウイルスはおそらく、イオン強度の変動を補正して、細胞侵入に有効な媒質を維持するように進化しているのでしょう」と彼女は言う。

NaCl分子が細胞内に侵入すると、ナトリウムイオン(Na+)が増加するため、細胞質を包む膜が分極化される。その結果、エネルギーバランスが崩れ、細胞内のカリウム(K+)が大量に排出され、膜内の電荷バランスが回復する(この機構はナトリウム・カリウムポンプと呼ばれる)。

ナトリウム-カリウムポンプによる飽和状態では、細胞は細胞内プロセスの主要なエネルギー源の一つであるATP(アデノシン三リン酸)を消費してしまう。細胞の脱分極のためにATPが消費されると、ウイルスがそれを使って複製を行うことができなくなる。

「細胞はナトリウム-カリウム・ポンプを使ってナトリウムを排出しなければなりませんが、これによってエネルギー貯蔵量が消費されるため、ウイルスの複製に必要なATPが残っていないのです」とウルリッヒは説明しています。

Study reveals how saline solution can inhibit replication of SARS-CoV-2 [2022.03.31]
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
https://medicalxpress.com/news/2021-09-reveals-saline-solution-inhibit-replication.html

ちなみに、上記の元ネタとなっている論文は以下です。
(私には精査出来ないレベルと量なので自動翻訳結果を飛ばし読みしました。)


◆所感

重要な箇所は引用部の最後、「細胞はナトリウム-カリウム・ポンプを使ってナトリウムを排出しなければなりませんが、これによってエネルギー貯蔵量が消費されるため、ウイルスの複製に必要なATPが残っていないのです」というところ。

生理食塩水での鼻うがいの効果は『物理的な洗浄』『鼻腔粘膜の正常化』『次亜塩素酸水による殺菌効果』くらいだと思っていましたが、このような化学的な効果(ウイルス複製阻害)まであるようです。

記事では濃度 1.1%,1.5% について触れていますが、一般的な濃度 0.9% でも 大きく違うということは無いでしょう。

総合して生理食塩水(高張食塩水)による鼻うがいのデメリットは見つからないので、焦点をこの原理に絞ったうえで大規模な臨床試験でも行って欲しいところです。

しかし、仮に効果が大きくてもおそらくそれは行われないので、鼻うがいが大きく注目されることはないのでしょう。
なにしろ、高張食塩水のみで効果が出てしまったら誰も儲かりませんからね。


◆市販品点鼻スプレー

さて、儲かるかはさておき、個人としては効果が見込めそうなら採用したいものです。

鼻うがいは良いものだと思っていますが、未経験の人にとってハードルが高いのは知っています。
ということで、高張食塩水の点鼻スプレー(市販品)は無いだろうかと探したところありました。
以下です。さすがニールメッド。

プロダクト詳細 <ハイパートニック> | 花粉症・鼻炎に悩む方必見!鼻洗浄ならニールメッド [2022.03.31]
https://www.neilmed.jp/product/hypertonic/

知り合いに勧めるならこういうのが良いですね。
あと、実際に感染した場合、鼻うがいよりもこっちのほうが手軽に頻繁に出来るぶん効果が高いかもしれません。

ちなみに[2022.03.31]現在、アマゾンでは売り切れ。楽天では在庫ありです。


◆おわりに

私自身は既に毎日鼻うがいを行っており、最近は重曹の増量なども試みていますが、塩も増量したほうが良いのが今回明らかになりました。

とはいえ、多ければ多いほど良いとは限りません。
記事中ではミトコンドリアへの影響が懸念されており、少なくとも 1.5% では問題無かったことが記されています。

ハイパートニックの濃度は 2.7% ですので、その程度までならそこまで悪い影響は無いと思いますが、重曹などもブレンドした場合はわかりません。

自作や濃度調整などされている方はそのあたりに十分気を付ける必要があるかと思います。

ウイルス対策としての鼻腔ケア、まだの方はこれを機会にやってみてはいかがでしょうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?