見出し画像

主婦も夏休み⑤

読書をしているうちに、やりたいことをもう一つ思い出した。生ビールを飲みたい。

最後に生ビールを飲んだのはいつだろう?
思い出してみると第3子の妊娠に気づく直前に友人と正月に飲んだのが最後、つまり1年7ヶ月前だ。ん?意外にガマンしている期間は短い。体感的には5年くらい我慢していたと思ったのに。相変わらず自分の記憶力と感覚は信用ならない。

ネットでホテル付近を検索してみる。普通の居酒屋でもいいのだが1人では料理を余らせる可能性がありそれは避けたい。となると行き先は1択、やきとり屋だ。やきとりなら1本ずつ注文できるしカウンター席もありそうだ。内装写真をみながらカウンター席のある店を1件見つけた。
17時オープンに合わせて緊張しながらその店に行ってみる。実はひとり飯やひとり飲みは慣れていないのだ。勇気を出し不慣れを悟られぬよう軽い感じで「1人なんですけど空いてます?」と入店できるか聞いてみる。「すみません、今日はもう予約でいっぱいで」とあっさり断られる。ですよね…お盆ですもの。

次の店は探さずコンビニに直行した。負け惜しみと思われるかもしれないが、私はコンビニが好きなのだ。0才育児経験者ならご理解いただけるかと思うのだが、自分1人で行くコンビニはこの上なく輝いているのである。3ヶ月に一度行くかどうかなので毎回知らない商品が並んでいる。スーパーにはないスナックやスイーツやカップ麺が輝いている。日頃は近所のスーパーの安売りを狙いつつ赤子の機嫌がいいうちにさっさと帰宅する。正直コンビニは高い。無職の私にとっては手が出ない存在だ。だからこそこんな日にはコンビニで豪遊したいのだ。やきとり屋が空いていなかったらコンビニに行くことは決めていた。そして以前夫からもらったQUOカードがある。もはや無敵だ。頭の中でスキップしながらホテル前のコンビニに入った。

ところがここでも普段の習慣が出てしまうのが悲しい。空腹感が強いまま麺コーナーにいくと50円引きやら100円引きのものが目に飛び込んでくる。とりあえず一旦冷静になろうとカゴを探し、ドリンクコーナーに移動する。おいおい勘弁してくれよ。ここに来てもなお値引きに反応してしまう自分が辛い。そう、どんなに気持ちが高揚したって無職は無職に変わりないのだ。無職という事実に夏休みはない。これはもう受け入れるほかない。

テンションはやや下がったもののやはり久しぶりのコンビニの楽しさは十分残っている。大好きなマルエフと缶チューハイを2本、甘いものとしょっぱいものをバランスよくカゴに入れ、麺コーナーへ戻った。そういえば今日は昼食を取らなかった。15時半にチーズケーキをいただいたが空腹感は強い。私は100円引きのネバネバそばをカゴに入れた。うん、やっぱり楽しい。

⑥へ続く


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?