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さよならの匂い


忘れないようにと呟いた

君はノートに今日の出来事
今の気持ちはこういう感じだとか
赤裸々に書き綴る

言葉じゃ到底言えないような
愛の言葉が並べられていたんだ
そんな器用なはずないのに
優しく包み込んでくれる音楽のような
魔法のような愛の言葉

辛かったね
苦しいよね
それさえも愛の言葉のように聞こえる
君が言った全ての言葉に
踊らされてるみたいなんだ

一度も染めたことのない綺麗な髪の毛を
そっと撫でてみる
そういう無垢な優しさに惹かれたんだ
いつまでも染まらないでほしい
僕が何もかも忘れてしまっても
都会に染まって華やかになっても
いつものように思い出している

さよならの匂い




忘れちゃうのが不思議なもんで

僕はいつものノートに忘れたくないもの
君が言ってくれて嬉しかったこととか
ありのままに書き綴る

言葉じゃ到底言えないような
心のうちが詰まっていたんだ
そこまで不器用なはずないのに
言葉で話そうとするとどうして出てこなかったんだろう
君に伝えたかった愛の言葉

君の声が好き
隣にいてほしい
ありきたりな愛の言葉でも
僕が言ってくれたから幸せだよ
そう言って舞い上がってくれたらいいな

何度も塗り重ねた指先のネイルを
そっと剥いでみる
いつの日か指先の色ですら隠したくなったんだ
いつまでも変わらないものはない
僕がそんな現実を受け止めてから
君が変わってしまった僕を知ってから
毎日のように嗅ぎ続けている

あの日の雨の匂い


今更好きだとか申し訳ないな
桜は昨日の雨で散ってしまったのに
よくわからない鳥の鳴き声が私を急かすけど
今じゃもう遅いんだよな

忘れたくないだけなのに



一度も忘れたことがない君との思い出を
忘れようとしてみる
そういうことするからさ
忘れられない
君にはずっと生きていてほしい


一度も染めたことのない綺麗な髪の毛を
撫でてみたかったなもう一度
無垢な思い出が色褪せたんだ
いつまでも染まらないでほしかった

いつものように思い出してる
さよならの匂い




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